40歳を過ぎたらオヤノコト

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親の呼び寄せは、親の今の状況ではなく、3年、5年先をシミュレーションしてから考えることが大切

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

先日、40代のご夫婦がオヤノコト.ステーションで開催している『高齢者施設の選び方』セミナーに参加された。セミナー終了後、お話をお聞きしたところ、80歳に近い母親が一人で九州に暮らしているという。「今は元気なんですが、やはり先を考えると心配で・・・」と、東京への呼び寄せを考えているとのことだった。
ただ、詳しく訊いてみると、母親にはまだ相談していないという。
さすがに、まず本人の意向を先に確認することが大事であると伝えたが、このご夫婦のような不安を漫然と抱えたままの40代、50代は相当数いるだろう。
このご夫婦の場合、老人ホームとサービス付高齢者向け住宅の区別はよく判らないとのことで、今はまだ元気なので「賃貸マンションではどうだろうか?」とも尋ねられたが、80歳近い年齢を考えれば、具合が悪くなったときやこれから年齢を重ねるにしたがって出てくるであろう心配ごとを考えると、賃貸マンションではお互いに不安が出てくるのでリスクが高いのではないか、とお答えした。
なぜならば、昨今、シニア向けの「賃貸住宅」も増えてきた。これらは、建物や居室がバリアフリーの仕様であったり、外部の警備員が駆け付ける見守りサービスなどがついているのが特徴だ。ただ、常駐の職員などはおらず、老人ホームやサービス付高齢者向け住宅とは基本的なコンセプトやサービス内容が異なる。
つまり、シニア向け賃貸はあくまでアクティブシニア向けのモノと考えるべきなのだ。
よくよく考えて欲しい、仮にシニア向け賃貸マンションに(元気とは言え)高齢の田舎の親を呼び寄せたとしても、結論から言えば「日中独居」であることを忘れてはならない。
高齢になり、長年住み慣れた故郷を離れて、知人の少ない東京で暮らすのも、その環境に慣れるかどうかも気がかりだ。さらに、共働きが当たり前の昨今、ほぼ1日中ひとりで過ごさなければならないのだが、
見守りなど、生活のサポートをしてくれる常駐職員はいないので、まさに孤独である。
これでは、何のために呼び寄せたのか、本末転倒になってしまう。
元気シニアが多いとは言うが、75歳を過ぎれば、要介護認定率も一気に上がる。
呼び寄せるのはよいが、親の住まいを考えるときは、今だけでなく、これからの3年先、5年先の親の状況をシミュレーションしながら慎重に選択していくことが大切だ。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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