40歳を過ぎたらオヤノコト 〜since2008〜

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60代で有料老人ホームに入居したご夫妻。「オヤノコト」は、「ジブンノコト」(第1話)

記事の発言・監修・ライター
「オヤノコト」編集部
坂口鈴香

20年ほど前に親を呼び寄せ、母を看取った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて考えるように。施設やそこで暮らす親世代、認知症、高齢の親と子どもの関係、終末期に関するブックレビューなどを執筆

村上浩一郎さん(仮名・68)は妻の玲子さん(仮名・73)と、海沿いの街の有料老人ホームで暮らしています。入居したのは64歳のとき。まだ「親世代」とはとても言えない年齢で、しばらくはホームから仕事に通っていたといいます。それほど若いうちからホームに入居したのには理由がありました。

親・子双方の視点を得た50代
ホーム入居を見据えて情報収集をはじめた

村上浩一郎さん(仮名・68)が将来のホーム入居を視野に、資料や情報を集めはじめたのは、入居よりさらに10年以上前、50代前半のことでした。
「子どもがいないので、いずれは老人ホームに入居するつもりでした」と言いますが、それだけが理由ではありません。二人が元気なうちにホームに入居しようと思ったのは、双方の親が老いる姿を間近で見ていたからでした。

玲子さんの母親は、村上さん夫婦が住むマンションの下の階で暮らしていましたが、軽い脳梗塞を起こして以来活動量が減り、生活の質が落ちていったといいます。家族以外の人と接する機会がほとんどなくなって気力が低下、玲子さんも夜間のトイレや入浴の介助などが負担になっていきました。その様子を目の当たりにした浩一郎さんは、「子どもが自宅で親の介護をするのは、必ずしもベストな選択ではない」と思うようになったのです。

一方で、浩一郎さんの母親は関東近郊の別荘地にある大きな家で一人暮らしを続けていました。今後どうやって暮らしていくのか、施設入居も含めて家族で話し合っていましたが、「最後までここで頑張る」と母親の意思は固かったのです。浩一郎さんは、「親世代は、介護施設(老人ホームなど)にネガティブなイメージがあり、子どもが施設入居を無理強いはできない。親自身が自らの意思で動かない限り、話は進まない」と痛感したと言います。

これは、村上さんに限らず多くの親世代にありがちな気がしますね。

マンションを住み替える感覚で、老人ホームに住み替える

こうして、子どもと親双方の視点を得た浩一郎さんは、元気なうちから入居できる有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などを比較しつつ、定年後に老人ホームホームなどに転居した場合に必要な資金などについて精緻にシミュレーションをしていきました。

「30年住んでいる自宅マンションに、さらに30年住み続けても、管理費や修繕費用、固定資産税などで多額の費用がかかるでしょう。だったら、マンションを住み替える感覚でホームに入居してもいいのではないかと考えるようになりました」

しかし、いったんサ高住などに住み替えて、常時介護が必要になったらまた介護付き有料老人ホームに住み替えるという“二段階の住み替え”は心身ともに負担が大きい。だったら最初から有料老人ホームに入居した方がいいと考えたのです(※注1)。

「元気なうちに入居するホーム」なら、60代で早期入居して30年ホームを使い倒せば、元を取れるだろう。何より、40年にわたるサラリーマン生活を支えてくれた玲子さんの家事の負担を少しでも減らしたい。定年後は、二人の生活を大切にしたいという強い思いもありました。

そんなとき、玲子さんの母親が介護付き有料老人ホームに入居することになりました。誤嚥性肺炎で入院し、退院後も目を離せない状況になったのです。

※注1:サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなどは介護や認知症が重くなった場合は退去しなければならない場合がありますが、介護付き有料老人ホームであれば、自立(元気)なうちから入居して、その後要介護状態になっても、手厚い介護を受けながらお看取り(最期)まで住み続けることができます。

取材・画像協力/大和ハウスライフサポート株式会社

(第2話につづきます)

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