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バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。
老人ホーム、それも自立型といわれる元気なうちから入居して、万が一介護状態になっても終身その施設で面倒をみてくれる老人ホームを取材することが多いが、実際に入居している高齢世代の方々が異口同音におっしゃることが2つある。
1つが、「夫婦2人で暮らしていても、同時に亡くなることはない。だから1人になることに備えなければならない」というもの。そして、もう1つが「70歳になったタイミングとか、ある一定の年齢にならないと気づかないことがある」というもの。
この「ある年齢にならないと気づかないもの」というのは、以前弊社で開催していたイベント「オヤノコト.エキスポ」の諮問委員でもあった俳優の故・津川雅彦さんも似たようなことをおしゃっていた。
つまり、若いときには絶対に考えないようなことを、齢を重ねると考えるようになる、あるいは考えるタイミングがあるということだろう。
確かに、30~40代くらいなら、「夫婦が同時に亡くなることはないから備えよう」とはあまり考えることもないだろうが、年齢を重ねるとより現実味を帯びて思考の中に入ってくるということは分からなくもない。
まさに、齢を重ねた後の「おひとりさま」問題はさまざまある。
孤独死の問題もそうだが、室内での転倒事故、ヒートショック、押し売り。押し買いなどの詐欺まがいの訪問に対する備えなど、高齢者のひとり暮らしのリスクについてはこの先の日本でさらに大きな課題になるだろう。
そういうことを予測してか、ここ最近ではさまざまな企業が「みまもりサービス」を展開している。
そもそも「みまもりサービス」といえば、子世代が親を見守るというのがパターンのはずだが、意外と弊社のお問い合わせで増えているのが「自分自身を見守ってほしい」という高齢世代の独居者からの相談だ。それも、通報先を子供や家族ではなく、身内以外の第三者を希望するケースが増えている。これも時代を反映しているのだろうか・・・。
いずれにしても、「人生100年時代」「老後のお金2000万円問題」などは、今回のコロナ騒動でどこかに消えてしまったような雰囲気でもあるが、その裏にあるのは、これからさらに進む高齢社会をどう生き抜くかということである。
高齢期を迎えて独り身になったときのことを今から考えておくことは、決して早すぎるということはないだろう。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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