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バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。
有料老人ホームというと介護が必要になった高齢者が入るところと思いがちだが、元気なうちから入居して、介護が必要になると介護居室に移るなどして最期まで暮らすことができる「入居時自立型」のホームがあることは既に述べてきた。
今回は、この入居時自立型ホームの草分けとして取り組んできた、社会福祉法人のホームを見学してきた。もともとの立ち上げは、創設者の「高齢者にとって楽しく生きがいのある安心した生活の場が必要」という考えのもと、昭和48年に静岡県に第1号を開設し、現在は全国に7カ所を展開している。
医療と介護の連携実績は80年と長く、さまざまな老人ホームの運営会社が、そのノウハウを学ぶために見学に来ているという。
その社会福祉法人の千葉県浦安市のホームを見学したことがある。東京駅から電車で1時間と、いわゆる「都心型」と言われるタイプだ。ロビーに入るとカラオケルームから歌声が流れ、健康体操をする親世代の姿に、老人ホームというイメージがガラッと変わったのを覚えている。入居して半年のAさんは、毎日2時間ほど散歩するのが日課で、近くの公民館で詩吟も始めたと生活を楽しんでいる様子だったし、近隣の市から住みかえたBさんは、自宅にいたころと変わらない友人関係が維持できていることに満足しているとのことだった。
余談だが、老人ホームと聞くと、一日中、建物内で過ごすイメージを持つ人も多いと思うが、自立型の場合は、今までの暮らしはそのままなので自由に外出をして趣味や友人関係を続けることができる。そのため、立地はもちろん交通の便がよいことも選ぶ大切なポイントになる。
Aさんは奥様を亡くされ、一人暮らしを心配した長男家族と同居していたが、「これからは自分の生活を求めよう」とホーム探しをはじめたという。良好な親子関係の秘訣を聞くと「子を信じて一歩引き、自分の気持ちが伝わる程度に付き合うこと」と答えてくれた。 Bさんも奥様を亡くされ、10年ほど特に不自由なく一人で暮らしていたが、病気になり将来への不安が生まれたことから入居した。
「一緒に住もう」と言ってくれた関西に住む娘さんは、「親子でもあまり近づきすぎない方が良い」と言うと理解してくれ、今は東京の大学に通うお孫さんがよく面会に来てくれると嬉しそうだった。
2人に共通するのは、一人暮らしを心配する子世代と話し合い、理解し合った上で、入居を決めていること。ホーム側もそのような事情を理解し、一定の距離感を持って入居者を見守り、手がほしいと思われれば差し伸べるようにしているという。
このあたりは、これから親とどう向き合うか考えている子世代のヒントになりそうだ。
取材協力/介護付有料老人ホーム「浦安エデンの園」(社会福祉法人聖隷福祉事業団)
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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