親にとって子どもはいつまでも子ども。
親子のコミュニケーションを大切に・・・
親が歳を重ねると、親子の関係はいつのまにか逆転し、親に対してつい上から目線になってしまったり、時には親との会話が強めになってしまうことも・・・。そんなこともあり、最近、親とのコミュニケーション不足を感じている方々も多いのではないでしょうか?
親にとって子どもはいつまでも子ども、私たちにとっても親は親、です。
この企画はそんな高齢の親とその子世代「オトナ親子®」のコミュニケーションのきっかけ創りを、と思い生まれたものです。
子どものころに、お誕生日やクリスマスにプレゼントされた、本屋さんで買ってもらった、親に読んでもらった…などの大切な時間を思い出していただけただけたら嬉しいです。
さて、今回は、全国の10~80代、261名もの方々からご応募いただきました。
そのなかには手書きでびっしりと想い出を綴ってくださったお葉書や封書もありましたが、「オヤノコト」編集部では1つひとつじっくり拝読させていただきました。
その、多くのコメントは、そのときのシーンが想像できるものばかり。
ほんとうにステキな想い出がたくさんありました。
選ばれた絵本も、想い出が加わるとさらにステキな絵本になり、あらためて読んでみたくなるものですね・・・。
そして、「久しぶりに親子で懐かしい話で盛り上がりました」「帰省したときに本棚を見たら想い出の絵本がとってありました」・・・などの嬉しいコメントもありました。
今回お寄せいただいたステキな想い出のいくつかをご紹介させていただきます。
お寄せくださったみなさま、ありがとうございました。
今回ご応募くださった方々の年齢層です
~たくさんのご応募ありがとうございました!
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『11ぴきのねこ』(1967年) 作:馬場のぼる 出版社:こぐま社
♥子供のころ大好きすぎて毎晩読んでいました。ボロボロになってもセロハンテープで自分で補修して読んでいました 子供が産まれたので、新しく同じ本を買い、自分が読んでいたボロボロの本と並べたときに感慨深かったです(*^-^*)
(mioさん、30代、大阪府)
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『14ひきのあさごはん』(1983年) 作:いわむら かずお 出版社:童心社
♥子供の頃、私はとても少食で母が毎日心配していましたが、試行錯誤してくれていた母がピンと思いついたことは目の前に食事を用意するより絵本好きな私に絵本から食事することを楽しんでほしいということでした。14ひきのねずみさんたちが朝食作りに励む姿を見てなんだか食欲がもりもりでてきたことを今でも思い出します。
(もちふさん、 30代、愛知県)
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『あのね、サンタの国ではね・・・』(1990年) 作:嘉納 純子、絵:黒井健 出版社:偕成社
♥小さいときに両親に買ってもらい、今でも本屋さんに並んでいるのをみると懐かしい気持ちになる。私が持っていた本はもうないが、新しく自分の子供達に買い読ませている。まだ小さいので全然理解はしていないが、大きくなったら私と同じように「懐かしいな」という気持ちになってほしい。私が唯一覚えている絵本。
(MYさん、20代、愛知県)
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『おしいれのぼうけん』(1974年) 作:ふるたたるひ、たばたせいいち 出版社:童心社
♥私にとって人生初のホラー&サスペンス。幼児が夜に読んでもらう物語にしてはかなり怖いのですが、ふとんをかぶり、聞こえるか聞こえないかくらいの音量で聞くのが定番。両親は、そんな私の様子をおかしがり、怖い箇所を声色を変えてとにかく怖く読むことに全力を尽くしていました。
(匿名希望さん、30代、東京都)
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『オズの魔法使い』 作:ライマン・フランク・ボーム 出版社:ポプラ社
♥共働きの家庭はほとんど無かった時代に 私は、当時珍しい鍵っ子でした。学校の図書室は、私の居場所でした。
ある日図書室の先生から「この本を読んでみて」と一冊の本を渡されました。『オズの魔法使い』です。この本の主人公が、私を寂しさから離れさせてくれました。
その日は、私の誕生日でした。テーブルの上に手紙と一緒に『オズの魔法使い』の本が置いてありました。「お誕生日おめでとうこれからも家族で頑張ろうね」私の好きな本を分かっていてくれていました。
