40歳を過ぎたらオヤノコト

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迷走? 長生きは喜ばしいことだが・・・老後2000万円問題を考える

記事の発言・監修・ライター
尚宏 大澤
「オヤノコト.マガジン」編集長大澤尚宏氏

バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。

先日、産経新聞社とFNNネットワークの合同調査の結果が産経新聞の1面に掲載されていた。まさに、例の「老後2000万円問題」についての調査報道だが、その結果を見ると、年金制度について「不安が増した」という人が51%、麻生金融相が報告書を受け取らなかった対応には、「適切でない」と回答した人が72.4%もいた。
しかし、ここで注目すべきは、「これまで年金制度だけで暮らしていけると思っていたか?」という質問に対し、なんと84.2%の人が「思っていなかった」と回答したことだ。当然といえば、当然だが、そもそも国民は政府の主張する「年金制度は100年安心」など、はなから信用していなかったことになる。
その後の報道でも、この騒動の後、検索エンジン「グーグル」で「資産形成」という言葉が検索された回数が跳ね上がったというから面白い。
私はセミナーなどで常々主張してきたが、「自分の老後は自分で守る」、この発想で自らの身を守ることが大事なのだ。
前回の記事にも書いたことだが、弊社「オヤノコト」相談室の相談員によると、有料老人ホームなどに入居する場合に「支払い資金計画は何歳まで考えれば良いか?」という相談に対し、100歳までの資金計画を立ててほしいと答えると困惑する相談者も多いと聞く。本来長生きは喜ばしいことだが、その一方で生活費はその分長期にわたり必要になることは確かである。実は有料老人ホームに入居したのは良いものの、入居者の入居期間が長期になったために毎月の費用の支払い原資が底を着いて支払い不能になり、退去を余儀なくされるケースも出てきているのだ。
そしてもう一つは、事業者が利用者から入居時に一括して預かった前払家賃の償却期間を超える利用者が発生した場合、その利用者からの家賃収入が無くなってしまうという、事業者にとってのリスクである。これは切実な問題で、償却期間を超えて生活する入居者の割合が増えると、事業に大きな影響を及ぼし、満室なのに赤字経営に陥る事業者もあるのだ。
人生100年時代は、個人にとっても、事業者にとってもリスクを及ぼすことがある。大変な時代になったとつくづく思うのは私だけではないだろう。
人生100年時代における高齢者施設の選び方とお金のこと、これからどう生き抜くか。真剣に考えなければならないからこそ、ぜひ「オヤノコト」相談室を利用してほしい。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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