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「大廃業時代」を生き抜くヒントとは 自分が好きなことで年齢に関係なく生きていく

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

昨年の秋にNHKで「大廃業時代~会社を看取(みと)るおくりびと~」という番組をやっていたのを記憶している読者も多いだろう。
今や年間4万件が廃業する大廃業時代。国の試算では、2025年までに650万人の雇用と22兆円のGDPが消失する可能性があるというが、今回の新型コロナウイルス禍でこの廃業は飲食業や観光業を中心にさらに加速度を付けてくることは容易に推測できる。
そもそも、日本の企業の99.7%が中小企業なのだから、この大廃業時代というのは深刻な問題であることは間違いない。この先、さらに高齢化も人口減少も進むから、このことが日本経済を追い詰めていくだろう。
そんな時代に、人生100年を生き抜かねばならないのだから大変だ。
ところで、前回も書いたが、自分が好きなことで、年齢に関係なく生きていく(稼いでいく)ということは1つのヒントになると思う。その1つに小規模なビジネスを個人で買収してオーナーとして働くというのもありではないだろうか?
これもNHKで以前に放映していたのが、ごく普通のサラリーマンが中小企業を数百万円で買い、オーナー社長に転身するという、個人M&Aについての番組。老後の暮らしに不安を抱くサラリーマンが、M&A情報サイトで後継者に困っている中小企業をサーチして、買収に乗り出しているというストーリーだった。
今年4月にも歌舞伎座前のお弁当屋「辨松(べんまつ)」が閉店となり、100年以上の歴史のあるお店がその歴史に幕を閉じたことは寂しい限りだが、コロナだけでなく、団塊の世代の経営者たちが後継者不足から廃業を余儀なくされるケースも多く、その半分は黒字廃業だという。
とすれば、一国一城の主としてやりがいも得られ、後継者不足に悩む中小企業の大量廃業という社会課題の解決にも貢献できる個人のM&Aにチャレンジしてみるのも一考だ。
とはいえ、経営はそれほど甘くはなく、経営に行き詰まる人も少なくない。しっかりと準備して、不断の努力を惜しまず取り組めば、人生100年時代を自分らしく生き抜くことができるかもしれない。

=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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