40歳を過ぎたらオヤノコト

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健康、お金、社会保障…「人生100年時代」の不安を真剣に考える時が来た

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

 「人生100年時代 これから、どうする」というタイトルのこの連載だが、筆者が聞くと、多くのミドル&シニアは「人生100年なんて考えられない、健康への不安、お金の不安、社会保障や治安への不安などで、高齢になって何かが起こっても対処できないし…」という人が多い。
まさに、これは本音であろう。
今年10月に消費税が上がり、来年には東京五輪がある。しかしながら、高齢者の半数は「生活が苦しい」という調査結果が出ているし、貧困率も先進国の中では高く、米国に続いて第2位となっている。
そんな状況の中で、「老後2000万円問題」が話題になった。まさに、迷走しているこの国の実態を垣間見た思いだ。
さらに、2025年には団塊世代が全員75歳になり、団塊ジュニアは50代に差し掛かる。
すでに日本の人口ピラミッドは逆三角形になっているので、この2つの人口の山(オトナ親子)にとって介護離職の問題が本格的に顕在化するのはこれからだろうが、2015年9月に安倍晋三首相がぶち上げた「アベノミクス新3本の矢」に「介護離職ゼロ」があったが、あの公約(?)は一体、どこにいってしまったのだろうか…。時が過ぎれば、国民も忘れてしまうだろうくらいに思っているのだろうか?
一時ブームのように、介護離職、ワークライフバランスといわれたが、今はあまり聞かなくなったのも寂しい限りだ。
アメリカに居を構える知人が、「日本人はフライパンと言われてるんだよ、なぜなら熱しやすく冷めやすい」と言っていたのを思い出すが、人口動態の変化がもたらすのは日々の生活にかかわる重大な問題であり、「フライパン」のままでは自らの首を絞めることになる。
ところで、政府は今秋から社保改革に本格的に乗り出すという報道があったが、その改革案の中に、介護保険の利用者負担を原則1割から2割に引き上げるというのには驚きを隠せなかった。
介護保険料は給与天引きなので気にしていない40代、50代が意外と多く、筆者は講演などでたびたび注意を促しているが、そもそも介護保険料は当初の全国平均2911円(2000~02年)から、昨年には5869円とほぼ倍になっていることを知っているだろうか? さらに、政府は15年に一定所得以上の人を2割負担にし、昨年には3割負担まで導入していることを知っているだろうか?
つまり、私が言いたいことは、原則1割負担が2割負担になることを認めれば、2割から3割に、さらに4割負担になることもありうるということである。
保険料負担額を増やされているにも関わらず、使えるサービスを削られ、利用者負担を強いる実態を考えれば、われわれはこの先の暮らし方を真剣に考えねばならない時に来ているのだろう。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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