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【防災について考える①】想定外の大雨・豪雨が急増中! 高齢の親、そして自分の命を守るには?『逃げ遅れ』を防ぐために知っておきたいコト

記事の発言・監修・ライター
監修者
神取信夫 さん

BCAO認定事業継続管理者、和光市BOSAIまちづくり伝道師。長年にわたり、毎年発刊の『防災+手帳』(新建新聞社刊/関西大学教授 河田惠昭氏監修)の作成に関わり、災害への備えや命を守る行動、災害に強いまちづくりへの理解も深い。

「オヤノコト」編集部 ライター
大野ルミコ(Rumiko Ono)

現在、80代の母親と同居するリアル「オヤノコト」世代。聴こえの衰えや唐突に前後する会話に母親の“年齢”を実感しつつも「まだまだ元気そうだし…」と、趣味に没頭する日々を送りながら、食べるための「歯」・元気で過ごすための「足」の健康維持に奮闘中。

目次

近年、急速に進む温暖化の影響からか、日本での「雨の降り方」が変わっているように感じます。昔から、夏の夕方に雷を伴ってザッと強い雨が降る夕立は見られましたが――最近は、そんな言葉ではおさまらないような「ゲリラ雷雨」が頻発。つい先日(2026年8月13日)も、千葉県で1時間に100ミリを超えるような雨が数時間続き、多くの犠牲者・被害を出す惨事となってしまいました。

記録的な大雨の発生頻度
2016年から2025年の比較

この表は、2016年から2025年までの10年間で、1時間に50㎜を超える雨が降った回数の増減を比較したもの。このデータからも近年、特に1時間に80㎜、100㎜といった猛烈な雨が降る回数が急増していることが分かります。

このように「想定外」の大雨に見舞われる可能性が高くなっている今、これまで氾濫や浸水、土砂災害なんて起きたことがないといった経験則は、この先もずっと災害がない、安全な場所であるという証明にも、判断基準にもなりません。そうした“油断”が、大きな被害を生む要因になってしまう可能性もあるのです。

そこで、高齢の親や家族の命を守るためにやるべきことについて、BCAO認定事業継続管理者、和光市BOSAIまちづくり伝道師の神取信夫さんに教えていただきました。

親、家族の命を守るためにやるべき3つのコ

それでは想定外の大雨に見舞われた時にも、慌てることなく、高齢の親、そして自分たちの命を守るためには、どのような準備・対策をしておけば良いのでしょうか。

「まずは災害が起こる恐れがある時に発令される警報や注意報、親や自分たち家族が住む町・地域にどんな災害が起こる可能性があるのか、そして万が一の際の避難経路や避難場所に関する『正しい知識』を身につけることが大切です」(神取さん/以下同)

ここでは災害から身を守るために、最低限覚えておきたい&調べておきたい項目を3つご紹介します。ぜひ「オヤノコト」世代から親にも周知していただき、家族でいっしょに必要な対策を話し合ってみてください。

大雨により浸水した街
大雨・浸水など万が一の時に慌てないよう、日頃からの準備が大切!

1.親、そして自分たちの住まい周辺のハザードマップを確認

親が「同じ土地、同じ場所に50年、60年と住み続けている」というケースは珍しいことではありません。その場合よくあるのが、今まで大雨による被害を受けたことがないことから「ここは浸水の心配がない」「そんなに強い雨が降るような土地ではない」と“思い込んで”しまっていること。しかし、50年、100年に一度という大雨に見舞われることも増えた今、これまでの経験は何の安心材料にもならない……というのが現実です。

だからこそ確認すべきなのが、各区市町村が作成・公開している「ハザードマップ」。

ハザードマップを確認する人
イメージ
ハザードマップは各区市町村のホームページからも確認可能です

ハザードマップでは洪水や内水(下水道や水路からの排水が追い付かずに発生する浸水)、高潮、津波などによる被害を予測して、地図上に表示し、公開しています。それを見れば、離れて暮らす親の家(実家)や、自身の住まい周辺は自然災害によってどのような被害リスクがあるかが確認でき、必要な対策を考えるうえでの参考資料にもなります。

「ハザードマップは国土交通省のポータルサイトや各自治体のホームページ、区市町村役場の窓口でも確認することができます。でも、高齢の親御さんの中にはパソコンやスマホ操作が苦手という方も多いと思いますし、役場まで確認しに行くのも難しいというケースも少なくないのではないでしょうか。そういう時は、ぜひ「オヤノコト」世代の皆さんがハザードマップの内容を確認し、情報共有・注意喚起してあげるようにしてください」

【参考】
国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
※全国各区市町村で公開されているハザードマップを検索・確認することができます。

2.気象に関する警報や避難情報を正しく理解しよう

2026(令和8)年5月29日、大雨や土砂災害が予想される際に発令される防災気象情報が大きく変更になりました。これまでは大雨や土砂災害などの「注意報」や「警報」といった情報と、避難情報である5段階の「警戒レベル」とのつながりが複雑でわかりにくくなっていましたが、今回の変更により、注意報・警報といった情報と、避難情報が一緒に伝えられるため、今、自分が何をすべきなのかが非常に明確になっています。

2026年5月~ 新たな警報等の一覧表
※内閣府防災ホームページより編集部にて作成
2026年5月~
新たな警戒レベルの一覧表
気象警報と避難を促す警戒レベルが合わせて発令され、より行動しやすく!

