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「オヤノコト」編集部スタッフのジブンゴトレポート Vol.1 親の保険、大丈夫?

記事の発言・監修・ライター
「オヤノコト」連携パートナー相談員  上級相続診断士 熊谷聡史(くまがい さとし)

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大手保険会社で管理職を勤めた後、「相続で揉める家族を減らし、日本の家族のWell-Beingを支える」ことをミッションに上級相続診断士として独立。相続対策を中心とした資産運用の相談を得意とする。講演実績として鉄道東日本OB会や日本交通協会 等

「オヤノコト」編集部 大野ルミコ

雑誌、Web広告などを中心に幅広く活動中。現在、80代の母親と同居するリアル「オヤノコト」世代。聴こえの衰えや唐突に前後する会話に母親の“年齢”を実感しつつも「まだまだ元気そうだし…」と、趣味である野球観戦やライブ遠征に備え、食べるための「歯」・元気で過ごすための「足」の健康維持に励む日々。

高齢の親の保険の見直し&チェックポイントとは?

先日、「オヤノコト」リアルにて、独立し、離れて暮らしている間に、気づけば親の貯金も医療保険も皆無になっていた……という編集部スタッフ大橋優子(51歳)の体験談をご紹介しましたが、実は「オヤノコト」相談室には、これまでも彼女と同様、高齢の親やご自身の保険契約や見直しに関するさまざまなトラブルやご相談が寄せられています。

そこで今回、「オヤノコト」連携パートナー相談員である上級相続診断士、熊谷聡史(くまがいさとし)に、まずは高齢の親の保険の見直しのポイントとその注意点について、「オヤノコト」編集部がジブンゴトとして教えてもらいました。同世代の「オヤノコト」世代のみなさん! ぜひ、将来の「万が一」に向けた準備にお役立てください!

【高齢の親の保険編】

年齢を重ねて病院にかかる機会も増えてきた高齢の親の保険。
加入したまま・・・放置していませんか?

契約している保険の内容は早めに確認しておこう!

Q1.親が入院することになった……など、万が一のことが起きた時に「え?」「困った!」とならないために、まずやるべきことは?

A

まずは、親が契約している保険の種類と内容を、契約者である高齢の親だけでなく、子である「オヤノコト」世代を含めた家族みんなで確認し、把握しておくことです。

現在、70代・80代の方が保険に加入したのは、今から20年~30年前、人によってはもっと前という方もいるはずですから、契約を決めたご本人(高齢の親)も、保障内容などの詳細を覚えていない、把握していないということも十分に予想されます。契約している保険会社やその内容をしっかりと把握していなければ、必要な時に必要な保障が受けることができない、請求を忘れて受けられるはずの保障が受けられない…なんてことも。それを防ぐためにも、早いうちにしっかりとその契約内容をチェックしておくべきなのです。

親の保険に口出しするなんて…と遠慮しないで!

Q2.親が契約している保険内容をチェックする……やっておきたいけれど、なんとなく切り出しにくいです。どう声をかければ、スムーズに話ができるでしょうか?

A

私が接してきたご相談者様の経験などをお聞きすると、どんな保険に入っているのかをストレートに聞くのではなく、「保険の書類は、どこに入っているの?」など、まずは“書類の保管場所”を確認することから切り出すと、話がスムーズに進むケースが多いようです。 

万が一の時、保険証書が見つからず、家族総出で家じゅうを大捜索……なんてことは避けたいものです。もし、親が保管場所を把握していなければ「いざという時のためにきちんとまとめておく」ことを提案し、一緒に書類を探すことから始められます。また、保管場所を教えてもらえるようであれば、そのまま「どんな保険に入っているの?」と切り出しても、拒否されることは少ないのではないでしょうか。

Q3.「親が契約している保険内容を把握していない」ままにしておくと、将来、どんなトラブルが予想されますか?

A

まず、一番心配されるのが「本来は受けられるはずだった保障が受けられない可能性がある」ということです。

保険は、ただ契約していていれば保障が受けられるというものではなく、病気やケガで入院・手術をした時や、残念ながら死亡したというときは、しかるべき書類等を記入し「請求」しなければ、保障を受けることはできません。つまり、どこの保険会社のどのような保険を契約しているかわからなければ、請求ができませんから、受けられるはずだった保障が受けられなかった……ということになりかねないのです。

例えば、被保険者であるお父様がお亡くなりになり「死亡保険に入っていたかもしれない」という曖昧な状態をハッキリさせたいとなった場合、生命保険契約紹介制度(※1)を利用して、契約の有無やその契約内容を確認することは可能です。ただし、その際には調査対象者1名につき、3,000円の費用がかかります。高額ではないですが……事前に確認さえしておけば防げる出費だと思うと、ちょっともったいないですよね。

医療保険や生命保険には3年間という請求期限があります。保険契約していることを知らなかった・忘れていたことで請求できず、保険の存在に気づいたときには請求期限が過ぎていた……という事例は珍しいことではありません。そんな残念なことが起きないよう、「万が一」が起こる前に保険の有無や内容を把握しておくことが大切なのです。

※1…ご親族等が死亡した場合、または認知診断能力が低下した場合(医師による診断が必要)に、当該ご親族等が保険契約者又は被保険者となっている生命保険契約の有無を、生命保険協会の会員会社である生命保険会社に確認する制度。利用料は、調査対象となるご親族等1名につき3,000円。

Q4.高齢になった親の保険、確認・見直しの際は、どの部分をチェックすれば安心ですか?

