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今や手口が複雑化・巧妙化し、被害が拡大し続けている特殊詐欺。
「まさか、自分の親が!?」と後悔しないために心がけておきたいポイントを、詐欺・悪質商法事情に詳しい多田文明さんにお伺いしました。
教えてくださったのは…
詐欺・悪質商法評論家 多田文明さん
「特殊詐欺への対策法が広まると、またあらたな手法の詐欺が横行する
――今はまさにそんなイタチごっこが続いている状態といえます」と話すのは、詐欺・悪質商法評論家の多田文明さん。
特殊詐欺というと「小切手が入った鞄を落とした」など、子どもや孫の〝非常事態〟を装ってお金を無心する「振り込め詐欺」が思い浮かびますが、「今はそんな単純な手口の詐欺ばかりではありません」と警鐘を鳴らします。
「子どもだけでなく、会社の上司や同僚、警察官、銀行員など複数の人物が登場する〝劇場型〟など、詐欺だと思わせないために巧妙に仕組まれたストーリーをもつ詐欺も少なくありません」。
例えば、最初の電話ですぐお金の話を持ち出すのではなく、「果物を送るよ」などと親孝行を装って喜ばせた後や、あるいは「精密検査を受けることになった」などと不安を煽り、後日「異常なし」の結果を伝えてひと安心させた後などに、「実は…」とお金を要求するケースなどがあるそうです。
詐欺にとっての〝本題〟であるお金の話をあえて初めは持ち出さないことで、本物の子や孫であると信じ込ませ、警戒心を薄れさせるのだとか。また、多田さんによると、「今は女性の詐欺師も急増している」とのこと。
そのため「ウチは子どもがみんな女だから」と油断するのも危険だそうです。詐欺に巻き込まれて大切な老後の蓄えを奪われてしまった――なんてことにならないためには、複雑化・巧妙化する詐欺の手口を知るとともに、いざという時の対策をしっかりと考えておきたいものです。
多田さんは「電話や手紙、メールなどでお金に絡む話をされたら『すぐに』『自分一人で』解決しようとせず、子どもや家族、友人など周りの人に相談するよう徹底して欲しい」と話します。
「今すぐに受け取りに行く」「今日中に○○まで届けて!」などと急かされることが多いのも、「詐欺の電話は午前中にかかってくることがほとんど」(多田さん)なのも、「ちょっと待てよ?」と考えられる前に取引を終わらせてしまうため。子や孫の〝非常事態〟に「何とかしないと!」と気持ちが焦るのは当然ですが、お金が絡む場合には、相手が誰であれ一度冷静になって考える時間を持つ。それが詐欺被害を未然に防ぐ鉄則のようです。
また「今はどんな詐欺が横行しているのかなど、特殊詐欺に関するタイムリーで正しい知識を集め、お金を支払う前に『これは詐欺だ!』と気づけるかどうかがカギになる」と多田さんは力を込めます。
今は警視庁や市町村、消費者センターのホームページなどで、さまざまな特殊詐欺の手口とその対策が紹介されています。
ただ、PCやスマホに不慣れな親世代にとって、ウェブを使った情報収集は容易ではありません。
そこで私たちオヤノコト世代の出番です。私たちが、特殊詐欺についての正しい知識を身に付け、今横行している詐欺の手口とその対処法を両親に伝えていけば、親を詐欺被害から守ることができるかもしれません。「知らなかった…」と後悔しないために、早速親子で一度話し合ってみてはいかがでしょうか。
今、警察や消費者センターなどに多く相談が寄せられている3つの特殊詐欺の特徴とその対策法を多田さんに教えていただきました。
「わが家の詐欺対策」にお役立てください!
電話で子や孫(最近では甥なども)を装い「会社のお金を紛失した」「借金の保証人となり、支払いに追われている」などさまざまな理由で、“今すぐ”お金が必要だと持ちかけられる。振り込みだけでなく、「後で取りに行く」「○○まで届けて」などと代理人(バイク便も含む)への受け渡しを依頼されるケースも増加。
★被害にあわないために…
かなりの金額のお金を「その日のうちに」用意しなければならない“緊急事態”は、そうそうありません。言われるまますぐにお金を振り込むのではなく、まずは家族や親戚、友人など「周りの人に相談する」ことを徹底しましょう。非通知電話を着信拒否に設定する、家の電話は留守番電話にし、声を聴いてから出るようにするなどもオススメです。
電話で警察官(刑事)や銀行員、銀行協会の会員などを名乗り、「あなたの口座が犯罪に使われている可能性がある」「このままだと預金が下ろせなくなる」など、言葉巧みに通帳やキャッシュカードの交換を要求してくる。その後、直接受け取りに来る際などに暗証番号も聞き出され、口座からお金を引き出される。
★被害にあわないために…
「犯罪に使われる可能性がある」からといって、銀行員や警察官が直接キャッシュカードを自宅まで受け取りに来ることはありません。
ましてや暗証番号を聞き出す・メモをさせるなんてもっとあり得ないこと(銀行の窓口でもあり得ません)! 自宅を含め、取引銀 行の窓口以外で知らない人にキャッシュカー ドを見せる・渡すのは絶対にやめましょう。
心あたりのないサイトや業者、債権回収会社などの名を使い、メールやハガキ、封書で「料金の未払いがある」「放置すると法的手段を取る」と不安を煽り、指定する電話番号への連絡を促される。慌てて連絡すると「今日中に支払えば解決する」などと言って、現金やプリペイドカードでの支払いを持ちかけられる。
★被害にあわないために…
心当たりのない料金の請求を求める手紙やメールを受け取ったら、一人で判断せず、まずは家族や警察などに相談を。
状況がわからないまま記載された電話番号には絶対に連絡しないでください。一度電話をしてしまうと、個人情報を聞き出され、根拠のない請求が繰り返される危険性もあります架空請求は基本的に「無視」するのが一番です。
お金が絡むことは一人で決めない。
1.すぐに支払いをせず、まずは家族に相談を!
2.現金やキャッシュカードを 家族以外の人には絶対に手渡さない
3.心当たりのない請求のメールやハガキ、 封書には反応しない・電話もしない
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