40歳を過ぎたらオヤノコト

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離れていても、近くにいても気になる親。高齢になると「見守り」が必要だと思う時期がやって来ます

記事の発言・監修・ライター
紅谷りか(Beniya Rika

在宅医療サービスを展開する企業の広報(非常勤)として業界を俯瞰。フリーランスのライターとして取材記事も広告コピーも書く。スポーツ誌のパラアスリート取材、企業の働き方改革や育児・介護休暇に関する媒体制作なども多い。

両親がともに「健在」なら少しは安心。
でも、いつまで? 
どちらかの介護が始まったら?
そして、どちらかを見送ったら、「親の一人暮らし」の始まりです。
たとえ一緒に住んでも、昼間は一人きりになってしまう…。
そんな心配に応えてくれるのが、いわゆる「見守り」サービスです。

「見守り」サービスにはいろいろあります

これまで編集部に寄せられた声を分析すると、「家の中にカメラを設置したり、宅配業者が配達のついでに様子を見てくれたりするんでしょ」。「見守り」サービスに対するオヤノコト世代の認識は、こんな感じのようです。あなたの周りでも(年齢も性別も関係なく)だいたいがこの程度の認識ではないでしょうか。

間違ってはいませんが、高齢者の単身世帯も増加している日本で、親世代の見守りは料金や契約が必要な企業の「商品」に限りません。少し調べれば、親の住む自治体でも「見守り」サービスと言える事業はあるはず。
つまり、民間と自治体のどちらも実施しており、かつ自治体では町会や民生委員などはもちろん、電気・ガス・水道・郵便・新聞・生協・宅配といった事業者と組んで地域のネットワーク作りを進める事例が増えています。

ただ、遠く離れた親とは年末年始くらいしか会えない場合、自治体がどこまで見守ってくれるのかなどは到底想像もできず、さまざまな「見守り」サービスを検討した方もいるでしょう。
実は「見守り」サービス商品は約20年前から次々と登場していますが、「親には機器の操作が難しい」「インターネット工事が煩わしい」などの理由であまり広がってこなかったのが現状。
緊急時にしか必要でないサービスなのに、「こんな料金を毎月払うんだ」と考え「うちはまだ大丈夫だろう」と正常バイアスがかかってしまう人も多いのかもしれません。
 

自分の親に一番の見守りとは?

それでも、「親のことを誰よりも心配しているのは子どもである私」、と、行動に移したいと思っている人も多いでしょう。そしたら、商品パンフレットを取り寄せる? いえいえ、その前に、まずは親とよく話し、親の日常を知ることが重要です。

どんな毎日か、持病や心配事は何かとともに、今何が楽しいのかといった生きがいや、子どもに見守られることをどう思うかまで、率直に話し合いましょう。
たとえば最初は「監視されたくない」と親が言ったとしても、親のことを心配する「素直な」自分の気持ちや、親に何かあって介護離職したら家族みんなが困ってしまうことまで話せば、「監視ではなく、見守りは愛情とリスクヘッジに必要なモノなんだ」と理解してくれるかもしれません。

ところで、「見守り」サービス商品も多種多様で進化しています。
親の実情に合わせて、安否確認でいい段階、昼間だけ見守ってほしい場合、外出時に携帯できる装置が必要、などの判断で選びます。
そして、自分への通知がどんなシステムかも確認しましょう。
さらに、自治体の見守りサービス事業もチェックしてみることもお勧めします。
「町会の活動が簡易な安否確認になっているから、室内センサーを設置するサービスにしよう」など、選択肢や判断材料が増えます。
「親のこと」を先延ばしにして後悔しないために、そろそろ親の暮らしと真剣に向き合ってみませんか?
 

■「うちは大丈夫!」と思っていたら… オヤノコトネットに寄せられた事例を紹介します *オヤノコト.マガジン別冊2017.3より抜粋


ケース① 埼玉県 Kさん(50代女性)
いつ会いに行っても母は元気いっぱい!でも実は…

父は早く亡くなり、一人暮らしの長い母。80歳近いけどいつも元気な笑顔で迎えてくれるので安心していました。ところが先日、実家のお隣さんから「ここ一年くらい夜に周辺を歩き回っていて、最近はその回数が増えている」と母の様子を忠告されてビックリ! もう一人にしておけないのであわてています。
▼「オヤノコト」編集長よりヒトコト
何もない時こそ見守りサービスの始め時。親の「変化」に少しでも早く気づくことができれば、「突然」やってくる日の準備を進められます。

ケース② 栃木県 Mさん(40代男性)
一人暮らしの父、本人の「大丈夫」は本当に大丈夫?

昨年母が亡くなって同居を勧めましたが、「大丈夫」「一人が気楽」と言いはる父。一年経つと、帰省するたび家のなかは汚れ、コンビニ弁当やカップ麺の食生活が丸わかりに。それでも同居に首を縦に振らないのですが、最近は急激に口数が減り、ぼーっと座りっぱなしの時間が多いようでとても心配です。
▼「オヤノコト」編集長よりヒトコト
まずは一人暮らしの親が負担を感じない安否確認や緊急通報サービスを選びましょう。親の「日常」を確認できれば会話のきっかけになり、同居の糸口も見つけられます。

ケース③ 東京都 Oさん(40代女性)
通報サービス加入しただけで安心していませんか?

離れて暮らす母が心配で、何かあった時にボタンを押せばサービス会社の人が来てくれる緊急通報通報ペンダントを利用し始めました。一安心のはずでしたが、身につける習慣がつかず、室内で骨折する大ケガをした時も手が届かない場所に。たまたまご近所さんが訪ねてくれるまで動けませんでした。
▼「オヤノコト」編集長よりヒトコト
高齢者にとって、新しい機器やその操作は想像以上に高いハードル。できる限り普段の生活を変えないサービスを選び、慣れるまで優しく働きかけましょう。

ケース④ 長野県 Yさん(50代男性)
ありがたいけれど、多すぎる安否メールに正直うんざり…

一人暮らしの父の様子をメールしてもらう安否確認サービスを契約しました。しかし、朝から晩まで「◯◯を利用しました」の報告が何通も届いてうんざり。父の様子が「いつもと違う時」など緊急事態だけを知らせてくれるサービスにするべきだったと後悔しています。
▼「オヤノコト」編集長よりヒトコト
携帯電話や家電製品の使用状況を反映する安否確認サービスは千差万別。メールの頻度などの設定条件がこちら生活パターンに合うか、加入前によく確認しましょう。

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