40歳を過ぎたらオヤノコト

公開日:更新日:

帰省には、「親の困った・不便」をチェック&解決

親は元気にやっているかしら? と心配しているけれど、
「帰省して顔を見ても本当のところはよくわからないのよね」
「私たちが帰っている間だけ元気なのかもしれないし…」と、編集部でも話題に。

では、親のどんな動作をチェックすれば、本当の状態がわかるのでしょうか?
理学療法士で高齢者生活福祉研究所所長の加島 守先生にお聞きしました

親の身体機能の低下をまずはチェック

加齢にともなう動作には2つのパターンがあります。
チェックシートの1~4は「どこかにつかまる」動作、5~9が「何かをすることがおっくうになる」動作です。

これらの動作が起きるのは、加齢にともない親の身体機能が低下しているからです。
おっくうになる原因には、うつ傾向など心の要因が絡んでいる場合もありますが、動作一つひとつに時間がかかるようになったため入浴が面倒になったり、布団の上げ下げができなくなっているとも考えられます。

もともとお風呂嫌いの親が入浴したがらないのは身体機能の低下によるものではないですが、きれい好きだった親が布団を敷きっぱなしにしたり、お風呂の回数を減らしたりするようになったら、身体機能の低下を疑ってみた方がよさそうですね。
どこかに、親の不安が隠れているかも知れません。

まずは、 親の動作チェックを してみましょう。

1食卓を引いて立ち上がるようになった。
2 室内を歩くとき、テーブルだけでなく椅子につかまっている。
3 室内の棚などで身体を支えることが多くなった。
4 壁に手アカがついている( 階段、廊下、玄関の段差など、壁に手をついて移動している)。
5 布団を敷きっぱなしにしている。
6 お風呂に入るのを面倒くさがっている。
7 買い物に行かなくなった。
8 買った物を床に置きっぱなしにしている。
9 食器を食器棚にしまわず、出しっぱなしにしている。
※1 つでも当てはまると、身体機能が低下しているサインです。

適応できるうちに生活環境の改善を

親世代の身体機能の低下は、住環境を改善することでカバーできます。
子世代は親に「いつまでも元気でいてほしい」と願っていますが、それは「親がこれまでと同じ生活を続ける」ということではありません。
しかし、親世代は環境を変えることに抵抗感を持っていることが多いうえ、歳を重ねるほど新しい環境に適応できにくくなります。座位の生活から椅子の生活に、布団からベッドにするなど、適応できるうちに子世代がサポートして住環境を改善しておきましょう。

親が要介護認定を受けていれば、公的介護保険制度を利用して福祉用具のレンタルや住宅改修をすることができます。
要介護認定を受けていない場合や非該当(自立)と判定された場合でも、自治体によっては独自のサービスを提供していることがありますので、自治体に問い合わせを。
そういったサービスがない場合は、自費で住宅改修をしたり、福祉用具を購入することになります。改修工事をするときは、経験のある業者を選ぶことが大切です。手すりや滑り止めなど福祉用具を購入するときは、インターネットや通信販売ではなく専門店に相談を。

いずれも市区町村の介護サービス事業者連絡協議会(※)に加入している事業所な
ら安心です。どこに相談したらいいかわからない時には、市区町村の地域包括支援センターが窓口になっているので相談してみるといいですね。

※各市区町村の介護事業を行っている事業者が集まり、自治体と協力して介護サービスの質の向上に関する情報交換や研修などを実施しています。

トイレ
トイレから出る時にふらつく
→便座の横やドアの近くに手すりを取り付けましょう。

便座の立ち座りが大変
→つかまり立ちができるよう、便座の横に手すりを取り付けましょう。

浴室
着脱衣時にふらつく
→椅子を置きましょう。

浴槽の出入りや立ち座りが大変
→手すりを取り付け、浴槽内には滑り止めのマットを敷き浴槽台を置きましょう。

寝室
布団から立ち上がるのが大変
→ベッドや軽い布団にするなど、寝具を変えてみましょう。

カーペットにつまずく
→敷物の下に滑り止めを敷いたり、薄いものに変えてみましょう。

電気コードにつまずく
→コード類は部屋の隅に配線しましょう。

玄関
上がり框の段差昇降が大変
→式台を置き、手すりも取り付けましょう。

靴の脱ぎ履きが大変
→椅子を置き、椅子に腰かけて靴の脱ぎ履きをしましょう。

廊下
廊下と部屋の段差につまずく
→スロープなどで段差を解消しましょう。

廊下を移動するときにふらつく
→手すりを取り付けて歩きやすくしましょう。

階段を上がるのが大変
→つかまりながら上がれるよう、手すりを取り付けましょう。

階段を踏み外しそうになる
→手すり・滑り止めを施し、照明を取り付けましょう。

オヤノコトネット