40歳を過ぎたらオヤノコト

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「オヤノコト」世代も要注意!あなたの「ひざ」は健康ですか!?

朝晩の冷え込みが一段と厳しい季節となってきました。
寒くなるにつれ、体のコリや関節の痛みが気になる…という方もいるのでは?

そんな中、迎えた11月13日は、ひざ関節の健康を促進する「いい(11)ひざ(13)の日」。これは、ひざの関節痛に効能がある薬を販売しているゼリア新薬株式会社が、ひざの関節痛の治療や予防を呼びかけることを目的に制定。気温が低くなり、ひざが痛み出す季節…ということも由来になっているそうです。

「ひざの痛み」と聞くと、70代以上、高齢の親世代に起こるもの…と思われるかもしれませんが、実は膝の痛みや違和感に悩み、整形外科や整骨院を訪れる40代、50代の方も少なくないと言われています。実際、50代前半の筆者も数年前、筋トレ中にひざを痛め、病院に行ったところ「変形性膝関節症だね」と。一時はひざに水が溜まって歩くのもつらいほど悪化、長―――い治療期間を経て、やっと症状改善にこぎつけた一人。ひざの痛みは「オヤノコト」世代にとっても、決して“他人事”ではないことを痛感しています。

ぜひ、この「いいひざの日」を機に、ひざ痛の原因や治療に関する正しい知識を身に付けて、親子一緒に痛みや不調のない健康なひざをキープしていきましょう!

◆40代以降の「膝が痛い!」は、『変形性膝関節症』によるものがほとんど

「ひざが痛むみたいで階段の昇り降りがキツそう」
「ひざが痛いから…と、最近は外出の機会も減っているみたい」
…そんな親の状況に、心を痛めている「オヤノコト」世代も少なくないのではないでしょうか。

加齢と共に増えるこうした膝の痛みや違和感は、膝の関節内でクッションの役割をしている「関節軟骨」がすり減り、骨が摩擦することによって起きる『変形性膝関節症』によるものがほとんど。この疾患は進行性なので、始めは「ちょっと膝が曲げにくいな…」といった違和感がある程度であっても、そのまま放置してしまうと、痛みが強くなる、膝に炎症が起きて水がたまる…など、日常動作に支障をきたすまでに症状が悪化する恐れもあります。

では実際に変形性膝関節症を発症すると、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。
その進行度合いによって見ていきましょう。

●軽度

なんとなく動かしにくい、膝におもりがついているような違和感がある
歩いている時には問題ないが、階段昇降時(特に降りるとき)に膝が痛い

●中度

歩いている時など、動作中はずっと膝が痛む、膝を曲げ切ることができない
膝に水が溜まって腫れている

●末期

脚の変形が見られる、脚が横揺れしてまっすぐ歩くことが難しい
歩くことが難しくなり、杖や車いすに頼らないと外出できなくなる

ひざに痛みや違和感があると、どうしてもその部分をかばいながら動作をすることになるため、体本来の正しい姿勢・バランスが崩れてしまいがち。それによって、腰や足首など別の部位に過剰な負担がかかり、痛みや不調の範囲が広がる…なんてことも珍しくありません。残念ながら変形性膝関節症は自然治癒できる疾患ではないため、症状が軽いうちから早めに診断・治療を受けることが非常に大切! 特に高齢の親世代はちょっとの痛みくらいでは「たいしたことはない」「この程度で病院に行くのは…」と、通院を敬遠してしまうことも。少しでも痛みや違和感があるようでしたら、早めの受診を呼び掛けてください。

そして、それは「オヤノコト」世代にとっても同じこと。長く健康なひざを維持するためにも、痛みや違和感が続くようなら、すぐに専門医に相談するようにしましょう。

◆変形性膝関節症を進行させないために…今日からできる治療&予防法をチェック!

専門医で変形性膝関節症と診断された場合、投薬によって痛みを抑える、ひざ関節にヒアルロン酸やステロイドを注射する…といった治療が行われます。ただ、痛み止めなどの投薬は対処療法でしかありませんし、ヒアルロン酸の注射による効果は一時的で繰り返しの治療が必要になります。しかも症状が進行した場合にはその効果も弱まってしまうことも…。またステロイド注射は軟骨を破壊する恐れがあるため、繰り返しの治療は推奨されていません。

そのため、必要になってくるのが「運動療法」です。

ひざに痛みや違和感があると、外出の機会が減り、歩く時間・距離が短くなるため、ひざの周りの筋肉が落ちてしまいます。その結果、関節の安定性が悪くなり、ますますひざに負担がかかる…といった負のスパイラルに陥ることも珍しくありません。だからこそ早くから「運動でひざ周りの筋肉を鍛える」習慣をつけることが大切なのです。

では実際にどのような運動をするのが良いのでしょうか。ここでは筆者が通った整形外科そして整骨院の先生から推奨され、実際にひざ痛軽減につながった運動療法をご紹介します。簡単で高齢の親でもすぐに実践でき、健康なひざの状態をキープすることにも役立ちますので、ぜひ親子ともども取り組んでみてください!