アルバムを開くと小さな手に『オズの魔法使い』の本を持って満面の笑みで写っている私がいます。「小さくても頑張ったね」「この本に出会えて良かったね」思わず声を掛けてしまいます。
(母猫さん、60代、埼玉県)
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『おにべのかけはし』(1980年) ※絶版 文:武田英子 絵:黒谷太郎 出版社:さ・え・ら書房
♥父の声はいつも心地よかった。文字を読めるようになっても「読んで!」と言うと必ず読んでくれた。どのような本を読んでも、朗らかにリズムよく、時にオリジナルメロディーもつけて物語の世界に私を誘った。
けれども、この本はいつもとは違った。川にかかった橋が流れ、母を失ってしまう主人公おにべ。おにべは号泣する。「おーん おーん おっかあをかえせ」父の柔らかであたたかい声が、どこか物悲しかった。実は、父も早くに病で母を亡くしていた。後におにべは決意する。どのようなことが起きても決して流されない架け橋を一人でかけた。
一方、父は私にたっぷりの愛情をかけた。その私は父にたっぷりの心配と迷惑をかけて育った。
(さるりさん、40代、栃木県)
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『おばあちゃんがいるといいのにな』(1994年) 作:松田素子、絵:石倉欣二 出版社:ポプラ社
♥小学校低学年の時この本で読書感想文を書き賞を頂きました。私のおばあちゃんと重なることが多く厳しかった親から逃げるためによく離れのおばあちゃんに癒してもらっていました。唯一おばあちゃんの前では堂々といられました。なぜならおばあちゃんの前では親も怒れないから。何も喋らなくても全て分かってくれるような気がして気持ちがすぅ〜っと楽になる。そんなおばあちゃんが他界して早7年。今お母さんは優しいから安心してね!笑
(KYさん、30代、愛知県)
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『おばけのてんぷら』(1976年) 作・絵:せな けいこ 出版社:ポプラ社
♥まずはタイトルと絵を見た時のインパクト!!
美味しいような、怖いような…色々なイメージを掻き立てられ、読んでみたいという気持ちにさせてくれます。
うさこが作る天ぷらはホントに美味しそうに描かれており、これを見て自分も天ぷらを好きになったんじゃなかったっけ?と記憶してます。
結局、おばけの天ぷらを食べちゃった!とはならなかったことで安堵!!
(大沼勇人さん、40代、愛知県)
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『からすのパンやさん』(1973年) 作・絵:かこさとし 出版社:偕成社
♥母が買ってくれた『カラスのパンやさん』。本を開くと、パンの焼ける香ばしい匂いが漂ってきました。カラスのパンやさんは本当にあるのだと思い、木を見上げては、目印の赤や黄色のかざぐるまを探していました。高3の時には、製パン系の道に進もうかとも考えましたが断念。でも、今、夫がパン屋に勤めています。IT企業から転職しました。お陰で我が家の食卓には、いつも夫の作った焼き立てのパンが並びます。まるで、カラスのパンやさんがここにあるようです。子供の時に何度も何度も母に読んでもらった『カラスのパンやさん』。好きな絵本とは、何か見えない糸で繋がっているような気がします。
(まことさん、50代、神奈川県)
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『かわいそうなぞう』(1970年) 文・つちやゆきお 絵・たけべもといちろう 出版社:金の星社
♥私は沖縄県出身の30代男性で、小学生の頃はよく沖縄戦で起きた悲惨な出来事を説かれる機会がありました。
私が当時小学2年生だった頃、親にかわいそうなぞうという絵本を買って貰い、そこで始めて、戦時猛獣処分という令で処分されていった上野動物園のぞう達の事を知りました。
そこであったぞう達の人間のような知性と、にも関わらず下される彼らへの不条理な運命に、私は涙が止まらなくなりました。
この頃の戦争経験者達のお言葉、お話は今でも記憶に残っています。今年で戦後79年。もう二度とあってはならないことで、決して風化させてはいけないお話だと思っています。
(田中えぬさん、30代、沖縄県)
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『くまさんくまさんなにみてるの?』(1984年) 作:ビル・マーチン(訳・偕成社編集部) 絵:エリック・カール 出版社:偕成社
♥この絵本は小さい頃から祖母の家に置かれており、みんなで定期的に読み返し思い出話をする時の話題に上がります。特に私の妹が感情込めて面白い読み方をするので、家族や親戚みんなで動画を見返し大笑いしています。時を超えても家族に笑いを溢れさせてくれるこの本はとても素晴らしいなと思いました。
