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介護が必要になっても、介護保険制度のサービスが使えない事態も・・・

「オヤノコト」パートナー相談員の村井英一氏による「介護とお金」の連載です。
ファィンシャルプランナーの立場から、親の介護を取り巻く環境とかかるお金について解説していきます。1回目は「介護のための国の制度があっても使えない事態も・・・」です。


自宅での介護を続けるか、
老人ホームへ入居してもらうか・・・。
親の介護をどこで・どのように行うかは、難しい問題です。

新型コロナの感染が広がってからは、多くの老人ホームで、家族との面会が制限されたり、場合によっては禁止となるケースが出ています。
そういった話を聞くと、老人ホームへの入所を否定的に考えてしまう人もいるでしょう。
しかし、近年の状況は、むしろ自宅での介護の方が難しくなってきています。
その原因は、介護業界における人手不足です。 

ヘルパーによる訪問介護サービスが受けられないことも!?



一時期、新型コロナの影響で失業する人も増えましたが、行動制限が緩和された今では、観光業や飲食店でも人手不足という状態です。
もともと人手不足が続いていた介護業界はさらに深刻な状況になっています。

厚生労働省の試算では、介護職員の不足は、2025年には32万人となり、2040年には69万人にも達する見込みです(2019年7月公表データより)。
その中でも特に深刻な状態になっているのが、高齢者の自宅を訪問して介護をするホームヘルパーの不足です。2020年の有効求人倍率は、施設の介護職員が3.90倍なのに対して、ホームヘルパーは14.92倍となっています。人手が集まらずに、事業所の閉鎖や倒産もあるということです。

どうしてここまで人手不足が深刻なのかといえば、同じ介護職でも老人ホームの職員の方が、人気があるからです。施設であれば、たいてい複数の介護職員が働いていますので、問題が起きたら協力して対応することができます。ベテラン職員のアドバイスも常時受けられます。
それに対して、ホームヘルパーは通常、一人で要介護者の自宅を訪問して、介護を行います。周りに同僚がいる施設と違い、たった一人であらゆることに対応しなければなりませんので、常に不安が付きまといます。さらに移動時間が無報酬だったり、毎月の収入が訪問件数で変わるなど、収入が不安定な面があります。

このホームヘルパー不足の結果、利用の依頼があっても、訪問する職員が足りずに、依頼を断るケースも出てきています。公的介護保険サービスには、訪問介護や訪問入浴介護、訪問看護など、いろいろなメニューがあり、その中から選んで利用する仕組みになっています。
ところが、実際には「空きがありません」とサービスを受けられないことがあるのです。今の状況が続けば、今後はさらにサービスを受けるのが難しくなる可能性があります。「制度はあっても、実際には使えない」というわけです。

入居に余裕が出てきた老人ホーム



在宅に比べると、老人ホームへの入居は以前より余裕が出てきて、入居しやすくなりつつあります。例えば、特別養護老人ホームは入居の費用が比較的安いということで、以前は70万人もの入居待ちがいるとされていました。しかし、入居できるのが要介護3以上となってからは、状況が改善されています。いつでも、すぐに入居できるわけではありませんが、それほど待たないで入居できるケースが増えています。

民間が運営している有料老人ホームなどの高齢者施設は、住宅メーカーや保険会社など他業界からの相次ぐ参入もあり、さまざまなタイプのものができています。近年増加している介護付きのサービス付き高齢者向け住宅も有料老人ホームの新しいタイプといえるでしょう。
最近は、都市部の便利が良い場所にも建てられており、入居するご本人だけでなく、面会に行くご家族にとっても利便性が向上しています。

施設の数が増えているということは、施設間の競争が激しくなっているわけで、費用の面でもサービスの面でも充実してきています。それぞれの施設に特徴があるので、自分のライフスタイルに合わせた入居施設を選ぶことができます。また、シニアマンションやグループホームなど、高齢者施設の種類も増えており、老人ホームと比較して入居を検討することができます。

一方、入居できる施設が増えたということは、その中から入居施設を選ぶ必要も生じます。玉石混交ですので、その中から良い施設で、もっとも適したところを選ぶことが大切です。選択の基準は、費用やサービスの内容など、入居者ご本人、ご家族によって異なります。実際に入居が必要になる前に、施設を見る目を養っておくとよいでしょう。

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「オヤノコト」パートナー相談員 村井英一家族の生活設計の相談を多く受ける。介護の費用についても詳しく、各地で講演が多い。ファイナンシャル・プランナー、FP技能士1級特定非営利活動法人くらしとお金の学校 代表

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