A

保険証書を確認する機会があったら、以下の内容を把握しておきましょう。

・契約している保険会社
契約から年月が経っている場合、契約時と社名が大きく変わっているケースもあります。古い保険証書しかない場合は、現在の社名や問い合わせ先(連絡先)を確認しておきましょう。

・保険期間(保障期間)と払込期間

まずは、契約している保険は、親が何歳になるまで保障が受けられるのかという保険期間(保障期間)、そして保険料をいつまで支払うのかという払込期間を確認しましょう。

実際、親からは「保険に加入しているから大丈夫」と言われていたのに、それが勤めていた企業で加入した団体保険だったため、定年退職と同時に保障の対象から外れていた、毎年上がる保険料を一生涯支払う契約を結んでおり、高額な保険料を負担し続けていた……といった「予想外」の契約に驚かされたというケースも少なくありません。

・保障内容

次に契約している保険は、どんな時にどのような保障を受けることができるのか、その内容をチェックしましょう。20年、30年前の医療保険は入院が5日を超えないと保障がおりないものや、通院の保障が充実していない、先進医療特約が付いていないなど、今の医療現場の現状と保障内容が合っていないということもあり得ます。

とはいえ、長く契約している保険がすべて「ムダ」というわけではありません。通院保障が充実していない、保険料が高いといった理由「だけ」で、保険の解約→再加入を決断するのではなく、今の保障内容を確認し、足りないところ、不安なところを洗い出しましょう。その後、保険会社や資格を持つプロの相談員に相談するのがお勧め。保険契約はそのままで、足りない部分だけを特約で補うなど、適切な見直しが可能になります。

・保険の契約者、被保険者、保険金受取人は?

保険の契約時には、保険会社と契約を結び、保険料を支払う「契約者」と、保険の保障対象となる「被保険者」、保険金を受け取る人である「保険金受取人」を指定します。また、被保険者に特別な事情※があった時に、代わりに保険金等を請求できる「指定代理人」を指定していることも。まずは、それらがどのような契約になっているかを確認しましょう。

実際、保険金受取人にしていた配偶者がお亡くなりになった後、必要な手続きをしていない、契約時に奥様やお子さまを「指定代理人」としていながら、それをご本人に伝えていないという事例は珍しいことではありません。

それによって、せっかく長く保険金を払い続けていたのに、請求を忘れる、本来受け取れるはずだった保障が受けられない、予想外の相手に保険金が渡ってしまう……というのは何としても避けたいところ。見落としがちな部分ですが、しっかり確認しておくようにしましょう。

※…被保険者本人が傷害や疾病により、保険金等を請求する意思表示ができないときや、治療上の都合によって傷病名または余命の告知を受けていないときなど(保険会社により異なる)

医療保険は「加入していないと治療が受けられない」ものではない

Q5.高齢の親が医療保険に未加入です。今からでも保険に加入させるべきでしょうか。

A

高齢になると、病院にかかる機会も多くなりますし、例えば、先進医療の特約などがあれば治療の選択肢の幅も広がりますので、医療保険に入っていた方が、「安心」だということは間違いありません。

しかし、70歳~74歳の方は医療費の自己負担が2割、75歳以上になると1割となります。また、1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、その超過分が支給される「高額療養費制度」もありますので、医療保険に加入していなくても「高くてとても払えない!」ほど、医療費が高額になることはないと思われます。

高齢になると若い時より保険料が割高となるうえ、持病があり保険への加入が難しい場合もあります。保険料とその保障内容を確認して「この額の保険料を払っても納得できる」と思えるか、「この内容なら、その分貯蓄したほうがいい」と考えるか……じっくりと検討することをお勧めします。

・・・いかがでしょうか。

高齢の親が契約している保険、「親の契約だし…自分には関係ない」というわけではありません。大きなケガや病気で入院・手術することになった、突然倒れてそのまま亡くなってしまった……そんな「万が一」が起きた時、保険の存在は家族にとって大きな安心と支えになります。

親が家族や子どものことを思って契約し、保険料を払い続けてきたその「権利」を無駄にしないためにも、しっかりと確認・見直しをしておきましょう。

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