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第8回:相談者50代、対象者(母親)80代
20年ほど前に親を呼び寄せ、母を看取った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて考えるように。施設やそこで暮らす親世代、認知症、高齢の親と子どもの関係、終末期に関するブックレビューなどを執筆
岡村涼子さん(仮名・57)の母親(88)は認知症で、半年前に父親を亡くし一人暮らしになりました。 小規模多機能の施設で、デイサービスや訪問介護を利用しています。デイサービスに行かない日は、岡村さんが母親の様子を見に行っていますが、不安の強い母親の言動や同じ会話の繰り返しに、精神的にも限界が来ているのを感じています。
(第1話はこちら)
それでも岡村さんは、母親が歩けるうちはできるだけギリギリまで自宅で暮らしてほしいと考えています。母親にとっての一人暮らしの困難さを痛感しつつも、施設入居に踏み切れないのは金銭的な理由もありますが、施設の実態を目の当たりにしているからです。
というのも、岡村さんは介護職なのです。勤務先は、認知症の人たちが暮らすグループホーム。“家庭的な雰囲気のもとで自宅にいるように過ごす”というのがグループホームの特徴ですが、介護職員として入居者の実態を見ると理想と現実のギャップに戸惑うことが多いと明かします。
「もちろん、できる方には食事の準備や洗濯物畳みなどはお願いしますが、それはほんのいっとき。よほど職員に余裕のある日以外はレクリエーションもなく、入居者はリビングでボーっとテレビを見ているだけ。安全のため、部屋の窓も細くしか開かず、玄関にもカギがかかっていて、自由に外に出ることもできません」
壁に入居者の創作物が貼ってあっても、それはほとんど職員が作ったもの。「入居を検討しているご家族がいれば、季節に合った入居者の手による創作物があるかをチェックすればケアの質がわかると思います」とアドバイスまでしてくれました。
岡村さんが長く介護をしてきた認知症の伯父(97)は、最近療養型の介護老人保健施設に入所しましたが、勤務先の施設のように何もすることがない様子に胸を痛めています。
「職員に『ここでの楽しみは何ですか』と聞くと、『食事』という返事でした。伯父も食事以外の楽しみがない生活を送っているということでしょう。そしてそこまで状態が落ちてしまったという現実を目の当たりにした思いです」
母親も施設に入ると、自分が勤務している施設のようにただテレビを見ているだけの日々になるのだろうか。いくら「周りの人たちと仲良く過ごしています」と報告されたとしても、そうした環境に母親がいること自体耐えられない。それでは母親があまりにかわいそうだと思ってしまうのです。
「自宅にいれば、好きな時に緑に触れることもできるし、親子の距離も近いままでいられます。認知症でも生きている限りは楽しんでほしいし、楽しませてあげたいのです」
勤務する施設は、医療体制が充実しているのがウリです。少しでも異常があればすぐに医療につなげますし、ケガしたり転倒したりしないようできる限りリスクを排除し、職員も注意を払っています。栄養を考えた料理にも定評があるし、短い時間ではありますが毎日の体操にも力を入れています。
「だから、入居者の方たちは自宅にいるよりも長生きできるわけですが、それって矛盾しているのではないかと思えてしょうがないのです。安全安心の暮らしのために、考えられるリスクを取り除くということは、外に出る自由や楽しみもないということです。それで長生きをすることに意味があるのでしょうか」
さらに岡村さんは、この長生きが家族にとってリスクになることもあると感じています。
「親の年金と貯金でとりあえず何とかなるだろうと考えて入居を急いだものの、数年後に親の蓄えが底を尽き、子どもたちで不足分を負担し続けた結果、『この状態があとどれだけ続くのか。こんなはずではなかった』と、経済的に親を厄介者扱いする可能性もあります。そうなってしまっては親も子も不幸ではないかと思うのです」
だからこのまま母親が施設に入らず自宅で過ごす中で、自分の意思で外に出て、そのせいで転んで骨折しても、「それはそれで母親の運命ではないかと思います」と、岡村さんは言い切ります。
「母を施設に入れるか、最終的に決めるのは私です。でも母の人生を私が決めてしまう権利はないのではないか。認知症でも、生きている限りは楽しんでほしいと思うのは、私のエゴなのでしょうか」
(第3話につづきます)
みんなで考える「そろそろ親のこと、自分のこと・・・」
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例えば、「離れて暮らしている高齢の親のことが心配」「親の住まいはどうする?」という問題を解決しようとすると、「自分の親に適したサービスは?」「お金の準備は?」「空き家になった実家はどうする?」と、次々に連動した新しいお悩みが出てくるもの。
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