40歳を過ぎたらオヤノコト

公開日:

親が暮らし方を選べるサービス付き高齢者向け住宅

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

今まで何度かサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)について取り上げてきた。あらためて、サ高住について説明しておこう。
サ高住とは、バリアフリーで、見守りサービスと生活相談サービスを備えた賃貸住宅だ。賃貸住宅なので、自宅にいるのと同じようにマイペースな暮らしができ、介護が必要になると、入居者がそれぞれ介護サービス事業所と契約して、訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを受けることになる。
本来、サ高住は比較的元気な高齢者のためにつくられた住まいだったが、近年サ介護サービス事業所が同一建物に入っている「拠点型サ高住」も増えてきている。入居者や家族にとっては安心なようだが、いつでも介護サービスが受けられるわけではなく、ケアプランに基づいた介護サービスしか受けることはできないので、注意してほしい。
そんななか、私はサ高住の原点ともいえる理念を掲げた物件を見学してきた。ここは、介護事業と抱き合わせではなく、親がそのときに最も暮らしやすい「住まい」を提供することに注力。安否確認や緊急時対応といった安心のための体制は整えながらも、過剰に干渉されない暮らしを提供している。
親自身が「こういう暮らしをしたい」と、自分で選び、自分で決める住まいなのだ。
入居している方のお話もうかがった。90歳近い高齢でありながら、「自立した暮らしがしたかったので、ここでの暮らしは理想的」だと言う女性がいたのには驚かされた。
その言葉どおり、健康維持に気を配り、毎朝体操をして三食自炊。「借りている部屋だからきれいにしておかなくては」と掃除にも手を抜かない。その凛とした姿に胸を打たれた。この方から家事を取り上げたら、今の自立した暮らしは維持できないのではないか……。
介護とは本来、手取り足取りお世話することではないはずだ。
子どもは親の安心安全を重視するあまり、親の自立や自由を奪ってしまっているケースもあるのだと思う。今一度親の視点にたって、親がどんな暮らしをしたいのかを考えてみることをおすすめしたい。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

オヤノコトネット