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聴こえVol.2-補聴器はいつから必要?-

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

前回は、補聴器の選び方について述べた。専門家は「補聴器は早いうちに使うことが大切だ」と指摘している。つまり、子供は親の難聴の始まりに早く気づくことが大切だということだ。
たとえば、「笑顔や感動することが少なくなった」という親は、難聴が始まって感情表現が少なくなっている可能性がある。
ただ、よく聞く事例と似た症状があったとしても、一概に難聴のせいだとは言えないこともある。
「テレビの音が大きくなった」というのは、子世代が最も気付きやすい場面だが、専門家は親の座る位置も関係しているという。今の液晶テレビは、昔のブラウン管テレビよりも近づいて視聴することを前提として設計されている。ブラウン管テレビのときと同じように遠い場所から視聴していると効果音しか聞こえず、音量を上げたくなるのだ。
また、「聞き間違いが多い」のは、新しい言葉が増えていて、親世代はそれに対応できないからかもしれない。特に音ではなく文字で覚えていると、音で聞いても同じ言葉だとマッチングできないため、聞き間違いが増えることもある。
難聴から認知症になるのではないかと心配する子世代も多い。だが、「難聴と認知機能に相関関係があるというデータはあるが、因果関係があるとまではいえない」と専門家は言う。とはいえ、補聴器を使用することでコミュニケーションが円滑になれば、抑うつ状態が改善されることもあるという。
いずれにしても、いったん難聴になると元の状態には戻らない。視力が衰えれば眼鏡をかけるように、聴力も衰えれば補聴器でカバーしたい。専門家は「聴力が60デシベルになるまで補聴器を使用しないというのは、視力が0.01になるまで眼鏡を使わないのと同じこと」だと訴える。
耳年齢を調べるアプリもあるので、親の聴こえが悪いかもしれないと思ったら、一度調べてみることをおすすめする。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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