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第7回:相談者30代、対象者(両親)70代
画像はイメージです
20年ほど前に親を呼び寄せ、母を看取った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて考えるように。施設やそこで暮らす親世代、認知症、高齢の親と子どもの関係、終末期に関するブックレビューなどを執筆
“そろそろ親のこと”……と考える「オヤノコト」世代はおおむね40代以降が中心になりますが、超高齢化が進むにつれて、90代超の親世代と70代の「オヤノコト」世代も増えています。今回はそれとは対極、30代で両親の介護に直面した方の事例をご紹介します。
「介護は突然はじまる」とよく言われますが、まだ30代の荒木真由美さん(仮名・38)も同様でした。荒木さんと弟さんは都内に、ご両親は近県に住んでいました。
「お父さまが交通事故に遭われました。重症なので急いで来てください」
荒木真由美さんの介護は、警察からの電話ではじまりました。
69歳の父親が交通事故に遭ったという連絡でした。一時は心肺停止に陥り、幸い蘇生したものの高次脳機能障害を負い、植物状態となったのです。2021年12月のことでした。
「ほんの2週間前、両親の結婚記念日に実家を訪れて話したばかりでした。警察から電話が来たとき、はじめは冗談かと思ったくらいです」
運ばれた急性期病院では、父親がもうこれ以上回復する見込みはないと言われ、1カ月で転院を迫られました。地域連携室から転院先として示されたのは二つ。長期療養病床か、「医療施設型ホスピス」と呼ばれる民間の医療介護施設でした。父親は、自発呼吸はできていましたが人工呼吸器が必要だったので、転院先が限られていたのです。
「長期療養病床は暗いイメージがあり、父をそこに入れるのはかわいそうに思いました。そこで、看護師や介護士が常駐し、訪問診療を受けるという医療施設型ホスピスに転院することにしました」
これが、荒木さんが初めて接した高齢者施設でした。訪問医への不満がなかったわけではありませんでしたが、この年に荒木さん自身の結婚や病気があり、ひと月に1度くらいしか面会に行くことができなかったこともあり、「こんなものかな」という程度の感想だったといいます。
面会は荒木さんの弟が行ってくれていましたが、病院とのやり取りは荒木さんが中心となってやっていました。というのも、母親は事故の数年前から少しずつ物忘れがひどくなっていたのです。
父親の事故の直前に、荒木さんや家族の強い勧めで脳ドックを受けていたのですが、母親は「脳梗塞のあとが見られる」という診断書を隠していたし、何より父親の事故でそれどころではなくなっていました。それがいよいよ様子がおかしいと思うようになったのは、2023年のこと。
「冷蔵庫の中のものの管理が苦手になり、同じものが大量に入っていたり、古い食品があったりしました。それまで作れていた料理が作れなくなり、何度も行ったことのあるお店で食事しているときにトイレから戻れなくなったり、今日の日付がわからなくなったり……父の事故で認知症がより早く進行したのかもしれません」
専門病院を受診すると、「脳血管性認知症」と診断されました。高血圧や脂質異常、高血糖といった生活習慣病歴もあったので、医師からは生活習慣を改め、脳トレをするよう勧められたといいます。介護認定も受けて要支援1と認定されましたが、母親はこのときまだ72歳。高齢の人が多いデイサービスに行ってほしいとは言えず、内科のかかりつけ医の「刺激が必要だから、自治体のクラブでもいいので参加させてください」というアドバイスに沿って、太極拳に参加するようになりました。ところが、しばらくすると母親の見当識障害(※)はさらに悪化したのです。
「教室の時間や場所がわからなくなっていました。ライングループでの会話にどう答えていいかわからない。文字入力もできなくなっていました」
太極拳のメンバーとのコミュニケーションができなくなり、辞めざるを得なくなりました。母親の症状の進行を目の当たりにして、弟と再度別の専門医を受診した方がいいのではないかと意見が一致し受診したところ、診断は変わりませんでしたが、ここで母親が薬の管理ができていなかったことが判明したのです。飲み忘れは言うまでもなく、薬の取り違えもあったことがわかりショックを受けていた荒木さんと弟でしたが、決定的なできごとが追い打ちをかけました。
かかりつけ医からの帰り、いつも使うタクシーがつかまらず、徒歩で帰ろうとした母親でしたが……。
「見慣れない道に入って、自分のいる場所がわからなくなったようです。そこから延々17キロも歩いて、深夜に警察に保護されたのです。周りが暗くなったのにも気に留めず、高速道路の料金所に入ろうとしたところを、料金所の職員が呼び止め、警察に連絡してくださいました。有人の高速入り口だったのが幸運でした。ケガなどもなく元気でしたが、母は駅周辺を歩いているつもりで、夜になったことは気にならなかったと言うので、見当識障害が一段上がったと思いました」
荒木さんは、「もう母親を一人で外出させられない。施設を検討するときが来た」と腹をくくったのです。
※見当識障害:日付や時間、場所、人物を認識、把握する能力が低下した状態のこと。認知症の中核症状のひとつ。
(第2話は後日公開します)
みんなで考える「そろそろ親のこと、自分のこと・・・」
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