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第12回:相談者50代、対象者(母親)80代


20年ほど前に親を呼び寄せ、母を看取った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて考えるように。施設やそこで暮らす親世代、認知症、高齢の親と子どもの関係、終末期に関するブックレビューなどを執筆
佐野昇二さん(仮名・56)の姉は3年前に亡くなりました。姉と20年以上、2人で暮らしてきた母親(86)の気持ちに寄り添いながら、トランクルーム4畳半いっぱいに入った姉の遺品を片づけていきました。母親の説得からはじまり、要不要の選別、不要品の処分という大仕事は、3年かかってようやく終わったのです。それまでにかかったトランクルーム代は400万円近くになっていました。
(第1話はこちら)
「ようやくトランクルームを解約することができました」と、ホッとした表情で言う佐野さん。疲労感も漂います。
「相続関係の手続きなど大変なことはたくさんありましたが、これが一番きつかったですね。肩の荷が下りました」
身体的に大変だったのはもちろんですが、もっと大変だったのは母親の説得でした。姉を亡くした母親の気持ちを考えると強引にもできず、腐心したといいます。
「姉が残したのはどれも思い入れのあるものだけに、母にはいったんクールダウンしてもらって、片付けの必要性について腹落ちする時間が必要です。わかってくれるまで待つしかありません。そして母が忘れかけたころ、再び『これさぁ~』ととぼけて言い出す。これは幼いころから、母や姉と付き合ってきた経験で身に付いたワザかもしれませんね」
そう言いつつ、実は声を荒げそうになったこともあると明かしてくれました。そんなときは、「妻がよい緩衝材になって佐野さんをなだめてくれるので助かりました」と笑います。
「妻は私の足りないところを補ってくれています。時には、母の気晴らしにデパートの買い物に付き合ってくれたりもしているので感謝しています。男の私には長時間の買い物は苦痛ですからね」
ともかく、懸案だったトランクルームの片付けは、文字通り片が付きました。
幸いだったのは、佐野さんが姉の借りていたトランクルームの存在を知っていたこと。だから、姉の死後すぐに業者に連絡して支払いを引き継ぎ、その後遺品を片付けることができました。しかし、姉のスマホやパソコンなどはパスワードがわからず開くことができませんでした。
「姉が生前何の業者とどんな契約をしていたかがわからず、困りました。最終的にはカード会社にお願いして、口座から引き落とされている契約を調べてもらってやっと把握できたんです。すると、定期購入しているものがいくつか出てきて、契約をストップしてもらいました」
確かに、定期購入は盲点です。佐野さんが姉と同居していたら気付いたかもしれませんが、同居していた母親は疑問にも思わなかったのではないでしょうか。母親自身もどんな契約をしているか……。「母は今も通販であれこれ購入しているので、いいカモにされているんじゃないかと」。不安がよぎりますが、今はそっとしておこうと思っています。
そして最後に残ったのは、トランクルームから母のもとに運んだ6箱の段ボール。
「これを選別する気力は母にはもう残っていないようです。タイミングを見て選別してもらおうとは思っていますが、一つひとつのモノへの思い入れを聞かないといけないので大変です」
なんとも根気のいる仕事ですが、それだけではありません。母の家にはまだ父の遺品も残っているのです。それらについては、「お母さんが死んだら片付けるからね」とはっきり伝えていると言います。
買った当時は高価だったもの、大きくて立派なものは価値がある――そんな、母親が生きてきた時代の「当たり前」は、今の「当たり前」ではなくなっています。姉の遺品整理をするうちに、母親はそのことに気づいた節もあると佐野さんは感じています。
「『私が死んでも、仏壇だけは残して』と言っていました。大きくて金ピカの、当時ウン百万もした仏壇です。それが、母の友人たちから『今の仏壇はそうではないよ』と聞いたのか、『現代風に小さくしていいよ』と言うようになったんです」
母親の小さな変化は、また少し元気になった証なのかもしれません。姉の死から立ち直った最初のきっかけも、同年代の友人ネットワークでした。そんな友人たちに感謝し、定期的に一軒一軒回って、手土産を渡して挨拶するのは欠かせないという佐野さん。佐野さんの的確なフォローは心強く、子世代としては大いに見習いたいと思いました。
みんなで考える「そろそろ親のこと、自分のこと・・・」
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例えば、「離れて暮らしている高齢の親のことが心配」「親の住まいはどうする?」という問題を解決しようとすると、「自分の親に適したサービスは?」「お金の準備は?」「空き家になった実家はどうする?」と、次々に連動した新しいお悩みが出てくるもの。
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