(りうさん、10代、山梨県)
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『クマとキングバード グリム童話』(1984年) ※品切れ・重版未定 原作:グリム兄弟(訳かけがわ やすこ) 、絵:クリス・コノバー 出版社:ほるぷ出版
♥本など一切読まない母が買ってきてくれたのはグリム童話の絵本だった。ページをめくると「きゃー、こまかっ」と母は叫び、読み聞かせもそっちのけで夢中で絵を眺めていた。熊、モグラ、狐、リス、蜂、フラミンゴ。蝶は鐘を鳴らし、梟はペンギンを運んでいる。「ひえー、描くのだいぶ時間かかるで」孔雀の羽も、踊っているネズミの手足や尻尾も生き生きとしていて、指でひょいとつまめそうなくらい愛らしかった。「はあー、どうやったらこんなの生み出せるんやろな」いちいち声を上げる母がうるさくて、面白くて、私は笑っていた。どんな物語だったかは覚えてない。三十年も前の話なのに、なぜか動物たちと母の素直な反応だけが記憶に残っている。
(Y・Mさん、30代、和歌山県)
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『クリスマスの三つのおくりもの』(1987年) 作:林明子 出版社:福音館書店
♥先日実家に帰った時に、母が屋根裏から大量の絵本を引っ張り出してくれた。私や弟の幼少期のものだ。5歳の我が子にちょうど良さそうな絵本を探していると、手のひらサイズの3冊組の絵本を見つけた。表紙を見て、「わあ!」と声が出た。絵本セットのタイトルは、『クリスマスの三つのおくりもの』。中でも、幼い私が大好きだったのは「ふたつのいちご」。ページをめくると、絵本の中のケーキが美味しそうだったこと、クリスマス前にワクワクしながら読んでもらった記憶や母のぬくもりが蘇り、胸の奥がじんわり温かくなった。我が子への絵本探しの最中、思いがけず見つけた、ぽかぽかと懐かしい思い出。
(SNさん、30代、埼玉県県)
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『ぐりとぐら』(1963年) 作:中川李枝子 絵:大村百合子 出版社:福音館書店
♥七歳の時に双子の妹を亡くしました。それまで遊んでいた玩具も、読んでいた絵本も、虚しいだけ。でも、ぐりとぐらのおかげでいつまでも妹が心に生き続けるような気がしました。あの日共に笑い合った私たちは、きっと、ぐりとぐらだった。「どこまでもいこう、ぐりとぐら」
天国にいる妹も、きっと、そう思っているはず。
(ゆいちゃんさん、40代、埼玉県)
♥寝る前に父や母が読んでくれていました。何度も「読んで」と私が頼むので両親はほとんど文章を暗記していたそうです。また2人が私の好きな動物をストーリーの中に入れたり、擬音の読み方を大袈裟にしたりして私をいつも笑わせてくれたのを覚えています。引越しの際、持っていた絵本の9割5分は捨ててしまったのですがこの本だけはどうしても捨てられませんでした。ストーリーは今でも好きでよく思い出すし、やっぱりあの寝る前の時間は幸せだったなと今でもよく思い出されます。
(りかさん、10代、東京都)
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『こぎつねコンとこだぬきポン』(1977年) 作:松野正子、絵:二俣英五郎 出版社:童心社
♥母が何度も何度も私に読んでくれた本です。 その時の母の声も今でも覚えています。 先日、その本を娘の小学校で見つけた時に嬉しくて懐かしくて泣きそうになりました。
(ひまわりさん、香川県)
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『こねこのぴっち』(1954年) 文・絵:ハンス・フィッシャー(訳・石井桃子) 出版社:岩波書店
♥現在も大切に保管しています。4歳の誕生日に幼稚園でプレゼントされました。ねこの家族のお話。お父さんねこ、おかあさんねこ、5匹の子猫、いちばん小さくていちばんかわいいこねこは、かごの中でひとり考え事をしている。→ぴっち(他のねことは)違っている、ぴっちが主人公のお話、その当時、引越した年で馴染めない私に幼稚園の先生が選んでくれた絵本でした。まわりと同じじゃなくていいんだよと教えてくれるようで、私が自分自身のパイオニアとして生きれるきっかけになっていた1冊だった気がします。書き込み、落書きだらけの50年のものですが、大切にしています。
(匿名希望さん、宮城県)
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『こまったさん、わかったさんシリーズ』(1993年) 作:寺村輝夫、絵:岡本 颯子 出版社:あかね書房
