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補聴器専門店「ブルーム」の店内
80歳を超えて急激にきこえが衰えた母との会話にイライラ、そんな毎日から卒業したい。でも補聴器は高価だし、もっと安価な集音器やきこえをサポートするアイテムに頼ろうかな……そんな悩みを抱える「オヤノコト」編集部スタッフが、補聴器専門店「ブルーム」に潜入取材。
「集音器と補聴器って何が違うの?」という素朴な疑問から、自分に合った補聴器を選ぶための行程、最新の補聴器の実力までじっくりとお聞きしてきました!
テレビを見ながら、お皿洗いをしながら、といった「ながら会話」はほぼ不可能、補聴器相談医での検査でも「中等度の難聴」と診断された母。医師からも「補聴器を使った方が、日常生活も楽になるはず」とも言われ、補聴器を作る気持ちはあるものの「高い補聴器を勧められて断れなかったら……」といった不安から、なかなか一歩踏み出せずにいます。

今は補聴器の専門店に足を運ばなくても、ネット通販などで購入できる補聴器や、安価に入手できる集音器などもたくさん登場しています。実際、母のためにスマホ連動型の集音器を購入・使用した経験もあります。でも、きこえの診断や調整、使用時の細かな操作など、すべてが思った以上に難しく「とても使いこなせない!」と。やっぱりメガネの度数調整と同じで、きこえのケア・調整もプロの手を借りないと(わが家は)無理……と痛感しているのです。
では実際に「専門店」で補聴器を購入しよう……となった場合、どのような手順で補聴器の選定を行うのでしょうか。そこで今回は補聴器専門店「ブルーム」で、補聴器購入までの一連の流れを体験してきました。

「ブルーム」は全国各地に101店舗(※)を構える補聴器専門店であり、そのうち95店舗が認定補聴器専門店です。認定補聴器専門店とは福祉用具の研究開発や普及を推進する公益財団法人テクノエイド協会により、補聴器の適正な販売のために定められた基準を満たしていると認められている店舗です。また、補聴器に関する一定以上の知識・技能を持った補聴器のスペシャリスト「認定補聴器技能者」も全店舗に1名以上在籍しており(295名※)、きこえや補聴器に関するさまざまなお悩みのご相談にのっています。
※いずれも2025年10月現在

「当店を訪れるお客様は、70~90代のご高齢の方が中心。補聴器相談医や耳鼻科などで「補聴器の装用が必要」と言われた方はもちろん、日常生活やご家族間での会話の中で不便や不安を感じ、お子さんが主導となって相談に来られる方も少なくありません」(山口さん/以下同)
では、お客様をお迎えした後、「ブルーム」ではどのような流れで補聴器の選定を行っているのでしょうか。来店から補聴器を選ぶまでの流れを実際の手順に沿ってご紹介します。
1. カウンセリングでお悩みやご要望を確認
来店後、まずは10~15分ほどのカウンセリングを行います。
ここではお名前やご連絡先、耳鼻科医への通院履歴などを確認するほか、どんな場面で聞きにくさを感じているかといったアンケートも実施。その内容に沿ってきこえの状態を確認しながら、補聴器を装用したら、どんなことがしたいかといったご要望なども伺います。

「また、実際に補聴器を使用するご本人だけでなく、付き添いで一緒に来店されたご家族がいれば、ご家族からも日ごろ感じていらっしゃるお悩みや、ここは改善してほしいといったご意見を聞くこともあります。そうしたご家族の声も、その後の補聴器選びやフィッティング(調整)の参考にしています」
2. きこえと言葉の聞き取りチェックで今の「きこえの状態」を確認
カウンセリング後には、ピーと言う純音を用いる「きこえ」のチェックと、数字や単語を用いる「言葉の聞き取り」チェックを行います
「来店前、耳鼻科などで聴力検査を実施したばかりで、その結果もお持ちいただいているという場合はきこえのチェックを割愛することもあります。が、言葉の聞き取りチェック(語音明瞭度・ごおんめいりょうど)は、補聴器のフィッティングをするうえで非常に重要ですので、ご来店された皆さまに受けていただいています」

語音明瞭度とは、音ではなく「言葉」を聞き取る力のこと。そのレベルを調べるために、ヘッドホンからはさまざまな音量で「あ」「き」「し」といった単語が流れてくるので、きちんと聞き取りができているかを確認します(確かにここまではやったことがないかも)。


