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高齢者施設は“終の棲家ではない!?”~自宅復帰を目ざして短期間での利用が増えています

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介護型老人ホームの利用方法が、最近変わりつつあります

介護型の有料老人ホームは、これまで〝介護サービスを受けて長期にわたって利用する施設・終の棲家〟という概念が一般化していました。

ところが近年では短期間の利用者を積極的に受け入れる有料老人ホームが増えつつあります。その背景には、高齢者向けの住宅として「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)が台頭してきたことによるという一面があります。
サ高住は一部の例外を除けば一般的に高額な入居前払金(長期の前払家賃)を必要とせず、月単位の家賃とサービス利用料の支払いで利用できるので〝入居しやすく退去しやすい〟という特色があります。

また、最近は長期利用でなく1ヵ月~1年程度の短期利用を求める利用者が増えていることも背景にあります。例えば「自宅を改築するので、その間だけ利用したい」「同居家族の介護疲れを解消させるために、2~3ヵ月だけ利用したい」「リハビリ病院から退院後、すぐに自宅に戻ることが不安なので、しばらく療養目的に利用したい」という希望が多くなっているという実情があります。それらの背景に応じて、これまで長期の利用を前提としていた有料老人ホームも、入居時に高額な前払家賃(入居一時金)を必要としない月払い方式・年払い方式などを新たに創設し、〝入居しやすく退去しやすい〟ものに転換を図るホームが増えています。

自宅復帰のためのリハビリを重視している介護型ホーム

一方、想定していなかった現象も有料老人ホームで起きています。
それは「長期利用を前提に入居したが、要介護状態が改善されて、自宅に帰ることが可能になったため退去する(在宅復帰)」ケースです。

昨今、介護型の有料老人ホームでは「自立支援」という言葉が多く聞かれるようになりました。ここで言われている自立支援とは「なるべくその人らしい普通の生活をしていただくための介護・これまでの生活を取り戻してもらうような介護」という意味が込められています。
そもそも介護保険制度は在宅で長く生活できるよう、出来なくなったことを介護で補い支援することを目的とした制度ですので、まさに介護は本来「自立支援」そのものなのです。数年前から介護型の有料老人ホームでも本来のあるべき介護として〝自立支援のため、出来ることは自分でやってもらい、出来ない事だけ支援する〟という意識が高まり、利用者個々の状況に応じた介護(個別介護)に取り組むケースが多くなりました。

その結果、利用者の活動性の改善につながり、要介護状態が改善されて、結果として自宅に戻る(在宅復帰する)ことが出来た事例が増えています。つまり介護型の有料老人ホームがリハビリ施設として機能しているということです。最近は〝リハビリ特化〟と謳う介護型有料老人ホーム・サ高住も現れています。

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