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父が大切にしていたものの査定を依頼することに どうする? 親の家の片付け(第2話)

(写真は生成AIで作成)

画像はイメージです

記事の発言・監修・ライター
「オヤノコト」編集部
坂口鈴香

20年ほど前に親を呼び寄せ、母を看取った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて考えるように。施設やそこで暮らす親世代、認知症、高齢の親と子どもの関係、終末期に関するブックレビューなどを執筆

20年ほど前に親を呼び寄せ、二世帯住宅で暮らしていた宮坂みどりさん(仮名・60)は、両親が亡くなり、二度目の「親の家の片付け」に直面しています。
(第1話はこちら)

父親が愛用していた碁盤と碁石。簡単に処分したくない

「父はきれい好きで捨て魔でもあったので、母の死後、母のもののほとんどは処分してくれていました。一方、父は亡くなるまで自宅で暮らしていたので、父のものはそこそこ残っています。まずは服から処分しようと手を付けたのですが、意外なほどの量でした」

男性の衣類なので洋タンスひと棹くらいしかないのに、こんなにあるのかと驚いた宮坂さん。自分が死んだ後、子どもが自分の服を処分することを考えてゾッとしたほどだと苦笑します。わが身を振り返り、自分の服も今から少しずつ減らしておかなくてはと自戒しました。

服はまだいいとして、宮坂さんには簡単に処分できないものがありました。父の唯一の趣味だった、碁盤と碁石です。

「若いころから、趣味は囲碁一筋です。呼び寄せたあと間もなく仲の良い友人ができたのも、囲碁があったからだと言っていました。有段者だったので、碁盤と碁石にはお金をかけていたんです。遠くの有名な製作者のところまで足を運んで、高価な碁盤を作っもらったと言っていたのを覚えています」

おそらく数十万円はつぎ込んだのだろうと想像しています。碁盤の厚みも数十センチある上等なもの。碁石もハマグリでできていて、囲碁に詳しくない宮坂さんでも高価だとわかる上等のものでした。

「息子に聞いても『いらない』と言うので、囲碁仲間に差し上げようかと思いましたが、囲碁仲間も皆さん80代です。いつまで元気でいらっしゃるかもわからないですし。お亡くなりになったら、結局そのお子さんが処分するだけでしょうから、それもどうかなと」

そしてもうひとつ、簡単に処分したくないものがありました。父親が使っていた机です。

「田舎の役場に勤めていた父は、当時の町長が使っていた机を新しくするときに、古いものを捨ててしまうのが惜しいと譲り受けて使っていたんです。昭和初期から中期の、重厚な木製のもので、古いものが好きな方にはたまらないと思うのですが……」

女性査定員がおもむろに取り出したものは

碁盤も机も重くて、宮坂さんが業者に持ち込むことはできません。そこで、碁盤や美術品を出張して買い取るという業者を調べて、2社に査定してもらうことにしました。

「査定してもらっても即決はしないかもしれませんが、それでもいいか聞いたところ、どちらの業者も『もちろんです』という返事だったので、安心してひとまず査定だけのつもりでお願いしました」

1社目、やって来たのは若い女性でした。「こんなに若い女性が碁盤なんて査定できるんだろうか」と宮坂さんは不安に思いましたが、大手だけにマニュアルがしっかりしているらしく、碁盤の厚さや盤裏の銘などを念入りに確認しては写真を撮って、本社に送っているようでした。

ただ机は、「弊社はこうしたものは不得意なので」と言って、見てもくれませんでした。そして碁盤の査定を待つ間、この女性社員は「ここからが本番」とでもいうように、おもむろにファイルを取り出したのです。

(第3話につづきます)※次回の更新は、11月13日の予定です。

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