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親世代の住まい選びのポイントvol.1 「安心+自分らしく暮らすという選択」

記事の発言・監修・ライター
坂口鈴香(Suzuka Sakaguchi)

20年ほど前に親を呼び寄せ、母を看取った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて考えるように。施設やそこで暮らす親世代、認知症、高齢の親と子どもの関係、終末期に関するブックレビューなどを執筆 してきました。これまでに訪問した親世代の施設は100カ所以上、お話を聞いた方は数えきれません。今は「オヤノコト」が自分のコトになりつつあり、自分の変化も観察しているところ。

近年、「高齢者向け」の新たな住まいが次々にオープンしています。が、「ウチの親にはまだちょっと・・・」と、イメージで思われがちな高齢者向け住宅。しかし、実際に住んでいる親世代やその家族からは「住んで良かった」という声もお聞きします。自宅で一緒に暮らすこともひとつの選択ですが、離れて暮らしていたり、仕事の関係もあり、自分がイメージする親との生活が実現できないことも。
最近は、子世代の家の近くにある「高齢者向け住宅」への呼び寄せ(近居)として住み替えを検討する人も増えています。親世代からも、近くに住むのは安心、でも適度な距離感が欲しいというリアルな意見も。そんなお互いのニーズを叶えた暮らし方もひとつかも知れません。
高齢者向け住宅に入居した方にその魅力を取材すると、まず出てくるのが、「安心感がある」という声。これらの住宅は自分らしい生活を送ることができるよう、身体状態に合わせてさまざまなタイプが用意されています。また、介護が必要になった場合、住み替えることなく適切な介護サービスが受けられる体制を整えているところもあります。他にも、段差のないバリアフリーの居室、スタッフによる見守りなど、在宅では得られない“ 安心”を得て、自分らしく暮らしているケースも多くあります。
親が「自分らしく」暮らすために――私たち「オヤノコト」世代も積極的に情報収集をして、見極める“目”を持つことが大切になりそうです。今回は、民間の「介護付有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」についてご紹介します。(オヤノコト.マカジン26号より転載)

「高齢の親のための住まい」とは?

●介護付有料老人ホーム
介護付きと聞くと介護を受けるためのホームと思いがちですが、元気なうちに入居する「自立型」があります。居室は、一般のマンションと同様にトイレ、洗面台、キッチン、浴室があり、身の回りのことが自分でできる( 自立) ことが入居条件です。職員が自立時から見守っているので、日ごろの健康管理や急変時の体制のもと安心して暮らせます。介護が必要な状態になると、介護居室に移り、介護職員から生活全般にわたる介護を受けて生活します。
一方、「介護型」は介護を受けるために入居します。日常的に介護や介助が必要な状態(要支援・要介護)の方が対象で、介護居室(トイレ、洗面台はありますが、キッチンや浴室はない) にて介護を受けます。

●サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリー仕様の居室、生活相談員の常勤、安否確認や生活相談サービスを提供するなどの環境を整えた、賃貸住宅(マンション)です。基本サービスは「安否確認」と「生活相談」のみのため、食事・生活・介護などのサービスはオプションです。必要なサービスだけを選べるので、自由度が高く安価で利用できるのが特徴です。
一方で、ひと口にサ高住と言っても、自宅の延長として自立支援を担うサ高住と介護型のサ高住が混在しています。そのため、オプションとなるサービスもサ高住ごとに有無を含めてその内容にも違いがあるので、入居前に確認することが大切です。
 

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