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親のための自転車選び vol.1 生活シーンに合わせた選び方が必要に

久しぶりに、母が使っている自転車を使わせてもらった。
ひび割れたタイヤ。あちこちに浮き出た錆。なぜか聞こえるきしむ音。空気が抜けているのか、タイヤが異様に重い・・・。
「そろそろ買い換えたらどう?」、「新しい自転車、買ってあげようか」。口元まで出かかって、では、どんな自転車がいいのだろうかと考える。
そこで、編集部では、親の自転車選びについて、自転車の安全利用促進委員会メンバーの遠藤まさ子さんにお話をうかがいました。
協力/自転車の安全利用促進委員会  

自転車を選ぶポイントは、年齢とともに変化する

親世代の自転車について考えるときに最も重要なのは、親はいきなり高齢者になったのではないということ。私たちが幼児の頃、それよりもずっと前から、自転車を乗ってきました。ある意味、筋力や体力、注意力、判断力の低下を意識せずに乗り続けているのです。

だからこそ、親の乗る自転車を新調する時には、
・どんな自転車が楽なのか、
・年齢を重ねた親が安全に利用できるか、ということを意識しましょう。

親の生活スタイル、身体状況に合わせた自転車を

合わせて大切なのは、加齢に伴う身体の変化は親世代には受け入れがたいもの。「自分はだいじょうぶ」という気持ちを傷つけないような声掛けをしたいものです。

生活場面を確認する

自転車は、買い物などの実用にもサイクリングなどの余暇にも使います。
そこで選ぶ時には、親が
・どんな場面で使うことが多いのか
・(買い物で利用する時には)荷物は多いのか重いのか、
・(マンションや駅近など)よく使う駐輪場はどんなところかなどを確かめると、いい自転車選びができます。
たとえば、お米や飲料水などの重量物を定期的に運搬するのなら、重心が低くて安定した車種がいいでしょう。坂道が多い地域なら、電動アシスト付きや変速機付きが楽。一方、駐輪場によっては、三輪自転車や一部の車種に採用されている幅広タイヤが使えないなんてこともあります。できれば一緒に、ふだんどんなふうに自転車を活用しているかを確認しましょう。
また、お米などの重いものは、子ども世代がネット通販で購入する手配をしたり、買い物代行を利用するのもひとつです。

近所のいい自転車屋さんと出会う

自転車を選ぶときには「BAAマーク」のついているものを選びたい

自転車は、命を預ける乗り物なので、きちんとした自転車とともにショップも選びたいものです。選ぶ際の重要な選択肢の一つは、「BAAマーク」です。これは、自転車業界の自主基準である「自転車安全基準」に適合した自転車に貼られています。
次に、そのショップに自転車安全整備士や自転車技士がいることも大切です。専門的な知識と技量のある人に、気軽に空気を入れてもらったり、メンテナンスの相談をしたりできる関係ができるのが理想です。自転車安全整備士がいるお店で点検整備を受けると、事故の際に一定の保障が受けられる「TSマーク」を貼ってもらえます。自動車と同様に一年に一度定期点検を受けられるといいでしょう。

楽に安全に

生活用具であるとともに、自分や周囲の人の「安全」に直結する自転車。
電動アシスト自転車やタイヤやフレームを小型化して重心が安定したタイプ、三輪のものなど、さまざまなタイプがあります。上手に選べば楽に、安全に、長い間使えます。
これからは親の安全のために、身体状況や生活スタイルにあった自転車を選びたいものです。そして、購入する時には、親に合ったものを選ぶために同伴すること。くれぐれも勝手に選んで送りつけることはしないように・・・。

自転車に安全に乗るために

・サドルにまたがったときに両足がしっかりと地面につく自転車を
・低床フレームなどまたがりやすいものを選ぶ
・親世代にありがちな「けんけん乗り」は、バランスを崩しやすいので避ける
・重い荷物はカゴに入れ、ハンドルに重い袋をさげない
・車輪に巻きついたり視界を遮ることがあるので、ストールやマフラーの巻き方には注意
・サンダルやかかとの高い靴、靴底がすべりやすい革靴で自転車には乗らない

▲親世代に多い「けんけん乗り」。転倒しやすいので避ける

転倒した際のケガを防ぐため、シニア向けヘルメットの着用を

大阪・名古屋ではいちはやくヘルメットの着用が義務づけられ、最近では、シニア向け自転車ヘルメットもおしゃれなタイプのものが増えてきたようです。
このヘルメットの購入、自治体によっては「自転車ヘルメット購入費補助」として65歳以上の方向けに、購入に要した費用の2分の1の額(2,000円が限度)が補助されるところも(例.埼玉県蕨市)。ちなみに離れて暮らしている場合でも、子世代による代理申請が可能だそうです。詳細は親世代がお住まいの自治体へ。

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