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バリアフリー・ライフを応援する生活情報誌「WE’LL(ウィル)」創刊。その後、高齢者社会にスポットを当てた「オヤノコト」をキーワードとしたフリーペーパー、メディアサイトの運営を行っている。
「美齢学」という言葉をご存じだろうか?
これは、学校法人山野学苑(創始者は山野愛子氏)の山野正義総長が提唱しているもので、「美しく生きる」ということがテーマだ。
実は、今年5月に山野総長と対談したのだが、美齢学と聞いて、髪形や洋服などのいわゆる外観の装いの美しさ(特に女性)のことだろうと思っていた。しかしながら、いざご本人と対談して、その発想力と柔軟性に驚かされた。
まず、美齢学とは、外観だけなく、心(精神)の美しさまで含んでいることを教えられた。
そもそも人生100年時代というが、65歳から数えても35年という長い期間をどう生きていくのか?
山野氏から「65歳を過ぎたら孫の世話でもして生きていけ、みたいなのは(国も)無責任だ。知の再教育が必要だよ。具体的にどう社会とかかわるか、社会とかかわって生きがいを持って、自分らしく生き抜いていくことが大事だよね」と言われて、思わず膝を打った。
私も常々、人生100年を生き抜くには人生設計をしっかりしなければならないと言ってきたので共感したのだ。
さらに面白いのは、「65歳以上は所得税をゼロにしたらいい」という発想。
これには共感したというより、極めて合理的だと感じた。コンサバティブな日本では理解されにくいかもしれないが、税金をゼロにすることで、シニア層の働くことへのモチベーションを上げ、消費に回させるというシステムが実現できれば、今の日本が抱えている問題を解決する特効薬にすらなりかねないユニークな発想である。
私は、こういう独創的で革新的な発想が大好きなので、あちこちでこのことを伝えているが、説明しないと理解してもらえないこともある。
だが、精神美まで含んだ美齢学については、共感されることが多い。
少子高齢化で社会保障も先行きが見えない今の日本。そこで暮らしていかねばならないわれわれが将来のことを考えたとき、ジェロントロジーの先にある美齢学を多くの人が学ぶ価値は、十分にあるのではないだろうか。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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