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離れて暮らす親を扶養に入れることで「節税」にも

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

昔の大家族制の時代と違い、今は親子同居という家庭は少なくなっている。
「離れて暮らす親のことが心配だ」ということで、今や地方に住む親を呼び寄せる人が増えているが、意外に知られていないのが、離れて暮らしていても年金生活者の親を扶養に入れることで、税金を節約することができることだ。
「扶養」と聞くと同居が大前提のように思われがちだが、所得税法上の扶養ならば、親が年金収入だけ(年額158万円以下)で暮らしていることと、65歳以上でかつ毎月生活費の仕送りがあるなどすれば扶養家族とすることができる。
それでは、離れて暮らしている高齢の親を扶養に入れると、どんな節約ができるのか? それは(親が70歳以上であれば)扶養控除が48万円も受けられるというメリットがあるということだ。
例えば、年収700万円の息子、あるいは娘が、親を扶養に入れて48万円の控除を受けたとする。すると、所得税は約5万円前後減り、住民税負担も約4万円程度圧縮できるだろう。つまり、合計すれば約9万円も節約できるのだ。
また、万が一離れて暮らす親が要介護状態になった場合を想定して、覚えておきたい制度がある。それは「介護休業給付」だ。
これは、仕事を休んで実家に帰省して介護の手続などをした場合、最大93日間まで賃金の67%を雇用保険から受け取ることができる制度である。
さらに、親を呼び寄せるなどして、老人ホームに入居した場合は実家の処分が必須になるが、このような場合には「3000万円の特別控除の特例」が利用できるので、所得税や住民税は非課税となり、老人ホームの入居費などに充てやすい。
いずれにしても、今は先が見通せない時代である。新型コロナウイルスの影響で、離れて暮らす親に会いたくても会いにいけない状態も続いている。
だからこそ、親子でいろいろと話しにくいことも話しておくことが大事だ。親子で話し合うことで、お互いにメリットのある制度活用をすることもできるのだから。

=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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