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公開日:

第12回:相談者50代、対象者(母親)80代

姉に先立たれた母親。姉の遺品整理は母の心の整理でもあった(第1話)

記事の発言・監修・ライター
「オヤノコト」編集部
坂口鈴香

20年ほど前に親を呼び寄せ、母を看取った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて考えるように。施設やそこで暮らす親世代、認知症、高齢の親と子どもの関係、終末期に関するブックレビューなどを執筆

オヤノコトのリアル「母親のための金融機関選び。その理由とは」で、佐野昇二さん(仮名・56)のお話を紹介しました。姉が59歳で亡くなって2年。離婚して実家に戻った姉と20年以上、2人で暮らしてきた母親(86)の悲しみに寄り添い、姉の遺産をどうするかなどで忙殺されながらも、佐野さんにはもうひとつ気がかりなことがありました。

トランクルームいっぱいの姉の遺品。まずは母の説得から

姉の死後、佐野さんがずっと気にかかっていたこと――それは、膨大な姉の遺品でした。姉が離婚した20年以上前から、大型家具や貴金属、衣類や食器などが6畳のトランクルームにぎっしりと入っていたのです。当時100万円もしたという桐の嫁入りタンスをはじめ、どれも高価なものばかりでした。

「一度、姉から片付けを手伝ってほしいと言われて、荷物を4畳半分に減らしていたのですが、それでも毎月1万4千円、姉の死後も私が払い続けていました。何とかしなくてはと、ずっと心に引っかかっていました」

佐野さんがまず取りかかったのは、母親の説得でした。

佐野さんが、片付けの必要性を伝えても、母親は「高級品だから、処分したくない」と抵抗します。母親が落ち着くまでしばらく時間をおいて、また話を持ち出しても母親の気持ちは変わりません。これを何度か繰り返したあげく、とうとう佐野さんはこう問いかけました。

「これまで倉庫代に350万かけてるんだよ。100万のタンスのために、おかしいと思わない?」と。

それを聞いて、ようやく母親は「売ってちょうだい」とかたくなな姿勢を崩したのです。

4トントラック2台分の遺品を処分

しかし、どれも何十年も昔のものです。「売れるのはごくわずかだろう」と思っていた佐野さん。それからは毎週末、トランクルームに“仕分け”に通いました。

「持って帰れるものは車に積んで母のところに持っていき、いるものといらないものを選別してもらいました。そして売れそうなものは査定してもらったのですが、30万のテーブルがわずか5千円。母に領収書を見せて、『買い取りってこういう世界なんだよ』と言うと、ようやく納得してくれたんです」

そういうわけで、大半の荷物は処分することになりました。市指定の処分業者のリストから選んだ業者に来てもらって、出た荷物はなんと4トントラック2台分! 処分代は5万円にもなったといいます。

一方、処分せず残したもので多かったのは食器でした。

「箱入りのブランド食器や漆器です。母は『いいものだから手放したくない』と言うので、箱のまま母の家に運びましたが、母の家も荷物でパンパンです。何とかしようと言っても、『捨てられない』と言う。リサイクルショップに持っていって売ったり、自宅前に『ご自由にどうぞ』と置いたりしました。自宅前に置いたものは、半日でなくなって、母は喜んでいました。私としては、処分する方が気持ち的にスッキリするんですが」

姉の服も捨てられないと言います。

「『もったいない。ミキちゃん(妻)に着てもらって』と言うので、持ち帰ってそっと捨てています」

重い腰を上げて、母親を説得しはじめてから3年。やっとトランクルームを解約することができたのです。

(第2話に続きます)

みんなで考える「そろそろ親のこと、自分のこと・・・」

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