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20年ほど前に親を呼び寄せ、母を看取った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて考えるように。施設やそこで暮らす親世代、認知症、高齢の親と子どもの関係、終末期に関するブックレビューなどを執筆 してきました。これまでに訪問した親世代の施設は100カ所以上、お話を聞いた方は数えきれません。今は「オヤノコト」が自分のコトになりつつあり、自分の変化も観察しているところ。
子どもが住んでいる場所の近くのサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)に親が住み替える、近居のケースが増えています。
「親を近くに呼びたい。でもマンション住まいなので同居するのは無理」。
「長いこと離れて暮らしていたので急に同居するのはお互いに不安」
「まだ老人ホームだと早いかも」……そんなときに選ばれているのがサ高住。
サ高住の視点から見た親の呼び寄せを成功させるポイントについて「ハイムガーデン立川幸町」ホーム長の北村恵美さんにお話を伺いました。
取材協力:「ハイムガーデン立川幸町」(東京都立川市)
「ハイムガーデン立川幸町」でも、子どもの近くに住み替えて入居する例は多いそうです。親が近くに来てくれるのは安心ですが、呼び寄せるきっかけがなかなかつかめないという子世代も多いのでは?呼び寄せを提案する適切なタイミングはあるのでしょうか。
北村さんは、親の変化に早いうちに気づくことが大切だと言います。
「親は、子どもが帰省したときだけがんばってしまうので、親の変化に気づくのが遅れてしまいます。前もって親の住まいについての情報を集めている子世代でも、親が脳卒中で倒れたり、認知症になって介護が必要になったりなどと、重大な異変があってようやく呼び寄せなどの行動に移すということが多いですね」。
その一方で、それまで元気で暮らしていた親も、年齢が高くなるにつれてだんだん不安を覚えるようになり、親の方から「子どもの近くに移りたい」と言い出すこともあるのだとか。「忙しい子どもに頻繁に自分の様子を見に来てもらうのが、申し訳ないと考えられるのでしょう。子どもに迷惑はかけたくないという“子ども孝行”な親世代が多いなと感じますね」。
いつまで経っても、親は親。そんな気持ちがありがたいですね。
では、なぜ早いうちの気づきが大切なのでしょうか。
「親に、第二の人生を楽しめるだけの気力、体力があるうちに住み替えてほしいからです。住み替えによって環境が大きく変化し、それまでの友人関係もなくなります。住み替えたあとで楽しめることがないと、親は失うことばかりになってしまうのです」。
そこで、親の変化に早く気づくためのチェックポイントを教えてもらいました。
「キレイ好きだったのに、部屋が汚れている。好きだった趣味をやらなくなったなど、小さな変化がないか、帰省するたびにしっかり観察してほしいですね。親が好きなことなど、子どもでないとわからないことも多いですから」。
親の趣味や性格を把握している娘なら気づくかもしれませんが、息子だとなかなかむずかしいですね。息子の場合は、親の変化を認めないことが多いと北村さんは指摘します。
「認知症の症状が出ていても、それは『単なる年のせい』として受け入れられない。それでも、奥さんや医師に指摘されて行動に移すケースもあります」。独身の息子の場合は、「部屋の汚れや、趣味をやめた、などというチェックポイントを頭に入れておいて、客観的に判断してほしい」と北村さん。親は“子ども孝行”だからこそ、早めに気づいてほしいと訴えています。
「オヤノコト」世代が気になるポイント
「オヤノコト」編集部が考える、親の変化ここをチェックしておきたい!
キレイ好きだったのに部屋がちらかっている、汚れている
□洗濯ものをタンスにしまわず、出したままそこから着用している
□お風呂に入るのを面倒くさがる □いつも同じ洋服・靴を身に着けている
□洋服やおしゃれにこだわらなくなった
□好きだったもの、趣味をやらなくなった
□外出を億劫がるようになった
□ストックがあるのに同じものを買ってきてしまう
□買ってきたものを片付けずに出しっぱなしにしている
□料理を面倒くさがり、お惣菜などですますことが多くなった
□季節の野菜や花など、季節を感じるものに鈍感になった。生活に取り入れる気持ちがなくなった
□会話をしていてもいろいろなことに興味を示さなくなった
□日常生活で使うものを自分のまわりに置きっぱなしにして、動かなくなった
お話を聞いた人
ハイムガーデン立川幸町
ホーム長 北村恵美さん
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