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BCAO認定事業継続管理者、和光市BOSAIまちづくり伝道師。長年にわたり、毎年発刊の『防災+手帳』(新建新聞社刊/関西大学教授 河田惠昭氏監修)の作成に関わり、災害への備えや命を守る行動、災害に強いまちづくりへの理解も深い。

現在、80代の母親と同居するリアル「オヤノコト」世代。聴こえの衰えや唐突に前後する会話に母親の“年齢”を実感しつつも「まだまだ元気そうだし…」と、趣味に没頭する日々を送りながら、食べるための「歯」・元気で過ごすための「足」の健康維持に奮闘中。
日本は地球上においても「最も地震が起きやすい場所にある国」のひとつ。国土が地震の原因となるプレートがぶつかる部分にあることから、長年警鐘されている「南海トラフ地震」を筆頭に、いつ、どこで巨大地震が起こってもおかしくないといわれています。

1995年の阪神大震災が起こる前、関西地方では「この辺は大きな地震が起こらない」との認識が広く存在し、地震を想定した避難訓練などもそれほど熱心ではなかったといわれています。また2018年の北海道胆振東部地震も、それまで「大きな地震が起こる可能性が高い場所」として指摘されていた場所ではありません。
気象庁も常に呼び掛けていますが、残念ながら日本において「地震が発生しない場所」というのは存在しません。やはり、常日頃から地震に備えた心構え、準備をしておくことが大切だといえます。
そこで、高齢の親や家族の命を守るためにやるべきことについて、BCAO認定事業継続管理者、和光市BOSAIまちづくり伝道師の神取信夫さんに教えていただきました。
大地震は、予期せぬ時に突然やってきます。緊急地震速報の精度が高まっているとはいえ、しくみ上、速報から揺れが起こるまでは早ければ数秒、長くても数十秒程度しかありません。また、震源から近い地域では揺れが起こってから速報が来ることもありますし、「前もって大きな地震が来ることを確実に知らせてくれる」ものではないのです。
では大きな地震が起きたら、何を考え、どう行動したらいいのでしょうか。そのポイントを神取さんに教えていただきました。
揺れが発生したら、何よりも「命を守る」ことを優先に!
上の動画は、2004年に発生した「新潟中越地震」の震度7の揺れを再現した地震体験の様子を撮影したもの。安全のため、あらかじめ丸くなって頭を守る「ダンゴムシのポーズ」で体験をしていますが、それでも揺れに耐えきれず体が前後に動いてしまい、床を掴んで体を支えている方もいます。もしこれが外で歩いている時だったら、高齢の親が一人の時だったら……と考えるだけでもゾッとします。足腰の弱い方であれば、最初の揺れの衝撃で飛ばされてしまうのではないでしょうか。
「大きな揺れが発生した時に、何よりもやるべきこと『命を守る』ことです。かつては地震の際はまず火を消すことが大事だといわれていましたので、高齢の親御さんの中には今もその認識でいる方がいるかもしれません。でも揺れが激しい時は鍋がひっくりかえってやけどをする、包丁や食器の破片でケガをするといった可能性もありますので、『火の始末は揺れが収まった後』を徹底するようにしてください」(神取さん/以下同)

では、地震発生時にどう自分の身を守ればいいのか、ここから状況別に解説します。ぜひ日頃から行動をイメージして、いざという時に慌てないよう意識づけしておきましょう。
家にいる場合
・家具や電化製品が落ちてこない、倒れてこないスペースに移動して低い姿勢を!
・可能であればテーブルや机などの下にもぐり、頭を守りましょう。
・火を消さないと、窓を開けないと……と無理に動かず、身の安全第一の行動を。
外出中の場合
・ブロック塀やガラス窓から離れた広い場所で、頭を守って身をかがめます。
・比較的新しい鉄筋コンクリートのビルなどに逃げ込むのも◎
繁華街、商業施設にいる場合
・低い姿勢で頭を守りながら落下物や倒れそうなディスプレイから離れましょう。
・比較的新しい鉄筋コンクリートのビルがあれば、そこに逃げこみましょう。
車に乗っている、運転中の場合
・ハザードランプを点灯し減速、道路の左側に停車してエンジンを切りましょう。
・避難する場合はキーをつけたまま、ドアはロックせずにおきましょう。
(可能であれば、連絡先のメモを残しておきましょう)