♥とにかくこのシリーズが好きで何度もリピートして読みました。当時小学生だったのでもう自分で本を読める年齢でしたが、本に出てくる歌や言葉のリズムが楽しく、母に読んでもらうことも多かったです。何よりも、この本に出てくる料理を1つずつ母と再現して作ったことが思い出となっています。凝ったものではなく、サンドイッチやグラタンなど普段から食べるものばかりでしたが、どうしても本と同じ具材と味付けで食べたくて、休みの日に母と食材を調達しにいくところから楽しかったのを覚えています。いつも食べているものでさえ、こまったさんと同じように作るとおいしく感じ、子どもながらに”本の中の味”を再現できた達成感が忘れられません。先日自分の娘がこまったさんシリーズを学校から借りてきて、30年ぶりくらいに懐かしい気持ちがよみがえってきました。次は娘と、こまったさんの味を再現してみようかなと思います。
(あずママさん、30代、宮城県)
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『こんとあき』(1989年) 作:林 明子 出版社:福音館書店
♥お母さんにこんとあきを読んでもらったのは私が保育園の頃だったと思います。こんはいつもあきを心配させまいと自分が傷ついても「大丈夫大丈夫」と言っていました。私はそんなこんが凄く記憶に残っています。小さいなりに心配性だった私はいつも「大丈夫かなー?」と何かあるたびに母に聞いていました。母はいつも「大丈夫だよ、大丈夫。」と言ってくれました。今だに子育てに悩んだ時は一緒に悩み、最後には「大丈夫」と声をかけてくれます。それが本当に大丈夫かどうかよりも、その言葉で気持ちが落ち着き安心できる、そんな魔法の言葉です。こんがあきに言った「大丈夫」もきっとあきにとっては安心できる言葉だったんじゃないかなと思います。
(とうあつさん、20代、静岡県)
♥小さい頃我が家は21時までに寝る準備が整うと好きな本を1冊読んでもらえる、というルールがありました。保育士だった母のおかげでたくさんある絵本の中でも『こんとあき』は家族揃って大好きで、まだ話せなかった弟も「コンコン(咳払い)あちあち(足を指さす)」とこんとあきをリクエストしていました。こんがあきに向かって「大丈夫、大丈夫。」と読み上げてくれる父と母の声にとても安心してぐっすり眠っていました。大人になった今でも台詞を覚えていて、優しい気持ちにしてくれる、そんな大切な1冊です。
(N.Tさん、30代、福岡県)
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『さっちゃんのまほうのて』(1985年) 作・絵:たばたせいいち、先天性四肢障害児父母の会、野辺明子、しざわさよこ(共同制作) 出版社:偕成社
♥幼い私を祖父母に預け、夜勤でばりばり働いていた看護師の母。そんな母がたまに家にいるときに、一緒に読んだ本でした。さっちゃんに強く共感してつらいのに、その後も何度も読み返したことを覚えています。人がそれぞれ違うことは当たり前のことで、障碍も個性と言われはじめた時代、私は介護福祉士として生きています。
(SAさん、40代、高知県)
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『さむがりやのサンタ』(1974年) 作・文:レイモンド・ブリッグズ(訳・すがわらひろくに)出版社:福音館書店
♥とっても好きな絵本です。子供の頃に読んでもらったこの絵本を大事に何十年もとっておいており、今子供に読ませております。やはりクリスマスの絵本は夢がたくさん詰まっていますし、特にこのさむがりやのサンタのおじちゃんの仕事ぶりが面白おかしく、サンタさんってこんなふうにお仕事してるんだあとワクワクしながら読んだ一冊です。一番好きなシーンが、仕事を終えて猫と犬に癒され美味しい紅茶をわかして、温かいお風呂と豪勢な食卓のシーンです。読んでるこちらも幸せな気持ちになります。
(佐々木菜月さん、30代、福島県)
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『しろくまちゃんのほっとけーき』(1972年) 作:わかやまけん 出版社:こぐま社
♥私が小さかった頃母親に読んで貰った本の1つです。これを見るたび、ほっとけーきがつくりたくなった私なのですが当時まだ4.5歳、慎重派だった母は危ないからと粉を混ぜることしかやらせてもらえませんでした。小学生くらいになって、卵をわらせてもらえたり、フライパンを使わせて貰えたりして感動したのを覚えています。料理は今も得意とは言い難いですが、少なくとも台所にたつきっかけをつくってくれた思い出の本です!
