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バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。
近年、介護による疲れや悩みにより、親族に手をかけてしまう事件は少なくなく、そのたびに何か方法がなかったのだろうかと悔やまれます。
今後、団塊世代が75歳の後期高齢者となる2025年を迎えれば、家族の介護を理由に会社を辞めなければならない30~40代が増えることが懸念され、胸が痛む事件が、さらに起こり得ることも想像に固くありません。
働き盛り世代の仕事と介護の両立を支え、「介護離職」を抑えるために、2017年1月より改正育児・介護休業法が施行され、介護休業や休暇を取りやすくする、労働時間の短縮といった内容が盛り込まれていますが、このような施策だけで、問題が解決するとは思えません。
もちろん、介護休業や介護休暇、時短措置などを活用することも大切ですが、その前に、まずは親を要介護状態にしないよう、早い段階から「これから(老後)の暮らしをどうするか?」を親と話し合って、対策を打つことが先決です。
では、「親を要介護状態にしない」ためには、どうしたらよいでしょうか。
私がお勧めしたいのは、お盆や年末年始に帰省した際などに、親の生活ぶりを観察すること。普段一緒にいると慣れてしまって気付かないことも、たまに会うと、「あれ? どうしたんだ?」と変化に気づきやすいものです。「なんだか変わった」と感じたら、その印象を放置せず、対策につなげていくことが大切です。
早めの対策がよい結果に結び付いた例をご紹介しましょう。
東京都在住の男性Aさん(40代)は長野県の実家に帰り、母親が運転するクルマの助手席に乗った時、ハンドルを握りながら頻繁によそ見をする母親の様子に気付きました。心配になって受診した地元の医師は「お歳なので仕方がありませんよ」とのこと。しかし不安を感じたAさんは母親を説得して大きな病院で再診。その結果、軽度の認知症であることが分かり、母親には運転をやめてもらい、車も廃車にしました。Aさんの場合、たまたま奥さんが、自身の親御さんの認知症状を軽く見た結果、後悔した経験があったため、小さい変化を見逃さず、積極的に動いたのが功を奏したのでした。
親の変化を観察するときに、気をつけて見るポイントは下の2つです。
「どこかにつかまりながら歩いていないか?」
「何かをすることに億劫になっていないか?」
こうした現象が起こるのは、加齢にともなって親御さんの身体機能が低下していることが大きな原因です。何かをするのに億劫になるのは、動作一つひとつに時間がかかるため、入浴が面倒になったり、布団の上げ下ろしができなくなったりしているケースが考えられます。
もともとお風呂が嫌いな方が入浴したがらないのは身体機能の低下とは考えづらいですが、「几帳面で綺麗好きだった親が風呂に入るのを面倒くさがるようになった」、「布団を敷きっぱなしにしている」、「食卓や台所にモノが散乱している」という場合は、注意が必要です。
誰しも、「親には、いつまでも元気でいて欲しい」「要介護状態や認知症にならないで欲しい」と願うのは当然ですが、それはイコール、「親が若い頃と同じように元気で、これまでの生活スタイルを変えないでいられること」ではありません。身体の状態に合わせて、「布団の生活からベッドに」、「座卓の生活からテーブルと椅子の生活に」、「クルマの生活からシニアカーの生活に」など、親が生活しやすい環境を整えていきましょう。
高齢になれば、情報収集のアンテナが低くなり、これまでの生活習慣を変えることに抵抗を感じる人も少なくありません。しかしそれを放置してしまうと、動くことに億劫さを感じて外出しなくなり、人と会話をする機会も減り、最終的には身体機能障害や認知症などに陥るリスクが高まる可能性もあります。親御さんの生活習慣を変えて、暮らしやすく、動きやすい環境を作ることこそ、「親を要介護状態にしない」ためにまず始めたいことの1つなのです。
なお、自治体によっては、介護認定を受けていなくても、安否確認サービス機器の貸し出しや住宅改修、買い物支援など独自のサービスを導入しているところもあります。帰省した際には、ぜひ親御さんの生活ぶりをチェックしながら、改善提案などの情報収集・提供を積極的にしていきたいものです。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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