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聴こえVol.3-補聴器購入のステップ-

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

ここ2回ほど補聴器について書いてきた。今回は補聴器購入のステップを解説したい。前々回に紹介した「補聴器適合に関する診療情報提供書」を耳鼻咽喉科からもらって「認定補聴器専門店」に行くと、「認定補聴器技能者」をはじめとする専門スタッフが、その人の生活の様子、聴こえに関する悩みやニーズなどをヒアリングする。その後、聴こえ方の検査をして使用環境や希望に合った補聴器を選び出す。それを調整をしたうえで試聴する。
認定補聴器専門店の中には、いくつかのタイプの補聴器を貸し出すサービスを行っている店もある。貸し出し期間はまちまちだが、長い方がより望ましいことは言うまでもない。自宅でしっかりと試聴してみると、店内での試聴とは違う使用感がわかるからだ。
最適なタイプを購入した後でも、微調整を繰り返してくれるお店もある。自分の耳に合うまで調整し続けてくれるのだ。補聴器の機能をどれだけ生かせるかは、認定補聴器技能者の技術にかかっていると言える。だからこそ、優秀でサービスの行き届いた認定補聴器技能者のいる店で購入することがポイントなのだ。
実際には、購入後の調整は補聴器の販売価格に含まれている。億劫がらず、そして諦めることなく、親にとって最適と言えるゴールにまで近づけてほしい。
ただし、補聴器には限界があることも知っておいてほしい。外国語を大きな音で聴いても聴き取れないのと同様、補聴器を使うことで音が大きく聴こえても、言葉としては正しく聴き取れないこともあるからだ。
人間は脳で言葉を聴き取っているため、聴力の低下が進むと脳が言葉を正しく認識できなくなる。「補聴器を使っているのに、以前のように聴こえない」という不満が少なくないのはこういう理由からだが、それがクレームにつながる場合もある。
皆さんにお願いしたいのは、親の補聴器選びに同行することだ。皆さんが親と販売店との橋渡し役になれれば、親の補聴器生活はスムーズに進むはずだ。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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