(h.aさん、30代、群馬県)
♥母が初めて買ってくれた思い出の絵本です。
このほっとけーきが食べたい!とお願いすると、不器用な母が一生懸命ほっとけーきを作る過程を絵本の通りに再現してくれた事がとても嬉しかったです。そのほっとけーきはとても優しい味で、世界で1番美味しいと感じました。ずっと私の大好物です。
自分の子供にとっても1番のお気に入りの絵本になり、何度も何度も読んでいます(^^)
(トモさん、30代、埼玉県)
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『シンデレラ』(1990年)
♥幼稚園の時に親と一緒に信州旅行し、善光寺の近くで宿に泊まりました。その時近所を散策中に本屋があって、中に入りました。親がどれでも好きな絵本買ってあげるから選ぶよう言われて、シンデレラにしました。シンデレラの洋服が素敵なので、欲しいと思ったのです。
毎日、その洋服を模写して遊んだものです。
もう70年も前のことです。
今はもっと豊富な興味深い種類の絵本があって、現在の子供たちは幸せだなお思っています。
(コズイコズイさん、70代、愛知県) - <
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『だるまちゃんとてんぐちゃん』(1967年) 作・絵:加古里子 出版社:福音館書店
♥ばあちゃんはちは山口県の田舎で、外で遊ぶにしてもすぐ飽きてしまうような何もない所でした。兄弟3人で、家の中をぶっしょくしていると見つかったこの絵本は、田舎に遊びに行くと必ずといっていいほど読んでワクワクする作品でした。今は娘にこの絵本をプレセントして、親子で楽しませてもらっています。今でもふとあのばあちゃんちの家で読んでるような懐かしい感覚になる、心の中でばあちゃんに会えているようななんとも言えない不思議な絵本です。
(田島恵さん、40代、千葉県)
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『ちいさいおうち』(1954年) 文・絵:バージニア・リー・バートン(訳・石井桃子) 出版社:岩波書店
♥小学校2年生の時のこと。戦後の回復期を歩きはじめたばかりだった当時の日本、記憶の中に図書館があったかの記憶は定かでなない。教室の中に小さな棚があり、各家庭から持ち寄ったものだったのか、絵本や図鑑などがまばらに置かれていた。その私たちの図書館の中に、ちいさなおうちの絵本はあった。そっとページをめくらなければ、今にもバラバラになってしまいそうなので、多分にもれず私も、愛おしむように膝の上に置いて見ていた。見ていたというのは、繰り返し手にしたお話はもう全て記憶してしまっているから、ページをめくるだけで良かったのだった。絵本といえば一番真っ先に浮かんでくるのは、このちいさなおうちだった。
何も無くなってしまった当時の日本の中で、時が経てば結果どうあれ、きっと発展してゆくという夢を子供達に与えた一冊の本だったのだと思う。
(留々子さん、70代、埼玉県)
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『ちびくろサンボ』(2005年_復刊) 作: ヘレン・バンナーマン(訳: 光吉 夏弥)、絵: フランク・ドビアス 出版社:瑞雲社
♥初めての絵本でした。虎が溶けてバターになるところは「へー そうなんだ」とその頃は納得していました。バターって食べたことが無かったから新鮮でもありました。そのバターでサンボたちがパンケーキをとんでもないくらい食べてたことも衝撃でした。
※1953年に岩波書店から発売(1988年に廃刊)、2005年に瑞雲社 にて復刊
(山田昌宏さん、60代、奈良県)
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『どうぞのいす』(1981年) 作:香山 美子、絵:柿本 幸造 出版社:ひさかたチャイルド
♥私は40歳になりますが、母親が私が幼稚園の時に読み聞かせてくれた本です。絵本の思い出と言われると、真っ先に頭に思い浮かびます。
ずっとこの本のことは忘れていましたが、社会人になり、ある時実家に帰省した際、この本棚を本棚に見つけて、当時の温かい気持ちがぶわっと蘇りました。中身は何も覚えておらず、でも何度も何度も読んでもらった記憶だけがあり、手にとって読み返してみると、かわいいうさぎさんが作った椅子、そのあとに次々と動物がやってきて、優しい気持ちがつながっていく絵本だったことを思い出しました。
私は三人兄弟で、当時、母親はとても忙しかっただろうなと、今自分が親になってみてようやくわかりますが、そのさなかに、時間を作って絵本を読んでくれたのだと思うと、感謝の気持ちしかありません。
私も我が子に優しさをつなげていけるようになれたらいいなと思います。
(K.Mさん、40代、東京都)
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『とびだすえほん 仮面ライダー うなれ!サイクロン』(1972年) 辻 勝三郎編・表紙:渡辺正美 出版社:万創社
♥昭和40年代中盤、仮面ライダーブームの真っ只中。小学生だった私が親にねだって唯一買ってもらえたのが、仮面ライダーの飛び出す絵本でした。躍動感あふれる仕掛けに夢中になり、何度も開閉を繰り返しました。自分が仮面ライダーになったような錯覚を楽しんだ思い出は今も鮮明です。この経験が、大人になった今でも続く飛び出す絵本への愛着につながっています。特にロバート・クラウサーさん作の自動車や船、飛行機などの絵本が好きで、今でもコレクションしています。幼い頃の想像力と冒険心を呼び覚ましてくれる、絵本の魅力は尽きません。
