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100歳までのマネープランの考え方

記事の発言・監修・ライター
「オヤノコト」パートナー相談員 ファイナンシャル・プランナー 村井英一(むらい えいいち)

家族の生活設計の相談を多く受けている。介護の費用について詳しく、老後の生活資金についてのシミュレーション分析を得意としている。CFP、FP技能士1級

老後のマネープランを考える際に、
「何歳までお金が足りればよいのか?」とよく聞かれます。

「介護を必要としている人の寿命までを賄える資金が必要」という答えになりますが、もちろん何歳まで生きるのかは、誰にも分りません。
長生きしたばかりに、生活資金が足りなくなってしまった、という事態だけは避けなければなりません。

「人生100年時代」という言葉もありますが、最近は80代、90代でお元気な方がたくさんいらっしゃいます。
やはり今の長生きの時代は、100歳まで生きることを前提に、マネープランを考えるべきでしょう。

では、100歳までお金が足りれば十分、というわけでもありません。
101歳になったら生活費が足りなくなった、では困ります。

では「何歳まで?」と考えると、キリがありません。

マネープランを考える際は、「何歳までお金が足りるか?」ということよりも、
「お金の減り方」に注目してください。

「お金の減り方」=貯蓄の取り崩しについて意識を持つ

画像はイメージです

老後、介護が必要になると、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの高齢者向け住宅に入居する、あるいは自宅で暮らし続けるにしても、生活費(医療費含む)にプラスして介護費用(以下、図参照)が必要になります。

[在宅介護費用の平均]

◎一時的な費用:740,000円 
 ※住宅改造や介護ベッドの購入などの合計
◎月々の費用:83,000円


介護期間の平均:61.1カ月 (5年1カ月)
※介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)

出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度を参考に作成

それまで年金で賄えていた人も、支出が増えて貯蓄を取り崩しながらの生活となることが多いでしょう。もちろん、それは悪いことではありません。この「老後」のために貯蓄をしてきたのですから。

問題は、貯蓄の減り方です。
毎年の赤字額が大きいと、十分な貯蓄があっても比較的短期間で貯蓄を取り崩してしまいます。一方、毎年の赤字額が小さい場合は貯蓄の取り崩しが少なく、資金不足となる心配がありません。

「老後資金として2,000万円が必要」と一時期盛んに言われましたが、2,000万円あっても、毎年の赤字額が400万円であれば、5年で枯渇してしまいます。ところが、毎年の赤字額が100万円であれば、20年は維持することができます。

100歳までのマネープランを考える上では貯蓄額だけでなく、介護が必要になった際に毎年どのくらいの赤字になるかも重要なポイントになります。

「オヤノコト」相談室では、「親子で考える老後100年までのマネープラン」のシミュレーションを作成(有料)し、具体的なマネープランのご提案をお受けしています。お気軽にご相談ください。

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