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【オヤノコトスタッフ体験談】一人暮らしだった父が他界して1年。私が向き合う「オヤノコト」/【第1回】「実家じまい」はいつ終わる?

記事の発言・監修・ライター
「オヤノコト」編集部 ライター
岡田知子(Tomoko Okada)

雑誌やWeb媒体などで、健康・実用系記事の執筆や編集を中心に活動中。介護施設への転居や、病院でのほぼ寝たきりの入院生活を経た両親を見送り、現在は実家の片付けや売却などに悩む、まさに「オヤノコト」世代。人生100年時代に備え、最近は「歯の健康」や「筋力維持」といった体のケアに興味津々。

「オヤノコト」ライターの岡田です。
昨年、実家で一人暮らしをしていた父が亡くなりました。母を見送ってから1年も経たないうちのことでした。

親のことは、いつか向き合わなければならないもの。ですが、1年の間に両親を相次いで見送るとは、思ってもいませんでした。いざそのときが来てみると、想像すらしていなかった問題に直面したり、懐かしい思い出に胸がいっぱいになったり、いろいろなことが起こっています。

今回から全3回にわたって、私自身が経験した「オヤノコト」にまつわる体験談をお届けします。

第1回は、私が今、最も頭を悩ませている「実家じまい」についてです。実際に片付けを始めて知った現実や、思い出の品との格闘とは?

片道2時間弱。休みの日にせっせと実家に通うけれど……

親が元気なうちは、どこか他人事のように思っていた「実家じまい」。まさか自分が、こんなにも時間と体力、気力を使うことになるとは、全く想像していませんでした。

築50年ほどの実家へは、私の自宅から電車とバスを乗り継いで片道約1時間40分。乗り継ぎのタイミングが悪いと、片道約2時間かかることもあります。

郊外の住宅街にある2階建ての一軒家で、庭付き。玄関までは外階段があります。かつては弟を含む家族4人が暮らし、にぎやかだった家です。

いずれは売却することを考えていますが、現在は2~3カ月に1度ほど、連休や週末を利用して実家に数日滞在しながら、片付けを進めています。

両親が使っていたベッドや大きな婚礼家具のほか、庭には物置などもあり、自分で粗大ゴミに出すのも大変なので、最終的には遺品整理業者にお願いするつもりですが、それまでに必要なものと不要なものを仕分けておかなければなりません。現在はその作業の真っ最中です。

ですが、2~3カ月に1度では、行くたびに「前回はどこまでやったっけ?」から始まります。移動だけで片道2時間弱、到着したら、窓を開けて換気して掃除。気づけば半日が過ぎ、「今日は何も片付けられなかった」ということも珍しくありません。

きれいだった庭が、まるで廃墟のように。切ない思いも

実家の片付けというと、家の中のものを整理することばかり考えていましたが、まずは家の外に問題がありました。

久しぶりに帰省して驚いたのが、庭の荒れようです。草木や雑草が伸び放題で、一瞬「ここ、廃墟?」と思ったほど。これは盲点でした。
防犯の面でも心配なので、慣れない草むしりに挑戦してみましたが、私は虫が大の苦手! 少しむしっては「ぎゃーっ!」と奇声を上げることになり、ごめんなさい、私には無理でした。

弟にもお願いしましたが、仕事も忙しく、なかなか時間が取れません。

結局、ホームセンターで除草剤を購入。玄関へ続く階段と玄関周りなど、外から見える部分だけにまきました。おかげで、今のところ最低限の見た目は保てていますが、そのほかの庭は、正直、あきらめて放置しています。

今は、地域のシニアボランティアなど、庭の手入れを手伝ってくれる人がいないか探しているところです。

「庭付きの一軒家」というのは、私たちの親世代にとっては憧れだったのだと思います。私も幼いころ、庭でボール遊びをしたり、アサガオやヒマワリを育てたりして、楽しく過ごした記憶があります。

ですが、その庭が大きな悩みの種になるとは思いもよらず。同じような実家を持つ幼なじみや友人も、「うちも大変」と、同様の悩みを抱えているようです。

そして実は、この庭を見るのが、最近はちょっとつらいのです。

かつての庭は、母が丁寧に手入れをしていて、季節ごとに花がきれいに咲いていました。芝生は父がこまめに刈り、青々と整っていました。それが今では、こんなに荒れ果てた姿に……。除草剤をまきながら、なんだか切なく、両親に申し訳ない気持ちにもなりました。

住人不在で傷んでいく家。閉めきり&湿気でこんなところにカビ⁉

もうひとつ、改めて実感したのが「家は人が住まなくなると傷む」ということです。話には聞いていましたが、これほどとは思いませんでした。

まず、家の中の湿気がすごいです。
フローリングは傷み、特に夏場は、木製の玄関ドアやトイレのドアは湿気で歪んでしまい、きちんと開け閉めできない状態に。家は、人が出入りして空気が動くことで保たれていたのだと、思い知らされました。