(江戸 理さん、50代、神奈川県)
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『どろぼうがっこう』(1973年) 作・絵:かこさとし 出版社:偕成社
♥子供の頃、母が寝る前に絵本を読んでくれていたのだが『どろぼうがっこう』が一番印象に残っている。
立派な泥棒になるための学校のお話。
登場するのは石川五右衛門似のくまさか先生と悪人顔の生徒たち。
これだけでも面白いのにお話に書かれているのは「かわいい生徒たち」これで大笑いした。
そしてかわいい生徒たちが「はーい」「へーい」「ほーい」と返事をするシーンで母はそれぞれ声色を変えて読んでくれ、寝る前なのに眠れなくなるほど笑った。
そんな母との時間は尊く大事な思い出になっている。
今は私が自分の子供に絵本を読むようになった。大人になっても覚えてくれてるといいなと思いながら声色を変えて読んでいる。
(まほさん、40代、東京都)
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『にゃおにゃおたいへんだ』 作:間所ひさこ、絵:夏目尚吾 出版社:ひかりのくに※現在販売されていません
♥保育園の頃もらった絵本で、大好き過ぎて夜寝る前の絵本は毎日これを母に読んでもらっていたそうです。お話も暗記して、母と一緒に字は読めないのに読んでいたとのこと。私も三兄弟なので、猫三兄弟に自分を重ね合わせてドキドキしながらお話に入り込んでいました。ボロボロになっても大切にとっておいてくれ、結婚して子どもができ、今度は私が子どもに読んであげることができました。今でもお話の最初は覚えています。いつか孫に読んであげたい、それが今の楽しみです。
(みほさん、40代、岡山県)
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『ねずみくんのチョッキ』(1974年) 作:なかえよしを、絵:上野紀子 出版社:ポプラ社
♥私も、お母さんに作ってもらった布の財布がありました。それは小さいサイズかつオリジナリティのある財布で、周りの人からも注目をあびました。私の場合、それをほかの人に貸すとかではなかったのですが、マネする人が増えていきました。他人の物は、よく見えると言いますが、肌で実感したエピソードです。
(はらちゃんさん、30代、熊本県)
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『ノンタンのたんじょうび』(1980年) 作・絵:キヨノサチコ 出版社:偕成社
♥私は3人兄弟の長女だったので、母をあまり独り占めできた思い出がなかったのですが、この本の最後に誕生日のクッキーの作り方が書いてあって、それを母と作ったのがとても嬉しくていい思い出です。以来何度も繰り返し読んできた作品です。私にも子供が産まれたので一緒に作りたいなと思っております。
(りりママさん、30代、群馬県)
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『バーバパパのジュースづくり』(1997年) 作:アネット・チゾン、タラス・テイラー(訳・山下明生) 出版社:講談社
♥自分の幼少期を思い出すと、お絵かき教室の教会の木製床に座り込んで何度も絵本を広げる自分が思い出されます。家には無いバーバパパの絵本は珍しく、興味を惹きつけたのかと思います。バーバパパはカラフルだったり、変幻自在が魅力でシリーズを何冊も読んだと思います。そのキャラクターは今でも人気ですし、グッズを手にとってしまいます。自分の子どもにも心躍るバーバパパの絵本を購入し、読み聞かせしました。ジュース作りは色も音も楽しめます。
困ったこと、問題を解決されていく痛快さに安心や喜びの感情を育まれることに気づかされます。バーバパパが愛される絵本であることが嬉しく思います。
(K.Nさん、50代、東京都)
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『はじめてのおつかい』(1976年) 作:筒井頼子、絵:林明子 出版社:福音館書店
♥子供の頃、何度も図書館で借りた絵本です。風邪をひき熱がさがらない時、寝ている布団の横で、母に読んでもらうと不思議に寝付けた思い出があります。
私も母になり、大好きだったこの絵本を息子にプレゼントし、親子二代に渡りこの絵本が大好きで、そんな息子も今年20歳になりました。
今も本棚にあるこの絵本をたまに取り出し読むと、母との思い出、息子との思い出が浮かんできて、懐かしくてつい笑顔になります。
(末永あゆ子さん、40代、千葉県)
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『はなを くんくん』(1967年) 文:ルース・クラウス(訳・きじまはじめ)、絵:マーク・シーモント 出版社:福音館書店
♥子供のころは絵本が大好きで毎日何冊も読んでいました。その中でも大好きだったのは『はなをくんくん』です。黄色の表紙のクマがとてもかわいくて、ボロボロになるまで読んで、2冊目を買ってもらった思い出があります。絵本は私にとって子供のころの大事な思い出であり、一人っ子でだった私にとっては大事な友達でした。子供の頃に読んだ絵本のほとんどは今も手元に残っています。今も絵本を開くたびに夢が広がっていく気持ちになります。
