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「少しでも安くて軽い方がいい」。車いすを選ぶとき、介助する家族の視点だけで見ていませんか?
車いすの違いは重量と価格だけではありません。車いすを使うのは親。使う人を主役にすれば、車いすの果たす役割はもっと広がります。そんな車いすの選び方について、日進医療器株式会社の森永浩規さんにお話を伺いました。
「親世代は、自分ができないことを人にやってもらうことに負担を感じています」と森永さんは指摘します。車いすを使っていても、家族に押してもらわないとかせないため、1日中ベッドで過ごしている親世代も少なくありません。「それは、介助者には使いやすくても、親には使いにくい車いすだからかもしれません」。車いすに、こぎやすい、こぎにくいという違いがあるのでしょうか?
その一例として森永さんが紹介してくれたのが、座位をサポートして快適な座り心地を実現する「6輪タイプの車いす」。少しでも自立した生活を送ってほしいと、室内での動きやすさと使いやすさにこだわって開発したそうです。一番の特徴は、主車輪(もっとも大きな車輪)が体の真下についていること。背もたれの位置主車輪がある通常の車いすに比べ、ハンドリムを持つときに腕や肩を後ろに持っていかなくていいので、楽にこげる! そのうえ、力を入れなくても軽く前進します。「肩を動かしにくい方でも無理なくこげます。また使う人の体重が通常の車いすよりも主車輪にかかるので、軽く動くのです」。軽い車いすが、こぐ力も軽くてすむわけではないのですね。
家の中は、直線だけではありません。曲がるときに問題となるのは、車いすの幅ではなく、回転半径。6輪タイプは、主車輪が前方にあるので、回転半径が小さく小回りが利きます。トイレに入って出る。ベッドに戻る……室内でのそんな動作が自分でスムーズにできるなら、いちいち家族を呼ばなくてすみますね。少しでも起きて、動かせるところを動かせば、身体機能を維持することもできます。「それが福祉用具の本来の目的なんです。『できない』のは、本人のせいではありません。福祉用具が補うことで、『できる』に変えられるのです」。森永さんの言葉に、車いすに対する見方が変わりました。
車いすを選ぶときには、困っていること、もっとも解決したいことを専門家に相談してほしいと森永さん。6輪タイプは、こぎやすく、軽く動き、小回りが利く反面、後方のキャスターが構造上小さいものが多いので、道路の凹凸や大きな段差のある屋外での使用には向いていないそうです。それぞれの車いすの機能を把握したうえで、使う目的や場面に応じて親に合ったものを選びたいものです。
コンテンツ提供:日進医療器株式会社(オヤノコト.パートナー)
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