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冬場の入浴、ヒートショックに注意

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

あの昭和の三冠王、野村克也監督が亡くなった。
その死因は「虚血性心不全」と発表されたが、浴槽の中でぐったりしているところを家政婦さんが見つけて119番通報したとのこと。
虚血性心不全は暖かい場所から寒い場所へ移動することで起こる急激な温度変化が、血圧を大きく変化させて起こると言われており、失神、脳梗塞、心筋梗塞や不整脈などが引き起こされ、浴室で起こると転倒の危険や、湯船でおぼれるなど、命に関わる場合もあるというのだ。
まさに、冬場に気を付けなければならない「ヒートショック」が野村監督の死亡を誘発した可能性が高いと思われるが、2016年には俳優の平幹二郎さんがヒートショックで亡くなったのを記憶している人も多いと思う。
まさに人生100年時代を安全かつ健康で暮らし続けるためには、高齢の親をもつ40代~50代の子世代にとっても気を付けておきたいことのひとつがヒートショックなのだ。
そこで、ヒートショックを簡単に説明すると、たとえば、暖かいリビング(居室空間)から、暖房のない寒い浴室(脱衣所)に移動して服を脱いで、熱い湯船につかると、その間血圧が乱高下して心臓に大きな負担をかける、それが原因で意識を失うなどして浴槽で溺れて亡くなったりすることを言う。
このヒートショックは高齢者が自宅で亡くなる原因の25&を占めていて、年間で約2万人の方が亡くなっているが、交通事故で亡くなる人が約4000人程度だと言うから尋常ならざる数字なのがわかるだろう。
さらに、消費者庁が55歳の人に取ったアンケートでも、暖房機で浴室を暖めているという人は22%、シャワーまたは浴槽の蓋を開けて浴室を暖めておくという人も32%にとどまっており、安全な入浴方法である「41度以下で10分未満であがる」を守っている人も42%程度となっている。
つまり、対策を取らない人が多いのだ。
常々指摘しているが、何事も「備えあれば患いなし」である。
脱衣室や浴室を事前に暖めておいたり、浴槽から急に立ち上がらない、飲酒して入浴しない、入浴する際は家族、同居者に一声かけるなどの対策がある。
まだまだ寒い日が続く、入浴時のヒートショックに注意してほしい。
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=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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