(まきまき0404さん、50代、千葉県)
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『バムとケロのにちようび』(1994年) 作・絵:島田ゆか 出版社:文溪堂
♥小学生の頃、バムとケロのシリーズが大好きで、読み返すと当時の情景や図書室の独特な匂いが蘇るくらい、何度も借りた絵本であった。バムとケロの対照的なキャラのやりとりも魅力的だが、何より絵本に出てくる家具や小物全てがとにかく可愛くて、大人になったらこんな家に住みたいと幼ないながらも憧れたものだ。作中に出てくるおやつもとてもおいしそうで、料理が得意な母と一緒にドーナツを作ったこともあった。ケロちゃん型のドーナツを作ったつもりが、失敗しておばけみたいになってしまったことも今となっては良い思い出である。ふと当時を思い出し、久しぶりにドーナツを作りたくなった。あれから18年、今度こそ上手に作れるといいな。
(匿名希望さん、東京都)
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『はらぺこあおむし』(1976年) 作:エリック・カール(訳・もりひさし) 出版社:偕成社
♥私自身も食欲旺盛な子どもでしたので、カラフルないろんな食べ物に目をキラキラさせながら、あおむしくんと一緒に大冒険した気持になっていました。私ならもっともっと食べられるよ!お腹なんて壊さないよ!って母に自慢気になって言っていたそうです笑
(匿名希望さん、30代、岐阜県)
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『ピッキーとポッキー』(1976年) 文:あらしやまこうざぶろう 出版社:福音館書店
♥小さい時に何回も母にせがんで読んでもらいました。今でも大好きな作品です。また、近所の公園に行って公園の道具を絵本の中に出てくる川や山に見立てて自分が主人公のピッキー、母がポッキーになりきって物語通りにお花見ごっこをしたりしました。作品の中に出てくるお弁当(とれもおいしそう)に似た物を母が作ってくれて一緒に公園で食べたのも良い思い出です。
(匿名希望さん、40代、東京都)
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『ひとまねこざる』(1998年) 文・絵:H.A.レイ(訳・米吉夏弥) 出版社:岩波書店
♥色んな絵本を沢山買ってくれた母ですが、中でもこの絵本はコザルが真っ白な壁一面に落書きをするシーンが印象的でした。何度も何度もそのページを見ては喜んでいたそうです。ある日、そんなコザルに憧れて、私も壁に落書きをしました。もちろんこっぴどく母に怒られました思い出があります。そんな日から早数十年経ち、今では子どもに同じ絵本を読み聞かせしてます。読む前に必ず「真似しちゃダメだからね」と前置きをするズルい母になりましたが、心のどこかで、真っ白な壁に思うがままに絵を描いて見せて欲しい気持ちもあったりします。
(匿名希望さん、30代、大阪府)
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『まどからおくりもの』(1983年) 作・絵:五味太郎 出版社:偕成社
♥ 2歳上の姉がもらったのは細かいところまで書き込まれた綺麗な絵本だったのに、自分がもらったのは見るからに小さな子ども向けの絵本。それが不満で、自分の絵本は開きもせず姉の絵本ばかり眺めていた。無言の抵抗。母はせっかく買ったのだからと、夜寝る前に私の絵本を読んでくれた。姉と2人、並んで布団に寝そべりページがめくられるのを眺める。1件目、2件目、すぐ仕掛けに気がついた。このパターンなら次の住人はきっとこれ。そう思ったら、全然違う。「次はきっと○○だよ」「これずるくない?」あっという間に読み終わって知った。絵本は誰とどういう状況で読むのかということも全部ひっくるめて、その真価がわかるものなのだ。
(秋野りんごさん、40代、神奈川県)
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『みんなはんぶんこ』(2021年) 作:ねこ&ねもとまこ 出版社:ニコモ
♥現在子供が二人いるのですが、第一子を可愛がりすぎたか、甘くしすぎたか、なんでも独り占めしようとします。第二子ができてからも独り占めしようとするので、この絵本をすすめられて買いました。はんぶんこすることで、幸せも喜びもおいしさもすべてはんぶんこして、二人幸せになれることを知り、それからはなんでもはんぶんこするようになりました。絵本の力ってすごいなって改めて実感しました。
(わっさんさん、40代、兵庫県)
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『モチモチの木』(1971年) 作:斎藤隆介、絵:滝平二郎 出版社:岩崎書店
♥この絵本、当時の私には絵柄がすごく怖く見えたので印象に残ってます。でも、読んでみると優しいストーリーで惹き込まれした。私は臆病な性格だったので豆太と重なりました。「じぶんを弱虫だなんておもうな。にんげん、やさしささえあればやらなきゃならねえことはきっとやるもんだ。」というセリフが好きでお母さんに何回も読んでもらいました。小さかった私に勇気を与えてくれた絵本です。