●ひざ周りの筋肉を効率的に鍛えるトレーニング

ひざを大きく曲げることなく、また、強い負荷をかけなくても効率的にひざ周りの筋肉を鍛えることができるトレーニングです。3つとも寝たまま、座ったままでできる簡単なものなので、ひざ痛にお悩みの高齢の親でも安心して取り組めるはずです。

ただし、トレーニングをする際には以下の点に注意して、決して無理はしないようにしてくださいね。

  • ひざを曲げすぎない。ひざを曲げる角度が深いほど、負担が大きくなります。
  • 急激な動きを避け、ゆっくりと行う
  • 痛みを感じる時にはやらない、痛みが生じたら中止する

オススメのトレーニング1 脚の上げ下げ運動

1.仰向けに寝ます
2.片足を伸ばした状態でゆっくり10回上げ下げします
3.反対の足も同様に上げ下げします

オススメのトレーニング2 脚の曲げ伸ばし運動

1. 脚を伸ばした状態で床に座ります(寝てもOK)
2. 片足を可能なところまで10回程度曲げ伸ばしします。
3. 反対の脚も同様に曲げ伸ばしします。

両方とも片足10回ずつ、1日2~3セットを目安に続けてみましょう!

オススメのトレーニング3 太もものマッサージ

1. イスやベッドに座った状態で、太ももの前側をマッサージ
2. コロコロと転がすタイプのマッサージ機を使うのも◎
3. 左右それぞれ3分~5分程度もみほぐしておきましょう。

●ちょっぴり…ダイエットも頑張ってみては?

変形性膝関節症は、ひざにかかる負担を軽減させることが予防や症状の改善につながります。そのため、健康診断の際に体重やBMI値が高いと指摘されているのであれば、体重を減らすだけでもひざへの負担が減り、痛みが改善する可能性もあります。すり減ったひざの軟骨を修復することはできないため、体重を落とすだけで完治…とはなりませんが、症状の軽減、進行を遅らせるという点では大きな効果が期待できます。

ただし、無理な食事制限でのダイエットは筋肉量を減らし、かえって動作がしにくくなることもあるので、バランスの良い食事+適度な運動での減量を心がけましょう。

●ウォーキングなどの有酸素運動

ひざに水が溜まっている、腫れている、痛みがあるといった症状がないのであれば、無理なく歩ける程度のウォーキングなどの有酸素運動でひざ周りの筋肉を鍛えましょう。適度な運動は筋肉や腱の柔軟性も高まり、「痛みが起きにくい体づくり」にも役立ちます。ひざ痛予防だけでなく、メタボ予防にもつながりますので、親子で一緒にウォーキング…というのもオススメですよ。

ただし、ひざへの負担を軽くするため、アップダウンが激しい&階段の昇り降りがあるコースは避けるようにしましょう。

そして、「痛みが再発するのでは…と心配」「長い時間歩くのは不安」という場合は、通いやすい場所にあるフィットネスジムなどで、ひざへの負担が少ないエアロバイクやプールでの水中歩行はいかがでしょうか。多少の費用はかかってしまいますが、「今日はエアロバイク、次回はプール」と、さまざまな運動ができるので飽きずに続けることができます。

週末だけの利用、家族一緒に入会など、利用する曜日や時間、人数によって利用料金の割引を設けているフィットネスジムも多いので、「週末だけ親を誘って一緒に…」なんて運動習慣をつけるのもいいですね。

◆正しい診断と対策でいつまでも健康なひざを維持しましょう!

変形性膝関節症による痛みや違和感は、症状が軽い段階で診断を受け、適切な治療を行うことで症状の進行を食い止める、遅らせることができます。また、ある程度症状が進んでしまっても、時間はかかりますが、有酸素運動や筋力トレーニングを根気強く続けることで、筆者のように「多少違和感があるかな…」程度まで改善させることもできる疾患です。

ひざが痛いと「外に出たくない」「長く歩けない」と、外出への意欲を削がれ、家にひきこもりがちになるなど、生活レベルの低下につながることも少なくありません。まずは親子で散歩…からでも対策を始めてみてはいかがでしょうか。

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