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配偶者の財産、相続について早めの情報共有を

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

 私のオフィスに最近、相続に関する相談で来られる女性が増えている。
その際に驚くのが、「ご主人の財産を把握していますか?」という質問に対して意外にも正確に回答できる人が少なく、しっかりと把握されていない方が相当数いることだ。
ご主人が単独で確定申告や賃貸不動産の管理、株式の取引などを行っていて、それらに関してご存じない奥さんが多いのも事実だし、夫婦間でも財産の話は確かに聞きづらいままきてしまっていることも原因かもしれない。
しかしながら、厚生労働省の発表によると、男性の平均寿命は81・25歳、女性は87・32歳(2018年度)なので、ご夫婦でも、ご主人が先に亡くなり、奥さんが取り残されるケースが多いというのは言うまでもない。これまで取材した70、80代のご夫婦の場合、たいてい「夫婦が同時に亡くなるわけではないでしょう」と言われる。
それを前提にして、元気なうちから自立型の老人ホームに入居して、ご夫婦でそれぞれを思いやり、子供にも迷惑をかけないようにという「備え」をしている方々もいる。もちろん、こういう備えは早い方が良い。
まさに、日本人の健康寿命をみてみれば、男性が72・14歳、女性が74・79歳(16年度時点)なので、仮にご主人や奥さんのどちらかが介護を必要としたり、認知症になったりした場合は、平均寿命までの約10年間を夫婦でどう暮らすのかを真剣に考えておく必要があるのだ。
万が一、ご主人が認知症になったりした場合、その財産を勝手に処分したりすることもできなくなることを知っていれば、早めにお互いの財産状況などを共有しておくことがいかに大事か分かるのではないだろうか。
ご夫婦で、誰にどの財産を相続させるか相談するなど、よく話し合ってほしい。そして、例えば早めに遺言書を書いてもらうなど情報共有をして、早い段階から少しずつ対策を行うだけでも大きく違ってくることを知っておいてほしい。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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