(めいさん、20代、富山県)
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『もったいないばあさん』(2004年) 作:真珠まりこ 出版社:講談社
♥小学生の頃に本屋に訪れた際、表紙を見て心が惹かれ、母にプレゼントしてもらいました。”もったいないばあさん”は、もったいないことをしているとやって来て、生活の知恵を教えてくれるおばあさんです。”ごはん粒を残さない”という基本的なことはもちろん、すぐに物を捨てるのではなく、”こうするとまだ使えるしもっと楽しいよ”と工夫すること教えてくれます。そんな魔法のようなアイデアに感化され、実際に本に登場するみかんの皮を使ったみかん風呂や、新聞を使ったプラネタリウムも作ったことも良い思い出です。この本から”もったいない”の意味を学び、もったいないばあさんのおかげで今でも”もったいない精神”が身についています。
(匿名希望さん、20代、愛知県)
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『よもぎだんご』(1987年) 作:さとうわきこ 出版社:福音館書店
♥子どもの頃、大好きで何度も読んだ本です。絵本の中によもぎだんごの作り方が載っていて、あまりにもおいしそうだったので母に作ってみたいとおねだりしました。何とよもぎを摘むところから再現!ゆでて切ってすりつぶして団子にまぜて・・・ワクワクしながら作ったことを思い出します。しかし何と母はよもぎ花粉症だったのです!両目を真っ赤に腫らしていたことを思いだします(笑)
それでも一緒に作ってくれた母。お陰であの時のよもぎだんごのおいしさは今でも覚えています。
今、私は2歳の女の子の母になりました。絵本が大好きな娘にこの本を買いました。いつかあの時の母と私のように娘と一緒に作りたいです。
(匿名希望さん、東京都)
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『よるくま』(1999年) 作・絵:酒井駒子 出版社:偕成社
♥私の実家には絵本が沢山入っている本棚があります。眠れない日はいつもその本棚から1冊だけ持っていき、お母さんに読み聞かせしてもらっていました。
そんな中一度だけ、お母さんが仕事で帰って来なかった日がありました。冬の寒い日でした。私は母親が帰ってこない寂しさでどうしても眠れず、半泣きで本棚を開きました。まだカタカナも読めない頃だったので、読めるタイトルの背表紙を見つけ、手に取りました。それがよるくまでした。絵本の中のよるくまは私と同じく母親を待っていました。まるでよるくまと一緒に夜の街を歩いているような気分だったのを覚えています。よるくまが母親を見つけた時、自分の事のようにすごく温かい気持ちに包まれました。あの夜のよるくまとの出会いは今でも忘れていません。
(菊地健太郎さん、20代、大阪府)
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『わたしのワンピース』(1969年) 作:にしまきかやこ 出版社:こぐま社
♥母に初めて読み聞かせてもらって、強く心に残っているのがこの絵本です。一度見ただけでものすごく気に入った私は、いつも寝室の枕元に置いて朝起きた時や寝る前に必ず読んでいました。ページをめくるたびにワンピースの模様が変わっていくのがとても楽しくて、自分でもお絵描きで色んな模様を描いたのを覚えています。時には家族でドライブする時にも持ち歩き、旅先の風景を見ながらワンピースの模様を空想して遊んでいました。毎日触る本だったので、色あせるのが早かったり、ページをめくりすぎて外れてしまい、テープで何度も補修しながら読んでいたのはいい思い出です。これほどまでに読み込んだ本は中々ないので、永遠に宝物の一冊です。
(tomohiさん、30代、大阪府)
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『歌の絵本(1) 日本の唱歌より』(1997年)編:芥川也寸志、絵:安野光雅 出版社:講談社
♥ 本好きの両親のおかげで家にはたくさんの本があり、小さい頃から絵本や本を手に取る機会に恵まれていました。そんな中でも、印象に残っている絵本は『歌の絵本』です。この絵本には昔から日本でよく歌われている歌の歌詞が安野光雅さんの絵と共に描かれています。この絵本を毎日祖母の部屋に持って行って、祖母に歌ってもらったり一緒に歌ったりするのが大好きでした。おかげで古くから伝わる日本の歌を覚え、親しむことができました。97歳になった祖母とは今でも『この歌うたったね』と一緒に口ずさみます。小さい頃に覚えた歌はずっと心に残り、当時のことを思い出させてくれます。
(高瀬 恵さん、40代、神奈川県)
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『龍の子太郎』 作:松谷みよ子
♥子どもの頃、亡き祖母からプレゼントされた『龍の子太郎』は、私にとって特別な絵本でした。太郎が強く優しく成長していく姿に、幼いながらも憧れを抱きました。祖母がこの絵本を読み聞かせてくれるたび、太郎の冒険に自分も一緒に参加しているような気持ちになりました。特に、龍との絆や困難を乗り越える勇気の物語が心に響き、今でも大切な思い出として残っています。祖母との時間が、この絵本を通して一層深まり、絆が強まったことを感じています。
(T.Eさん、50代、東京都)