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靴を購入する前に、最低限足のサイズは知っておきましょう。
「それくらい知っているわ」と思われるかもしれませんが、ぜひ一度靴屋さんで測定してもらってください。
基本は、かかとから一番長い足先までの長さ「足長」と、足の幅「足囲」です。
「足長」が23.4㎝なら、靴サイズは23.5㎝か24.0㎝が目安です。「足囲」はAからFまであります。
ただし、靴の木型(靴を作るための元型)はメーカーによって様々なので、これらの規格通りに靴は作られていません。後述するように何度か試し履きして、自分に合うブランドを知っておくことも必要です。
いよいよ靴選びです。靴を履いてみましょう。
足のかかとを靴のかかとにぴったり合わせ、甲をしっかり固定します。ここで、靴が足に合っているかどうかチェックをしましょう。
かかと部分のカーブが足にぴったり合っていますか?
かかとは、立った姿勢をしっかり保つ機能があります。そのためには、かかとにしっかりとした芯が入っていることが大切です。
甲をしっかり固定できていますか?
甲を固定することで、足と靴を一身体化させることができます。
足趾の付け根に相当する靴の位置が曲がりますか?
母趾、小趾の付け根の幅、つま先に向かって圧迫が強すぎませんか?
足趾は、歩くたびに全身体でバランスを取るために曲げる部分です。板のように曲がらない靴底では歩くことができません。また足趾は変形をおこしやすい部分。外反母趾の場合は特に注意が必要です。
つま先にゆとりはありますか。母趾のトップ(爪の部分)が当たりすぎませんか?
つま先は、歩くために必ずゆとりが必要です。ゆとりが足りないと、足趾の関節が山形に変形するハンマートウになる場合もあります。また、母趾のトップが当たっていると、長時間の歩行により爪に内出血が起こりやすくなります。
すべり止めが効きすぎていませんか?
靴底の幅は広いですか?
靴底のすべり止めの効き方は、人によって最適な状態が違います。
歩行が不安定なため、かかとから着地しゆっくり歩く人は、すべり止めが効いている方がいいですが、すり足で歩く人はすべり止めが効いていると足運びが悪く、つまずきやすくなります。
またかかとや前方の靴底は幅広い方が安定します。幅が狭いと、バランスを崩した時に足をねじって横に倒れてしまいやすくなります。脚の場合は、かかとの外側が広がっている方がいいでしょう。
多少上がっていますか?
本来足運びをよくするためのものです。しかし高齢になると、足首の関節が硬くなり足を上げることが難しくなるので、つま先から着地することになります。歩幅も狭くなっているので、つま先が上がっていないとつまずきやすくなります。
靴全身体をぞうきんを軽く絞るようにねじってみましょう。
簡単にねじれるようだと、足もねじれやすくなります。そうなると身体も安定して支えることができません。
必ず両足の靴を履いて、しばらく歩いてみましょう。
歩きやすさは最終的には本人にしかわかりませんので、試し履きをした時に、なるべく長時間歩いてみることが大切です。合わない部分があったら、きちんと伝え、調整できるかどうかを確認しましょう。
足は足裏の母趾の付け根、小趾の付け根、かかとの3点を結ぶ線がすべてアーチになっていて、バネの役割をしています。縦アーチが2つ、横アーチが1つあり、アーチがなくなると偏平足に、特に横アーチがなくなると開帳足になり、外反母趾やタコ、ウオノメの原因にもなります。アーチを補うために、パッドを取りつけたり、足のアーチに合った補正がされた中敷きを入れたりすることで補正できます。靴は本来補正をして履くものです。適切な補正をするのは自分では難しいので、最初は信頼できるシューフィッターのいる店で教えてもらうのがいいでしょう。
靴や足に関する知識と技能を持ったシューフィッターは、中敷きやパッドなど、その人に合った靴の選択や補正をすることでその人に合う靴選びをサポートしてくれます。
シューフィッターのいる靴屋さんは多くなりましたが、人によって考え方や立場、経験年数もまちまちです。「相性もあるので、シューフィッターがいる靴屋さんを訪ね、できるだけ自分が納得できる人と出会うことです」。
まずは、自分が履きたい靴、気を付けたいことを伝えます。いくらぴったりの靴でも、気に入らない靴は履く気にならないものです。次に、履く人の足の情報を提供し、相談する。そうすればプロならではのアドバイスをしてくれるでしょう。
「年を取ってもおしゃれは封印しないで。足を守ることと、おしゃれをすることは両立しますよ」。温かい岩波先生の言葉には勇気づけられます。
では、子世代である私たちは何ができるのでしょうか。岩波先生は、「母親の足は、自分の足でもあります。次は自分にも起きる問題だととらえて親世代の靴選びに関わってほしい」と言います。親の靴選びは、足のことを勉強するいいチャンスです。実際、親子で靴を探しに行くシーンは増えているそうです。
そこで、「子世代は親とシューフィッターとの間に入って、靴選びの核となってほしい」と岩波先生。親の情報を伝え、親が知りたいことをプロに聞くと話もスムーズにいくはずです。「そして靴を買った後は、履いてみてどうだったのかを最後まで確認して、靴屋さんや靴メーカーにフィードバックしてほしいのです」。それが将来、自分の問題を解決することにもつながっているのですね。
(オヤノコト.マガジン別冊より転載)
※イラスト 藤田侑巳氏
お話をお聞きしたのは
福祉技術研究所
岩波君代先生
32年間、東京都において障害者・高齢者の衣服、靴の研究や相談にたずさわってきた経験を生かし、現在、福祉技術研究所(株)で、メーカーのコンサルタント、講習会などを行っている。上級シューフィッター(FHA認定)。
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