上表にもあるように、今後は大雨、土砂災害などの危険が高まった時には「レベル3、土砂災害警報」「レベル4、大雨危険警報」といった形で発令されます。警戒レベル3=高齢者等避難、警戒レベル4=避難指示に相当しますので、レベル3の大雨や土砂災害の警報が発令された場合は、高齢の親と一緒に危険区域から離れて指定された避難場所へ向かう、もしくは高齢の親に避難を呼び掛けましょう。また、レベル4の危険警報が出た場合は「危険な場所から全員避難」が鉄則となります。

高齢者を連れての避難の様子
親といっしょ、もしくは親単独の避難は
「レベル3」の段階で開始しましょう

「ここでも課題となるのは、高齢者が“情報弱者”になってしまいがちなこと。実際、ネットは使えない、テレビやラジオが主な情報源という方も多いと思います。その場合、自分が住む地域の情報をピンポイントで入手することが難しい、時間がかかるということも考えられます。だからこそ「オヤノコト」世代の皆さんが正しく情報を理解し、レベル3が発令された段階で連絡し、避難を促すなどのサポートが必要なのです」

3.万が一に備えて「避難場所」はどこか、どう避難するか確認しておこう

浸水や土砂災害の危険が迫っている時には、お住まいの区市町村が指定する「避難場所」に身を寄せることになると思います。この「避難場所」とは、正式には「指定緊急避難場所」と呼ばれ、災害によって身の危険が迫っている時に一時的に避難する場所のこと。

指定緊急避難場所 指定避難所
災害が差し迫った際の指定緊急避難場所は区市町村によって指定されています

避難場所は浸水や土砂災害、津波、地震など、災害の種類別にそれぞれ指定されていますので、例えば、近くにある小学校は地震発生時の避難場所になっているけれど、低地にあり、川も近いことから浸水や土砂災害の避難場所には指定されていない……なんてこともあり得ます。地震の時、浸水や土砂災害の時、お住まいから一番近い避難場所はどこになるのか、事前にしっかり確認しておくことが大事です。

「同時にぜひやって欲しいのが、帰省した時などに、指定されている避難場所への経路を実際に高齢の親御さんといっしょに歩いてみること。すでに浸水が始まっている時、日が暮れて薄暗くなっている時に避難しなければならない場合もあります。最短ルートだけど大きな溝や水路がある、ハザードマップで浸水危険箇所となっている場所があるなら、多少遠回りでも安全性の高い道を選ぶようにすべきです」

側溝のある道路
避難経路に大きな水路や溝などないか、事前に確認しておきたいもの

事前に親といっしょに避難経路をチェックすることで、「この道は長い坂道があって体力的にキツイ」「思った以上に道が狭く、夜は真っ暗」など、ハザードマップではわからない“危険ポイント”に気づくこともできます。また避難ルートは1つだけでなく、万が一に備えて第2、第3のルートを組み立てておくと安心です。

親の災害対策、避難の呼びかけ……「オヤノコト」世代の役割は大きい!

――いかがでしょうか。

大雨による浸水や土砂災害から高齢の親、そして自分たちの命を守るためには、自分たちが暮らす地域にどのような危険があるのか、警報や避難場所に関する正しい知識を持ち、災害が起こる前から避難計画を立てておく、危険が迫る前、早い段階から避難するなど早めの行動をとることが欠かせません。

しかし繰り返しにはなりますが、親は

・機械操作が苦手、ネット環境がないといった理由から情報入手が遅れてしまいがち

・長年の経験から「ここは災害が少ない」「ここは大丈夫」と誤った認識をしがち

・漠然と不安を感じているが、何から始めればいいか考えられない、判断できない

といった理由から、なかなか正確な情報が得られなかったり、適切なタイミングで適切な行動ができなかったりするケースも少なくありません。また、きこえの衰えによって防災放送が聞き取れない、足腰の機能が低下して迅速な行動が難しいなど、避難が遅れる、時間がかかることも考えられます。

スマホを見て悩む高齢者 イメージ
警報や警戒レベル、ハザードマップなどの情報の入手が遅れてしまうことも

「特に高齢の親御さんと離れて暮らしているという方は、ぜひ帰省されたタイミングでいっしょにハザードマップを確認する、避難場所まで一緒に歩いてみるなど、災害対策を“いっしょに”考える、実践する時間を持ってください。そうした事前の準備・備えが、万が一の時に慌てることのない“安心”につながるはずです」

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