実際、きこえが衰えてくると『音は聞こえるけれど、何を話しているかわからない』という方が増えてきます。一般的に加齢による難聴は高音域にある子音から聞こえにくくなると言われており、さ行、か行、た行、の音がそれにあたります。そのため「音」として聞こえていても、本来とは違うように聞こえたり、聞き取れなかったりすることが増え、「言葉」として認識できなくなっていくのです。
実際、私の母もこの「語音明瞭度」が下がったことが原因と思われる聞き間違いを連発しています。先日は電話で「夜、宅配便が来るから(受け取りを)よろしくね」と伝えたら「晩ごはんとか用意しておいたほうがいいの?」と返され、ビックリした経験があります。その時、母は「夜、タカヨシさん(近所に住むいとこ)が行くからねと言われたと思った」のだとか。これはまだ笑い話で済みますが……やはりあまりにも聞き間違いが多くなると、会話が全く成立しなくなってしまいますよね。

「言葉の聞き取りチェックをすることで左右それぞれの耳でどのくらいの言葉を認識できているかの『語音明瞭度』を確認することができます。補聴器は単に『音が聞こえる』ようにするだけでなく、この『語音明瞭度』を補うことも重要な役割のひとつ。この結果は、補聴器を調整するうえでかなり重要な指標になります」
3. いよいよ補聴器の選択、そしてフィッティング
2つのチェックが終了したら、いよいよ実際に補聴器を選び、補聴器の調整を行います。
補聴器には本体を耳の中に入れて使用する「耳あな型」、本体は耳の後ろにかけ、先端のイヤホンのみを耳に入れて使う「耳かけ型」(写真)などのタイプがあります。また、電池交換が必要なのか、充電式なのか、環境や目的に合わせた音の調整が可能か……など、それぞれの性能・機能によって価格も大きく異なります。

「行った2つのチェックの結果、そしてご本人やご家族のご要望に合わせて、器種や性能、グレードを見極め、ご提案していきます。補聴器のメーカーはもちろん器種によっても聞こえ方、音の質はかなり違いますので、いろいろ試聴していただいて、一番納得できる器種を選んでいただければと思います」


80代の母親が使用することを考えると、電池の取り外しが必要なタイプは操作ができないと判断、今回は充電タイプの耳かけ型の器種を2つ紹介していただきました。ある程度は知っているつもりでしたが、実際に本体を見ると想像以上に小さく、これは母親に実際、見て、つけて、もらって操作ができるかを確認してから購入しないと……と感じました。

それに、実際に使用してみると本当にメーカーによって聞こえてくる音の感じが全然違う! さらには、細かな調整によって「目の前の人との会話をより聞こえやすく」「生活音など周囲の雑音をできる限りカットする」「観劇やコンサートでの音をクリアに」など、さまざまなパターンのきこえを確認することもできます。
「同じ器種でもグレードによって音の聞こえ方は大きく変わります。ただグレードの高さと比例して価格も高価になっていきますから、まずは『ここまでは改善したい』というご要望を教えていただければと思います。まずはお気軽にご相談ください!」
参考:補聴器のタイプについては、「自分に合った補聴器選びで快適な「きこえ」とコミュニケーションを」
「ブルーム」のような補聴器専門店で補聴器を購入するとなると、どんなに安い機器でも片耳で10万円以上、「目立たない小型のものを」「音の質にこだわりたい」などの要望を含めると、さらに高価になっていきます。
今回も、実際に価格を提示された時には、正直「高い!」と思いました。でもきこえのチェックや調整などの流れを体験してみると「それぐらいはかかるな……」とも思えるのです。さすがに、健診などの聴力検査とは大きく異なりました。

なぜなら、補聴器は「買っただけ」ですぐ使えるものではありません。一人ひとりの状態に合わせて音の設定・調整が必要になりそれを自分たちで行うのは本当に難しいこと。また、補聴器をつけた当初は、今まで聞こえていなかった音まで入ってくるようになるため「うるさい」「煩わしい」と感じる人も。その時も雑音を感じにくくする調整や細かな使い方のフォローなどを行い、「補聴器から聞こえてくる音」に慣れるまで伴走してくれます。やはり補聴器のプロ(認定補聴器技能者)に調整してもらうと、その後の「満足度」が違う!補聴器専門店ならではのノウハウですね。
「私ども『ブルーム』では、購入の前に無料の2週間のお試し期間を設けています。実際に補聴器をつけて生活していただき、きこえの状態、使いこなせるかといった点を確認していただきます。もし『ちょっと違う……』と感じたら、またお店に来ていただき、再調整はもちろん、別の器種の体験に切り替えるといったことも行います。使って、納得してから購入できる、それも補聴器専門店で購入することのメリットではないでしょうか」
近日中に私も母と補聴器専門店を訪ねてみよう……改めてそう思った取材でした。
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