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肌が乾燥し、顔や手足がカサカサになっていませんか? スキンケアやハンドマッサージは若い人のためだけではありません。乾燥しやすい親世代にこそ必要なケアなのです。スキンケアやハンドマッサージを通して、親子のコミュニケーションをしてみてはどうでしょうか。
山野美容芸術短期大学が培ってきた「美容福祉」の知識と経験を生かして「美齢ケア」に取り組んでいる山野美容芸術短期大学 美容福祉事業研究センターの研究員佐野美惠子さんにその効用や方法について伺いました。
「美しい」と「きれい」の違いとは何でしょう? 佐野さんに言われるまで、特に意識したことがなかった二つの言葉の違い……。「きれい」な方が、表面的な感じですね。
「そうですね。『きれい』は、瞬間的なこと。でも『美しい』は、心が安らかな状態や穏やかな意味合いも含んでいます。その人の内面からにじみ出るものが『美しさ』なのではないでしょうか。私はその人らしい『凛とした美しさ』を大切にしていただきたいと、いつも思っています」(佐野さん)。
佐野さんは、親世代一人ひとりを理解し、その人らしさを表現することで、最高の美しさを引き出す「美容福祉」に取り組んでいます。その一環として行っているのが、訪問理美容や介護予防のための地域活動です。
介護予防と美容……密接な関係がないようにも感じますが、どんなことをしているのでしょうか。
「顔や手足のセルフケアの方法をお伝えしています。顔のマッサージの場合はまず口腔ケアから始めます。親世代になると口の中が乾きやすいので、そうなると口の中に雑菌も繁殖しやすくなりますし、話もしづらくなるのです。そこで、唾液を出やすくするマッサージをします。次に表情筋を鍛えるマッサージです。瞼や目じりなど目の周りが下がると視野も狭くなります。口角が下がると暗い表情になってしまいます。表情筋を鍛えることで、視野の狭まりを抑え、表情を明るくするのです」。
ポイントは、それらを佐野さんが施術するのではなく、それぞれが自分で行うということ。自分の手を使うことがリハビリ効果になるし、自分でできたという自信や充実感が出るといいます。さらに家に帰ってもセルフケアを継続できるのです。「何より、そうして美しくなると、外に出かけて人に見てほしくなりますね。そうした内面の変化が『美しさ』に直結するのです」。
佐野さんによると、美容の効果は二つ。リラックスできる、気持ちが高揚する、落ち着くなどといった「対自己的効果」と、心が開いて外に注意が向くこと、同時に相手からも関心を寄せられ、社会から認められるという双方向の「対他者的効果」があるといいます。
佐野さんが、こうした活動に取り組むようになったのは、こんな経験があったからです。足腰が弱り外に出られなくなった利用者の方のお宅でシャンプーやカットをする訪問美容に伺ったときのこと。「その方が『私はもう外に出かけられないのね』と寂しそうにおっしゃったんです。私たちは、ご自宅で理美容サービスを受けてもらえることを前向きにとらえていたのですが、そうではないととらえられたことに胸が痛みました。そこで、美容の力でお元気になって、また社会に目を向けていただきたいと考えるようになりました」。
こうした経験を経て生まれたのが、「最期まで美しくいてほしい」という思い。それは、親世代が社会の中で生きてきたその人らしい姿であり、同時にその人にとっての最高の美しさであると佐野さんは考えています。年齢を重ねたからこそ、まさに内面から出てくる美しさ。親がそんな美しさを保つことができれば、子世代もこんなにうれしいことはありません。私たち子世代自身も、そんなふうに歳を重ねていけるといいですね。
佐野さんに子世代が親世代にできるハンドマッサージを教えていただきました。
<適した時間帯>
しっかり圧をかけておこなうハンドマッサージではなく、手にやさしく触れる、さする、包むという方法でおこないますので、お身体への負担は少なく特にこの時間帯で、ということはありません。
いつでもお時間がある時に、お話をしながらゆったりとした気持ちでハンドマッサージをおこなうことでお互いにリラックスでき皮膚もすべすべになりますよ。
・ポイント お好みの香り(精油)を適量プラスすると、更に心も癒されます。お試しください。
<どう声をかけるといい?>
唐突に手を取るよりは、服の上から肩や上腕をさすりながら徐々に手に触れ、「乾燥しているね。クリーム(または、オイル)をつけようか?」といった言葉をかけるといいですね。スムーズにマッサージに移れます。
<使用するもの>
使用するのは、オイルかクリーム。オイルなら、オレイン酸やリノール酸など保湿性が高い成分が入っているものがいいでしょう。クリームは、親がふだん使っていて身近にあるもので大丈夫。ただ、量はたっぷり使ってください。少ないと、摩擦で皮膚を傷めてしまいます。
<はじめましょう>
まず自分の手をあたためておいてください。オイルやクリームは、なめらかに滑るくらいの量を一度自分の手のひらに取ります。人肌にあたためてから親の手を包み込むようにしてつけましょう。手首から指先に向かって丁寧に螺旋を描くようにさすり、オイルやクリームをなじませます。指間を親指で軽く押すと指が広がりやすくなりますよ。指は一本一本指先に向かって小さな螺旋を描くようにさすった後、手のひらでやさしく包みます。
<ここに注意>
指先など、ささくれができていませんか? 乾燥しやすい部分なので、甘皮や爪の側面もオイルやクリームでしっかり保護してあげましょう。
<マッサージが終わったら>
全体に行きわたるようにマッサージが終わったら、オイルやクリームがより皮膚に浸透するように手全体をラップフィルムで包み、あたためます。あたためている間に、もう片方の手も同様にします。
<拭き取り>
最初におこなった手のラップフィルムをはがします。ホットタオルで手を包み、少しそのままにおきましょう。べたべたしているようでしたら、軽く拭き取ります。指間も丁寧に。化粧水をつけて終了です。
・ポイント ホットタオルを使用。ぬくもりは心をホッとさせて心地良くします。
<冷えは禁物>
もう片方の手が終わるまで、冷えないように乾いたタオルで包みましょう。
理美容室以外の施設や病院、自宅などで、理美容を望む方のところにお伺いして理美容を提供するのが訪問理美容です。理容師法・美容師法では、理美容室以外の場所で理美容を行うことは原則として禁止されていますが、疾病などの理由で理美容室に行くことができない方には、訪問(出張)理美容ができることになっています。
山野学苑とNPO法人全国介護理美容福祉協会は、親世代や障害のある人に対して、介護や介助の基礎知識と安全で快適な美容を施せる技術を持って、社会福祉に貢献する美容活動を「美容福祉」と定義し、訪問理美容の理論と技術をマスターした理容師・美容師に対して、訪問理美容を実践するサポートをしています。
山野美容芸術短期大学非常勤講師
美容福祉事業研究センター・研究員
NPO法人全国介護理美容福祉協会理事
学校法人山野学苑非常勤講師
高齢者アクティビティ開発センター・アクティビティディレクター講師
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