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バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。
先日、口腔ケアの世界では著名な日本歯科大学教授の菊谷武先生に話を伺ってきた。
そこで、皆さんに伺うが、皆さんは「8020運動」をご存知だろうか。 以前少し話題になったこともあるので知っている人もいるかと思うが、「80歳になっても歯を20本以上保とう」という運動で、平成元年に始まったものだ。
運動開始当初、達成率は7%程度だったが、平成17年には80歳から84歳の達成率は約21%にまで伸びた。データが公表されていないので正確にはわからないが、現在はさらに伸びているはずだ。
ところが、高齢者は身体機能の衰えとともに歯科を受診しなくなるというのだ。
まさに、これが現在の課題となっているという。
たとえ20本の歯が残っていても、口中の清潔が保てていないと細菌が繁殖して、肺炎などを引き起こす原因ともなる。口の環境は、身体の健康にも悪影響を及ぼすことになるから厄介だ。
さらに、加齢とともに、歯ブラシもうまく使いこなせなくなる。自分ではちゃんと磨いているつもりでも、磨けていないということも起こる。
また口の感覚も低下するので、口中の違和感も持ちにくくなる。
だからこそ、高齢者ほどこまめな歯科チェックが必要になるのだ。
もちろん、訪問歯科の制度もあるのだが、訪問歯科ではできる治療の範囲が限られてしまうので、出来れば高齢の親には歯科に行ってほしい。
そうすることで歯の状態が悪化する前なら、治療回数も少なくてすむ。
ところで、皆さんにはかかりつけ歯科はあるだろうか。たぶん、勤務先の近くにある、という人も多いのではないだろうか。
退職後も、現役時代に受診していた歯科に電車に乗って通っているという高齢者もいるかもしれない。
しかし、高齢になれば自宅から徒歩で通えるところに、かかりつけ歯科を持ってほしいと菊谷先生は訴えている。そうしておけば、今後通院できなくなっても、訪問歯科の対応をしてくれる可能性があるからだ。
親の歯科受診はぜひ子世代から勧めてほしい。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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