いちばん衝撃的だったのは、夏に帰省したときの冷蔵庫です。
実家から自宅へ帰るときは、漏電などしないように電気のブレーカーを落とし、冷蔵庫の中は空にしています。

あるとき、実家に着いて、冷蔵庫の扉を開けた瞬間、「え、、何これ??」。庫内に見たこともない色のカビがびっしり生えていたのです! これでまた掃除に時間を取られ、もう片付けどころではありません。

それ以来、実家を後にするときは、冷蔵・冷凍庫の扉をすべて開け、水がたまるタイプの除湿剤を「これでもか!」と置くようにしています。これは我ながらなかなかいい作戦で、とりあえず、冷蔵庫内にカビは見られなくなりました。

遠方に住んでいて毎週のようには通えない場合、空き家の管理は大きな課題です。換気や通水、庭の手入れなど、「住んでいない家をどう維持するか」は、片付けと同じくらい大変だと実感しています。

父はきれいに片付けてくれていた。でも、大敵はほかにいた

実は父は、母が亡くなってから、家の中の片付けを着々と進めていました。押し入れやたんすはほぼ空っぽで、母と父の衣類も整理済み。おかげで思っていたより家の中はすっきりしていました。

そのため私も、「残っている食器とアルバムくらいを整理すれば、片付けもそれほど大変ではなさそう」と、軽く考えていました。

ところが、思わぬ伏兵がいました。かつて自分が使っていた部屋のクローゼットを開けてみたところ、私のものが大量に出てきたのです! 気に入っていた高校のセーラー服、段ボールいっぱいのCDやカセットテープ、ビデオテープ、アルバム、手紙、サイン帳(懐かしい!)、手芸道具、15冊以上の日記……。

一人暮らしを始めたとき、これらをすべて実家に置いてきたことをすっかり忘れていて、クローゼットの前でしばし呆然。

どんどん処分していけばいいだけの話ですが、つい手に取って中を見てしまったら最後、あっという間に日が暮れてしまいます。

ぼろぼろになってセロハンテープで補修された絵本が出てくれば、「この絵本、大好きだったなぁ」と思い出します。日記を開けば、「きょうは、みんなではなびをみにいきました」と、家族との日々をつづった幼い文字が目に入り、これでは簡単に処分できません。

結局、すぐには捨てられないものは、「ひとまず保管」と書いた段ボールに入れることにしました。

でも、そこでまた新たな問題が。この何個もの段ボール、一体どこに置けばいいの?

私の自宅マンションには、そんなスペースは到底ありません。となると、トランクルームを借りるしかない? これもお金がかかるし、どうしたらいいか考えあぐねているところです。

「実家じまい」のために片付け始めたはずなのに、自分の思い出の品々と格闘するとは。これは時間がかかりそうです。実家に自分のものを残している人は、今から早めに、少しずつでも片付けを進めることをおすすめします。

親に想いを馳せながら、焦らず、少しずつ「実家じまい」

なかなか進まない実家の片付けですが、大変なことばかりではありません。思いがけない発見も多くありました。

初めて見る両親の結婚式や新婚旅行の写真が出てきたり、父の幼稚園時代の写真や小学校の通信簿を見つけたり。

「お父さん、こんな子どもだったんだ」と、思わず笑ってしまうことも。親の若いころの姿を、親が亡くなってから知るというのは、なんとも不思議な気持ちになります。

「こうやって1人の人間が人生を生き抜いたんだな」

幼少期から亡くなるまでの親の姿をたどりながら、そんなことを感じ、また寂しさが込み上げてきたりもします。

私が生まれたときのアルバム(台紙に写真を貼り、フィルムをかぶせるタイプのもの!)には、母の手書きのコメントが挟まれていました。

「ミルクをいっぱい飲んでご機嫌」「おでこをぶつけてイタタ」。そんな何気ないひと言を目にして、愛情をもって育ててもらったことに、改めて感謝の気持ちも湧きました。

写真などに思わず見入ってしまい、片付けが一向に進まないのは困りものですが、こうした発見があるのも、「実家じまい」ならではなのかもしれませんね。

これまで他人事だった「実家じまい」。いざ自分が始めてみると、一体いつ終わるのやら、正直、全く見当がつきません。

ですが、急いで処分しても、きっと悔いが残るでしょう。私は、3年ほどかけるつもりで、無理せずのんびり、少しずつ進めていこうと考えています。

「実家じまい」とは、残されたものを片付けるだけではなく、親の人生や家族の思い出、自分の記憶に触れる大切な時間でもあるのだと、今は感じています。

(第2話につづきます)
次回は、「両親の葬儀とその後の日々」についてお届けする予定です。

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