日本は1923年の関東大震災から1995年の阪神・淡路大震災まで、数千人を超える死者を出すような大地震を経験せずにきました。つまり、現在70代、80代の方は、中高年になるまで大きな地震災害を経験せずに過ごしています。そのため、どうしても地震の備えや災害に関する知識、危機感が乏しい面もあるはず(実際、我が家の80代の母もそのタイプです)。私たち「オヤノコト」世代がリードする形で、いっしょに防災対策を見直していくようにしましょう。
大きな揺れが収まった後は、このまま家にいていいのか、それとも指定された避難場所に向かうべきか悩む人も多いと思います。その判断は周囲の環境や状況によって異なりますので、ぜひ下図を参考に、取るべき行動をイメージしておきましょう。

「ただし、高齢の親御さんの住まい(実家)やご自宅が海や山に近いところにある場合は、地震による津波、土砂崩れが起こる可能性がありますので、速やかにその場から離れ、高台など安全な場所へと移動する準備を始めてください。万が一の時にはどこにどのようなルートで逃げるか、家族で話し合い、実際に歩いてあらかじめ決めておくと安心です」
また、津波の不安がない地域で心配されるのが「火事」の発生です。災害時は道路状況が悪い、地震で断水しているといった理由で消火活動が間に合わず、火が広範囲に燃え広がる可能性もあります。近隣で火事が起きているところはないか確認し、少しでも危険がある場合は、速やかに避難場所へ移動するようにしてください。

「津波や土砂災害、火災の心配がなく、家が倒壊する恐れもない、水や食事の備蓄があるという場合は、避難所ではなく、自宅での避難(=在宅避難)が推奨されています。在宅避難はプライバシーの確保、感染症リスクの回避、ペットとの生活が可能など、メリットも大きいので、日頃から必要な備えをしておくといいですね」
とはいえ、周囲の状況確認や避難すべきかどうかという判断を、離れて暮らす(特にひとり暮らしの)親が悩むことなく、正しくできるかどうか不安……という方も多いと思います。その場合は「地震が起きたら状況に関わらず、まずは一度、広域避難場所へ行く」と決めておき、避難場所をいっしょに確認しておきましょう。そして状況が落ち着いて確実に安全だとわかってから自宅に戻るように決めておくと安心です。
また、災害発生後は親のところに駆けつけたくても行かれないという状況が続くことも考えられますので、安否確認がスムーズに取れるかという心配もあるはずです。
「そういう場合は、ぜひ帰省時などを利用してご実家のご近所さんに高齢者のみの世帯であること、災害時の様子確認、必要な声かけをお願いしてみてはいかがでしょうか。万が一に備えて、ご自身の連絡先を伝えておくのもいいと思います」

災害発生直後は、公的な救助や支援がなかなか届かないことも予想されるため、近隣住人同士の“助け合い”が必要となることもあるはずです。今は昔に比べて町内会など、地域のつながりが弱くなっているともいわれていますが、可能な範囲でご近所の方々との連携を築いておくようにしたいものです。
先にもお伝えしたとおり、自宅に大きな損壊がない、実家や自宅の周辺での津波や火事の心配がないと判断できる場合は「在宅避難」を選択することができます。災害によって水や電気、ガスなどのライフラインが止まってしまうことも考えられるため、それを補うための備えは必要になりますが、プライバシーが守られた環境の中で避難生活を送ることになるので、ストレスも大幅に軽減できます。

「特にご高齢の方々にとって、大勢の人が集まる避難所での生活は体力的にも精神的にも負担が大きく、体調を崩す、持病が悪化するというケースも珍しくありません。また感染症のリスクを回避する、災害関連死を防止するという意味でも、在宅避難を可能にするための準備・備えをしておきたいものです」
親、もしくはご自身が1981年以降の耐震基準を元に建てられた鉄筋コンクリート造りの集合住宅に住んでいるという場合、一般的に建物自体が「地震に強い」と言われていますので、普段から家具の転倒防止対策を行い、水や食料品、トイレなどの備えをきちんとしておくことで、在宅避難を選択できる可能性は高いと思います。
今後、避難所での生活や在宅避難を考えるうえで必要な備え、準備についても詳しくご紹介していきますので、ぜひそちらもご一読ください。
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