40歳を過ぎたらオヤノコト

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自分は「何が得意か?」「何だったら輝けるのか?」準備を

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

人生100年を健康で暮らしていくためには、「自分らしい生き方ができるか?」ということが何より大事だと思う。もちろんお金も大事なことだが、身体だけでなく「心」の健康もあってこその物種ということではないだろうか?
先日、ラリードライバーの篠塚建次郎氏をテレビで見た。ご存じの方も多いと思うが、篠塚氏といえば、パリ・ダカール・ラリーに出場して1997年に総合優勝し、91、92年には世界ラリー選手権(WRC)アイボリーコーストラリーでも2年連続優勝、WBCとパリ・ダカで日本人初の優勝者という快挙を成し遂げた人だ。
そんな篠塚氏も御年70歳と聞き、「もう引退してのんびり暮らされているのだろう」と勝手に推測しながらテレビ画面を眺めていたが、実は現役バリバリ。生涯現役を掲げて安全運転などの講習会や講演などをこなしているという。
何より驚いたのは、2002年にセネガルのダカールに小学校を寄贈していたこと。パリ・ダカのご縁から、ずっと現地に関わりたいという思いで学校を寄付し、毎年現地の子供たちにノートを贈っているそうだ。
現地の小さな子供たちが、篠塚氏のことを「ケンジロー! ケンジロー!」と大きな声で迎えていたのにはびっくりした。
そんな子供たちに元気をもらっているという篠塚氏の言葉に「人生100年時代の働き方、生き方」のヒントを感じた。
篠塚氏のような生き方は、さすがに誰にでもできるわけではないが、年金や社会保障の先細りが間違いない中で、高齢期に入ってから「いつまで働き続けるのか?」と漫然と不安を感じて生きるよりも、自分の好きなこと、得意なことをいかして稼げたら、それに越したことはない。例えば、紙飛行作りや飛ばし方を子供に教えて稼ぐなんてことだってできるはずだ。まずは、自身は「何が得意か?」「何だったら輝けるのか?」を考えて準備してみるのもいいだろう。
政府も介護離職ゼロに向けて民間の老人ホーム設立に支援金を出すならば、定年後に自分をいかして稼げるための学校をつくるくらいの粋なことしてほしいと思う。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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