40歳を過ぎたらオヤノコト

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家族が揃う年末年始に考えよう

久しぶりに顔を合わせた親。「元気だけど、どこかいつもと違う」と感じたことはありませんか? こうした“変化”を見逃さず、家族の未来を考えるきっかけにするのは大切なことです。 「認知症かも」と感じたら、どんな準備・心構えが必要か、一緒に考えてみましょう。

お話をお聞きしたのは・・・・・・
社会福祉法人浴風会 浴風会ケアスクール 校長
服部安子先生

表面上は「いつもと一緒」でも あちこちに驚きの“変化”が!?

「認知症に“なりたて”の時は、家族でもその変化になかなか気づくことができないんですよ」と、語る服部先生。
年末年始に帰省し、久しぶりに親と顔を合わせた時には、「親とずっと顔を合わせているのではなく、1時間程度外出するなど親と離れる時間をつくるようにしてほしい」といいます。それによって、「外出前の会話内容を忘れ、同じ話を繰り返す、または外出先を伝えていたのに、どこに行っていたのかを聞いてくるなど、“もしかしたら・・・・・・”という兆候が見えてくることがある」のだとか。

また、可能であれば、タンスや引き出し、冷蔵庫の中もさりげなく確認しておきたいもの。タンスの中に汚れ物が押し込まれている、冷蔵庫の中に腐った食べ物や、同じ食材がいくつも詰め込まれていた・・・・・・といった様子から、親の“変化”に気づくことも少なくないそうです。

また、男性(父親)の場合、特に用事があるわけでもないのに「外出したがる」のも、よく知られている認知症のサインなのだとか。ふらっと外出したまま、なかなか帰ってこないといった行動がないか、チェックしておきましょう。
ちなみに、子どもや孫が来るなど、いつもと違う状況下では認知症の兆候は影をひそめるといいます。
できる限り親の“日常”を知り、小さな変化を見逃さないことを心がけたいですね。

「認知症!?」となっても焦らず 周りの人を巻き込む“勇気”を!

では、もし自分の親に認知症の兆候が見られたら・・・・・・その現実にショックを受け、今後への不安でいっぱいになってしまう「オヤノコト」世代も多いはず。
「でも老いは誰にでもやって来るもの。あるがままの現実を受け入れて、次に必要になることを考え、行動することが大切」と服部先生。いざ介護が必要になった時には、在宅で介護をするのか、施設へ入居してもらうのか、その時は家族の誰が中心となってケアをするのか、そして経済的な負担を含めていかに生活設計をするのかなど、早めにきょうだいで話し合っておく必要があるようです。

今、「親の面倒を見なくては・・・・・・」と、介護離職する人も増えていますが、服部先生は、「介護は家族だけで頑張るものではありません」と訴えます。
「介護は“わが家の問題”として抱え込むのではなく、地域のケアマネジャー年末年始で帰省した時に地域のケアマネージャーやご近所も含めて “みんなで見守る”協力体制をつくっておくべきです。そのために年末年始などに帰省した際には、周囲に声をかけ、関係性を築いておいてほしいですね」。

「家族の誰かが呼び寄せて面倒を見る」「24時間自宅で見守り世話をする」というイメージを持たれがちだった介護も、今はさまざまな選択肢が用意されています。
まずは我が家にとっての最適な道がなにか、家族で一度話し合ってみてはいかがでしょうか。

「もしかしたら・・・・・・」に備え 知っておきたい4つのコト

1.親の“現状”を受け入れる 認知症の兆候が見えてきたら「できない」ことを責めずに現状を受け入れ、家族の“今後”に目を向けましょう。

2.親の日常をチェックする 家事や外出中など親の日常に危険はないか、「一人にはしておけない」状況が進んでいないかを確認しましょう。

3.経済面を含む生活設計を考える 家族の経済状況を把握したうえで、今後利用するサービスなどについて話し合い、家族の「未来設計」を立てましょう。

4.地域の介護サービスの現状を知る 各地で活動する「家族会」なども活用し、地域で利用できる介護サービスや、施設情報などを収集しておきましょう。

オヤノコトネット