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バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。
緊急事態宣言が延長され、変異株も出現するなど、新型コロナウイルス感染症は昨年以来、われわれを取り巻く環境を大きく変化させてしまった。
少し古いデータになるが、2013年に某生命保険会社が50~79歳のミドル&シニア世代に対してインターネットで取ったアンケート(有効回答数1000人)によれば、当該世代が大切に思うものは1位「健康」(84・2%)、2位「お金」(60・4%)、3位「子供や孫」(57・1%)、4位「パートナー」(54・8%)となっている。
この結果については今でも大きく変化はないと思われるが、調査データを読んでみると、趣味(53・4%)や食事、お酒(42・7%)という回答も多い。だが、調査から約8年経過した今となっては、そうそう余裕をもって人生を達観できる人は多くはないだろう。実際この調査で「リタイア後の準備は整っている」とい回答した人は少なくない。
例えば、健康長寿のための体力づくりについては41・3%、経済的な準備においても38・3%と、約4割の人が準備OKと回答しているのだが、果たして今、どれだけの人が準備OKと言い切れるであろうか?
実態として、今でもこの調査の結果は基本的には当てはまると思うのだが、今や、地球規模でのさまざまな問題が噴出している。2030年までに解決しなければ人類の存続に大きな影響を与えるといわれ、コロナはこの先も変異株が出現し、結局はいたちごっこになるのではないかと考えている人もいるだろう。それ以前に「人生100年を生き抜けるか?」という不安を感じている人も多いのではないかとも思う。
だが、それは意外と日本人の中に漂う閉塞(へいそく)感が影響しているような気もする。
私の肌感覚だが、今回のコロナで、在宅ワークが当たり前になり、AIの進化で「さまざまな仕事が淘汰(とうた)されてしまうのではないか?」と危機感を持つミドル世代は増えているように感じるし、超高齢社会の先の社会環境の悪化を懸念する声も大きくなってきていると感じる。
健康も食の楽しみもリタイア後の大事なことではあるが、コロナ禍の今、社会全体を俯瞰(ふかん)したとき、まずは「ミドル世代がリタイア後に社会に対してできることとは何なのか?」という視点で考えることも大事なのではないだろうか。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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